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vsラプラス変換・フーリエ解析①ラプラス変換の基礎

 電気電子系を日々目指しています、GOSICK愛です。ちなみに東京科学大学では電気電子系を「目指している」と言うと嘲笑われます。ボーダーフリー系だからです。

https://www.titech.ac.jp/guide/guide_28/gakubu1/pdf/21-07.pdf

 上のリンクをご覧になると分かる通り、東京科学大学の電気電子系は二年次必修科目に「フーリエ変換・ラプラス変換」があります。ということで一年の夏休みでフーラプの基礎事項を抑えておけば二年に楽ができるので、今からフーラプと取っ組み合うわけです。予めことわっておきますが、工学数学なので一旦数学的厳密性は捨て置きます。


§1 ラプラス変換

(片側)ラプラス変換を次のように定義します。

定義1 ラプラス変換

$${f:\mathbb{R}_{\ge0}\to\mathbb{R}(\mathbb{C})}$$のラプラス変換を

$$
\mathcal{L}[f](s)=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t
$$

と定義する。

例1 指数関数のラプラス変換

$${f(t)=e^{at}}$$としてこのラプラス変換を計算します。計算するべきは$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}e^{at}\mathrm{d}t}$$です。

$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}e^{at}\mathrm{d}t=\int_{0}^{\infty}e^{(a-s)t}\mathrm{d}t=\Big[\frac{1}{a-s}e^{(a-s)t}\Big]_{t=0}^{t=\infty}}$$

ここで$${\Re(s)>\Re(a)}$$を仮定すると$${\Big[\frac{1}{a-s}e^{(a-s)t}\Big]_{t=0}^{t=\infty}=\dfrac{1}{s-a}}$$が得られます。

例2 三角関数のラプラス変換

余弦関数、正弦関数のラプラス変換を得たいです。素直に計算するのもよいですが、少しショートカットします。

$${f(t)=e^{iat}=\cos(at)+i\sin(at)}$$のラプラス変換を求めると例1より$${\Re(s)>\Re(a)=0}$$のもと$${\dfrac{1}{s-ia}=\dfrac{s+ia}{s^2+a^2}}$$です。
ここでラプラス変換の線形性によって実部は余弦関数$${\cos(at)}$$のラプラス変換、虚部は正弦関数$${\sin(at)}$$のラプラス変換になっています。

よって$${\cos(at)}$$のラプラス変換は$${\dfrac{s}{s^2+a^2}}$$で$${\sin(at)}$$のラプラス変換は$${\dfrac{a}{s^2+a^2}}$$となります。

例3 多項式関数のラプラス変換

$${n}$$を非負整数としたとき$${f(t)=t^n}$$のラプラス変換を計算します。

$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}t^n\mathrm{d}t}$$を計算したいです。この積分を$${I_n(s)}$$と書くことにします。すると積分漸化式が立てられます。

$${I_{n+1}(s)=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}t^{n+1}\mathrm{d}t=\Big[\frac{1}{-s}e^{-st}t^{n+1}\Big]_{t=0}^{t=\infty}+\frac{n+1}{s}I_n(s)}$$
$${s>0}$$とすると右辺第一項目の積分は$${0}$$に収束し、$${I_{n+1}(s)=\dfrac{n+1}{s}I_n(s)}$$が導かれます。
よって$${I_n(s)=\dfrac{n!}{s^n}I_0(s)}$$です。このとき例1を$${a=0}$$としたときのラプラス変換は$${I_0(s)}$$なので$${I_0(s)=\dfrac{1}{s}}$$です。

よって求めたいラプラス変換は$${\dfrac{n!}{s^{n+1}}}$$になります。

 例で計算したようにラプラス変換を普通に計算するのは手間な時があります。そこで、ラプラス変換を計算するうえで便利な定理をいくつか示します。

定理1 ラプラス変換の線形性

$${\lambda, \mu}$$を定数とする。このとき$${\mathcal{L}[\lambda f+\mu g](s)=\lambda\mathcal{L}[f](s)+\mu\mathcal{L}[g](s)}$$

定理1の証明

$$
\displaystyle\mathcal{L}[\lambda f+\mu g](s)=\int_{0}^{\infty}e^{-st}(\lambda f(t)+\mu g(t))\mathrm{d}t=\lambda\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t+\mu\int_{0}^{\infty}e^{-st}g(t)\mathrm{d}t=\lambda\mathcal{L}[f](s)+\mu\mathcal{L}[g](s)
$$

定理2 移動法則

$${g(t)=e^{at}f(t)}$$とする。$${F(s)=\mathcal{L}[f](s)}$$のとき$${\mathcal{L}[g](s)=F(s-a)}$$

定理2の証明

$$
\mathcal{L}[g](s)=\int_{0}^{\infty}e^{-st}e^{at}f(t)\mathrm{d}t=\int_{0}^{\infty}e^{-(s-a)t}f(t)\mathrm{d}t=F(s-a)
$$

定理3 微分法則

$${g(t)=t^n f(t)}$$とする。$${f(t)}$$のラプラス変換が$${F(s)}$$であるとすると、$${\mathcal{L}[g](s)=\Big(-\dfrac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\Big)^nF(s)}$$

