なぜ井戸を埋めると祟りが起きるのか
「井戸を埋めると祟りが起きる」
そんな話を聞いたことがありませんか。
先日、Twitterをながめていたら、こんな投稿を見かけました。
さっき、凄いものを見つけた。
— すぽんちゅ (@Iwatekko6969) May 4, 2026
これ、息抜きと呼ばれる管だと思われる。何らかの理由で井戸を埋める際に一緒に埋めるもの。
腐敗ガスを抜くためともいうけれど、井戸の神様が自由に行き来できるように設置されるともいわれ、これをやらずに井戸を埋めるととんでもない祟りが起こると言われています。 pic.twitter.com/PLmChZGUzE
このリプライを見ると、祟りについて書いている人がたくさんいて、びっくりしました。
井戸について、ほんとうに知られていないんだな。と。
井戸は水を汲みあげるためのものではありません。「水はけ」の装置としての役割もありました。
井戸は、「水はけ」の装置
土のあるところには、かならず地面のすぐ下に水が流れている場所があります。それを「水みち」といいます。
普段は見えませんが、大雨が降ったあとなどに地面を水が流れているのが見ることができます。
昔の人は、その見えない水の流れを読んで、暮らしていました。
水を「さばく」のが、水はけ
水はけは、「水捌け」と書きます。
「捌」という字は、「さばく」とも読みます。
捌くとは、「処理する」「かたづける」「あしらう」といった意味があります。
昔の人は、水を「捌く」方法を知っていました。
敷地の中の水の動きを読みとり、水が地面に停滞しないように、意図的に動かしていたのです。
そのための装置のひとつが、井戸です。
井戸は、水を引っぱる装置だった
井戸は、土地の中の水が集まりやすい場所に掘ってあります。
でも井戸のはたらきは、それだけじゃないのです。
井戸は、言い換えれば「深い穴」でもあります。穴を掘ることで敷地内に高低差が生まれ、水は低い方へ向かって動きます。
それは地面の上だけではなく、土の中でも同じです。水は、空洞のある低い場所へと引き寄せられていきます。
さらに、井戸は水を汲み出すことで、内部が周囲より低い状態になります。すると、敷地内の水はその方向へ引っぱられ、水はけがよくなっていきます。
だから井戸は、敷地の下流側で、建物から離れたところに作られることが多かったのです。
水を建物から遠ざけることで、建物周辺の水はけをよくしていたのです。
水を汲み出され、土の中で水が循環しやすくなる。水が動きつづけることで、土地の環境がよくなります。
最近友人が買った古民家の敷地にも、あるべき場所に井戸がありました。
井戸を埋めると、水の行き場がなくなる
だから井戸を埋めると、それまで井戸に向かって動いていた水が行き場をなくします。
すると、敷地内に水が停滞しやすくなります。
ぬかるんだり、建物が腐りやすくなったり、虫が湧く。湿気がこもるので、体調を崩しやすくもなるでしょう。
そういったことが、「祟り」ということばで表現されていたのでしょうね。
不用意に井戸を埋めるとよくないことが起きる。それはけっしてオカルティックな話ではなくて、物理的な理由があるのです。
井戸は、水を汲み出すだけではなく、水はけをよくする装置でもありました。
だから、やむを得ず井戸を埋める場合は、完全に土で埋めることはしませんでした。空気抜きをつけて空間を保ち、水はけが悪くないような工夫がなされていたのでしょう。
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