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MUSIC inn Fujieda通信 Vol.20

 記念すべき20回目の「MUSIC inn Fujieda通信」です。

 更新回数と内容は特にリンクさせるつもりはなかったのですが、竣工前の施主検査が無事に終わりまして、土蔵の改築とコントロールルーム(CR)の工事が概ね完了しました。床の塗装や照明の微調整、いくらかの電気工事を経て、今月末に建物の工事が完了します。

 ここまで長い道のりでした。特にクラウドファンディングの成功は私たちにとってとても大きなことで、目標額を大きく超えたことによって、CRを土蔵ではなく隣のガレージに移すという決断ができました。これによって、スタジオの面積を大きくすることができました。ご支援くださった皆様に、心から感謝します。

 ここからは写真とキャプションで、スタジオの解説をしていきます。

まずは入り口側からの全景です。天井高は4m以上あります。正面の漆喰の壁が土蔵の外壁を思わせますよね。両サイドは音響のために斜めに壁が降りてきていて、東海道の宿場町の細い街道に入り込んだかのような構造にも見えます。軒(のき)と軒の間にスタジオがあるような。両脇の屋根の部分の木材が元の土蔵の床材、天井は壁材を再利用しています。梁を柱とみなして90度傾けて考えると(天井を壁と考えます)、昔の土蔵の内装が立ち上がります。これ考えた光嶋さん、すごい。
ブースの奥側からの写真。ノコギリ方の壁の折り返し部分に布が貼られました。この部分から音が吸音層(防音/遮音性能が高いために外に漏れない音のパワーを吸収する隙間だと考えてください)に吸い込まれていきます。壁の裏側の吸音層に音が回り込んで吸収されるような工夫が、他の場所にも施されています。軒の部分にはカーテンレールが見えていますね。ここには遮音カーテンを取り付けて、木の壁からの反射をコントロールします。
反対側の壁。こちら側の吸音層への入り口は幅が狭い設計です。左右の壁を非対称にすることで、スタジオは複雑な反響になります。複雑な構造は音が一箇所に集まったり、反復することを防ぎます。こちら側には念願の窓が。スタジオはかなり厳しく防音/遮音が施されていますが、そうした密閉空間がゆえ、自然光はありがたいです。脱モグラ化で健康的。
入り口側の壁は、大工仕事の技術の結晶みたいな仕上がりです。数種類の太さの板を貼り合わせて、複雑な壁面が実現ています。建物の床や天井の形状にあわせて、継ぎ目なしでズドンと天井までそれぞれの木材が伸びている様は圧巻で、宮大工さんの仕事です。複雑な凹凸が音を拡散させて、スタジオの響きを豊かにしてくれます。ツルツルの正方形から離れて、複雑な形に向かったほうが音響が良くなることは、ダイバーシティー(多様性)を考えるうえでも示唆的ですね。
この日はドラムを叩いて音響のチェック、外部への音漏れのチェックも行いました。「実際に叩いてみるまでどんな響きかわからない」、それがスタジオ建設の恐ろしいところですが、想定通りに残響が天井側に広がって、天井の低い都内の中小規模のスタジオではなかなか体験できないユニークな響きになったと感じます。写真の側の角では、音が派手目に響いて、反対側ではバランスがよく聞こえました。ドラムを置く場所で音が違うのが不思議ですね。
測定した数値を眺めながら、スタジオの音響特性について確認しているところです。音漏れに関しては、Dr65〜75という目標値を達成しています。自動車の通行がある時間帯では、その音に掻き消されて聞こえないレベルです。ドラムやベースの演奏は交通量のある時間帯を中心に据え、夜間の演奏時間を制限するなど、近隣の皆様に安心していただけるような営業スタイルを慎重に検討してゆきます。
録音ブース。ドラムと一緒に弾き語りなども録音できるように、少し広めに設計しました。メインのブースはダクトによって静音が保たれていますが、ブースはそれぞれにエアコンが設置されています。ブースの遮音性はかなり高いですけれど、こちらは住宅街に隣接した側になるので、ベースアンプの設置は原則禁止となる予定です。
小さい方のブースです。こちらはCR側なので、重低音の出るベースアンプも設置できます。基本、アンプ類は爆音で鳴らしても音が飽和したり、マイクが機能的に大音量を受けきれなかったりします。ライブとレコーディングでは微妙に良い音についての考え方が違います。そういうことも伝えながら、ベストなセッティングを皆で見つけて行けたら嬉しいです。
入り口は2重の防音扉です。演奏中は開放厳禁です。このスペースでは、仮歌くらいまでならバンドと一緒に演奏に収録できるように回線を用意してあります。ただし、ギターアンプなど、出力の大きい装置を鳴らすことはできません。土蔵内は土足厳禁となっています。スリッパを用意しますね。ドラマーは靴底を拭いてください。
外観も美しく復元されました。白い壁も綺麗ですけれど、下部の「洗い出し」のところが見事で、つい撫でたくなってしまいます。庇(ひさし)の部分は土蔵スタジオに隣接するの茶室の修復と合わせて改修が行われる予定で、こちらは年末までの工事が予定されています。
コントロールルームにはソファが到着しました。6人くらいは掛けられますね。寝ることもできそう。笑。お茶の町を意識したカラーリングです。コーヒーなどをこぼした際には、サッと拭いてくださいとのこと。角にティッシュを常置します。ソファの後ろの壁の漆喰には、ほうじ茶が練り込まれています。濃い茶色の木壁には被災した能登の仏閣からレスキューされた松を使っています。
床には能登のヒバが貼られました。左上のモニターは土蔵スタジオとやりとりをするためのものです。お互いに仲の様子が確認できるようにします。この部屋には、僕のスタジオから大きなミキサーや録音機材、スピーカーが運び込まれます。
全体像を改めて。今回はピンクの部分までの工事が完了したということです。この後、青のコミュニティスペースと紫のブックストアの部分の壁の漆喰塗りのワークショップが開かれます。林檎酢会員の方は無料でWSに参加いただけます。オリジナルトートバッグのお土産付きです。
こちらが林檎酢会員募集のメッセージです。

 AVMSではサポーターを募集しています。月々1000円のご支援の積み重ねが、未来の世代を創作の現場を支えます。現在の会員数は約250名です。500人くらいの仲間ができると、スタジオ運営の負担がかなり軽減されます。持続活動な支援活動のために、ご支援いただけましたら幸いです。

 よろしくお願いします。

 今夜の林檎酢会員オンライン交流会に参加してくださった皆様も、ありがとうございました。

後藤正文


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