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MUSIC inn Fujieda通信 Vol.21

 長年にわたって愛用してきましたAPI1608をはじめとする機材を、僕のCOLD BRAIN STUDIOからMUSIC inn Fujiedaに移設しました。現在来日中のデイブ・グロールに憧れて買った16chのコンソールです。こういう機材は独り占めせず、みんなに使ってもらいたい(主にドラムの録音に)といつしか考えるようになりました。機材の価値は使ってこそですから。

 1608を使って、デイブのガレージで録音されたというアルバムの曲です。こんな音で録りたかったんです。僕の夢は叶っていないですけれど、藤枝でこういうサウンド(もちろん、モノマネではなくて藤枝流の)が生まれてくれたら最高ですね。

まずはAPI1608のモジュールを取り外して、運びやすいようにしました。ダンボールの山。昔、tofubeats君に「ゴッチさんは買ったそばから空箱を捨ててほしい(いつか箱入りで売るみたいなセコイこと考えないでの意)」と言われましたが、取っておいてよかった。
モジュールが綺麗に抜けました。こういう構造なので、それぞれのチャンネルが壊れても修理しやすくなっています。モジュールを抜いても十分重いです。
ラップを巻いて運び出しです。中古品を買うと「禁煙の部屋で使った」と書いてあることがありますが、それだけ煙草の匂いが嫌がられるということです。俺は煙草は吸いませんが、線香は毎日焚いています。線香の匂いがしたらすみません。
率直に言って、寂しいです。このあと、液晶が載っているところまで、家具をひとりで解体して引き取ってもらう必要があります。そのためには右側の機材も全部外さねばならず…。考えただけで暗い気持ちになりますが、未来の誰かが藤枝で喜ぶ姿を妄想して、ヨシとします。

 車で移動です。スタジオがどこにあるかは言えませんが、なにしろ行き先は静岡県の藤枝市なので、それなりの時間をかけて車で運搬しました。

車から降ろされるAPI1608。左側のカーキの服を着ているのが俺です。みんなで何かをするとき、働いている風で乗り切る天才だと自分のことを思いますが、この日はしっかりと働きました。
こういう感じで仮設置されました。熊本から来た家具はサイズの再調整が必要だったので、スタンドに直置きしました。ATCのスピーカー(むちゃくちゃいいやつ)をPCと繋いで、音響をチェックします。APIとは繋いでいません。スピーカースタンドを買うために、実際に音を鳴らして設置する高さを決めます。
右と左のスピーカーから出る音がどのように聞こえるのかを測定しながら、自分たちの感覚も合わせて、スピーカーの高さや位置を決めていきます。藤枝のCRは非対称なかたちで壁の材も違うので、みんなで知恵を合わせてスピーカーの位置を暫定で決めました。
かわるがわる真ん中の席に座って、定位や低音域の膨らみ方などを主にチェックします。今回は仮固定。配線が終わって、家具や音響パネルを設置してから位置を決定します。スタジオは音を鳴らしてみないとどう響くかわからないという恐ろしいところがあるのですが、十分に音楽的で、崩壊や破綻もなくリスニングすることができそうです。安心。

 土蔵ではワイヤリングという工事が行われています。映像用のケーブルや音響用のケーブルが地下のパイプを伝ってCRと土蔵を繋ぎます。これも手作業で綱引きをするように引っ張りあげなければいけません。大変な仕事です。以下、写真とキャプションで説明します。

この日は映像用のケーブルの配線です。ワイヤーでケーブルの束を引っ張って、地中のパイプのなかを通していきます。この作業がスムースになるように、直角みたいなの厳しい角度がつかないように施工してあります。
地中に埋設されたこのようなパイプのなかを、様々なケーブルが通ります。この写真は土蔵の入り口付近。ここから地中に潜ってCRの脇に出てきます。
ピンクとピンクの部分の地中をケーブルが通っています。
メンテナンスのことも考えて、このボックスを経由します。地中を通す作業は大変ですが、笑いの絶えない現場です。エンジニアのみなさんに感謝します。
そして、ケーブルはCRの倉庫の側に出ます。四角の機器は電源用の変圧器(トランス)ですね。音源にノイズが乗らないように、楽器や機材の電源と雑電(例えばスマホの充電とか)を分けています。音楽用の電気はこの機械で200Vからそれぞれの電圧に下げられます。大きい方で160kg、小さいほうでも70kgもあります。すごく重たい!
作業の終盤には、このあとMUSIC inn Fujiedaに必要な機材を洗い出します。楽器やマイクはある程度、寄贈や寄付で賄える予定ですが、細かい備品や機材の購入はこれからです。インターネット配線用の機材などもこれからです。

 この配線の工事によって、いよいよスタジオで録音作業ができるようになります。建物が身体だとすると、そこに神経や血管を通すような作業ですね。この工事は10月末まで行われる予定で、いよいよ来月からはスタジオとしてのサウンドチェックが本格化します。

 改めまして、AVMSでは私たちの活動をサポートしてくださる仲間「林檎酢会員」を募集しています。持続可能な活動のためには、まだ少し資金が足りない状況です。単回の寄付も大変に助かります。アジカンのツアーにも募金箱を設置しますので、ご協力いただけたら幸いです。

 10月11日からは、3階の漆喰塗りワークショップが開催されます。そちらの模様もまた報告しますね。(※11日、12日の午前中の回に若干の空きがあります。ご友人も参加できますので、林檎酢会員の方、ぜひ!)

後藤正文


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