図書館改革の開始 ~ 「日野市立図書館」の誕生(3)『移動図書館ひまわり号』前川 恒雄著 筑摩書房 より
『移動図書館ひまわり号』から前川館長の言葉を引用します(35p~40p)。
1、 本を貸すことに徹する図書館を作りたい。
イギリスの研修で、日本の図書館は市民に本を与えようとしており、市民が読みたい本を素直に貸しているのではないことに気づいた。市民は教育される対象であり、図書館の重要な仕事は、市民に良書を読ませるために読書指導をすることだった。しかし、図書館の経費は税金でまかなわれている。それを負担している市民の生活に役だつ図書館を作りたい。市民と図書館の位置を逆転させるのだ。そのために貸出に重点をおいた運営をする。
2、 学生の勉強部屋でない図書館にしたい。
日本の公共図書館は受験生に占領され、学生の勉強部屋とみなされていた。… 一般の市民は自分の読みたい本が図書館にあると考えず、たとえ思いたって行ってみても、入口で受験生の長い列を見て、あきらめて帰ってしまっていた。…図書館は席だけしか使わない人のためにあるのかどうか考えてみてほしい。…移動図書館だけなら本を貸すことしかできないし、それが図書館の本当の働きなのだということを、市民の目にはっきり見せることができる。
3、 市の全域にサービス網をつくりたい。
図書館は市民生活になくてはならぬものであるべきだから、市民が歩いて行ける場所になければならない。つまり、いくつもの分館と中央館があって、それらが一つのシステムとして有機的に結ばれ、どこにある本でもどこででも使えるようになっていなければならない。
しかし、市に一つ図書館ができてしまえば、それがどんなに貧弱なものであっても分館を作ることは非常にむつかしくなる。…移動図書館一台だけなら、市民は図書館ができあがったとは思わないだろうし、分館の要求はかならず市民の中から出てくるはずである。そうなってから分館、さらに中央館を作ってゆけばいい。まわり道のようだが、結果としてはいちばん早い図書館づくりになるのではないだろうか。
ここまで読んで感じたことは、何でも事業を軌道に乗せるためには、確かなビジョンと戦略が必要であるということです。これからの日本の公共図書館の姿やそのために計画的に進める戦略(マネジメント)があったから、全域にサービス網(図書館システム)を持った日野市の図書館が作られていったのです。(4)に続きます。