定理3の証明

$${f_1(t)=tf(t)}$$と定義する。
命題を$${\dfrac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}F(s)}$$の計算結果から帰納的に示す。$${\displaystyle\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}F(s)=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t}$$
微分と積分の順序を交換する。
$${\displaystyle\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t=\int_{0}^{\infty}\frac{\partial}{\partial s}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t=-\int_{0}^{\infty}te^{-st}f(t)\mathrm{d}t=-\mathcal{L}[f_1](s)}$$

これを帰納的に行うことで定理は示される。

定理4 相似法則

$${g(t)=f(at)}$$と定義して$${f(t)}$$のラプラス変換が$${F(s)}$$であるとき$${\mathcal{L}[g](s)=\dfrac{1}{a}F\Big(\dfrac{s}{a}\Big)}$$

定理4の証明

$${\mathcal{L}[g](s)=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(at)\mathrm{d}t}$$である。このとき$${\tau=at}$$と置換することで右辺は$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}\frac{1}{a}e^{-\frac{s\tau}{a}}f(\tau)\mathrm{d}\tau=\frac{1}{a}F\Big(\frac{s}{a}\Big)}$$

定義2 畳み込み

$${f*g(t)=\displaystyle\int_{0}^t f(\tau)g(t-\tau)\mathrm{d}\tau}$$

 離散版の畳み込み$${\displaystyle\sum_{k=0}^{n}a_{k}b_{n-k}}$$と比較してみると分かりやすいと思います。また、畳み込みは可換な操作です。これは$${\upsilon=t-\tau}$$の置換によって容易に示せます。

定理5 畳み込み法則

$${f, g}$$のラプラス変換を$${F, G}$$とするとき$${f*g}$$のラプラス変換は$${FG}$$

定理5の証明

$${FG=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-s\tau}f(\tau)G(s)\mathrm{d}\tau}$$である。このとき$${e^{-s\tau}G(s)=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-sx}g(x)\mathrm{d}x=\int_{0}^{\infty}e^{-s(x+\tau)}g(x)\mathrm{d}x}$$
この積分の変数を$${t=x+\tau}$$と置換すると右辺は$${\displaystyle\int_{\tau}^{\infty}e^{-st}g(t-\tau)\mathrm{d}t}$$になるので、結局$${FG=\displaystyle\int_{0}^{\infty}f(\tau)\int_{\tau}^{\infty}e^{-st}g(t-\tau)\mathrm{d}t\mathrm{d}\tau}$$

この積分を重積分とみる。すると積分領域は$${D=\{(t,\tau)|0\leq\tau,\tau\leq t\}}$$になり$${FG=\displaystyle\iint_Df(\tau)e^{-st}g(t-\tau)\mathrm{d}t\mathrm{d}\tau}$$
$${t}$$を先に固定して逐次積分を行うようにすると、この積分は以下のようになる。
$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}\int_{0}^{t}f(\tau)g(t-\tau)\mathrm{d}\tau\mathrm{d}t}$$
この積分を畳み込みの定義とラプラス変換の定義を用いて簡単にする。
$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}\int_{0}^{t}f(\tau)g(t-\tau)\mathrm{d}\tau\mathrm{d}t=\int_{0}^{\infty}e^{-st}f*g(t)\mathrm{d}t=\mathcal{L}[f*g](s)}$$

 ラプラス変換をうまく使うことで特殊な広義積分を計算できます。ただし、紹介していない定理を用いるので微妙な例になります。

例4 フルラニ積分

$${a,b>0}$$します。このとき$${\displaystyle\int_{0}^{\infty}\frac{e^{-at}-e^{-bt}}{t}\mathrm{d}t=\ln\frac{b}{a}}$$が成立します。ラプラス変換をうまく使うことで計算ができます。

$${f(t)=\dfrac{e^{-at}-e^{-bt}}{t}}$$と定義しましょう。また、分子を$${g(t)}$$と置きます。このとき関数$${f}$$のラプラス変換は$${L(s)=\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t)\mathrm{d}t}$$です。このラプラス変換から定義された関数$${L}$$を微分します。すると定理3によって$${\dfrac{\mathrm{d}L}{\mathrm{d}s}=-\mathcal{L}[g](s)}$$が成立します。定理1や例1での計算によって最右辺は計算できて、$${\dfrac{1}{s+b}-\dfrac{1}{s+a}}$$になります。

$${\dfrac{\mathrm{d}L}{\mathrm{d}s}=\dfrac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\big(\ln(s+b)-\ln(s+a)\big)}$$
がなりたっているので、$${s}$$が非負な領域では定数$${C}$$を用いて$${L(s)=\ln(s+b)-\ln(s+a)+C}$$と書くことができます。ここでラプラス変換は$${s\to\infty}$$で消えるという性質があるので、これを認めると$${L(s)=\ln(s+b)-\ln(s+a)}$$が分かり、求めたかった値は$${L(0)=\ln\Big(\dfrac{b}{a}\Big)}$$となります。

 今回でラプラス変換の基本的事項を抑えたので、次回は微分方程式を解こうと思います。

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