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ルールと倫理のあいだ。最後の最後で私たちがリーダーに求めるもの

 「ルールは守っている。だから、何も問題はない」――。そう言われたとき、私たちの胸に広がるかすかな「モヤモヤ」の正体は何でしょうか。2020年、熊本市議会である事実が明らかになりました。巨額の公金が投じられた再開発ビル「サクラマチクマモト」。その高層階にある分譲マンションに、現職の大西市長が入居していたのです。

  市長側の説明は明快です。都市計画は就任前に決まっていたこと、一般客と同じように正規の抽選を経て購入したこと。つまり、制度上の不正や便宜供与は一切ないという主張です。確かに、法やルールに照らせば「白」でしょう。しかし、この開発には総事業費の半分以上、約441億円もの税金が使われています。さらに、その高層階は市の一般的な景観基準を超えて建てられた特例的な存在でした。

  ここで問われるのが「倫理」という言葉の意味です。言葉を返すようですが、倫理とは「法に触れなければ何をやってもいい」ということではありません。「他者の目にどう映るか」を想像し、自らを律する美学のはずです。たとえ完全な偶然と正当な手続きであっても、疑惑を招く恐れがあるなら「あえて断念する」という選択こそが、最後の最後で問われるリーダーの倫理観だったのではないでしょうか。

 野党が夏休みに入り、議論の熱が一時的に冷めたとしても、市民の心にある「割り切れなさ」は消えません。私たちが求めているのは、完璧な弁明ではなく、市民の目線に寄り添おうとする誠実な姿勢そのものなのです。

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