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船酔い、潰れた日の出

小さい頃、子ども会のイベントで北海道に行ったことがある。北海道までは船だった。船に乗ったのはこれが最初で最後である。

私は、てきめんに船酔いした。他の子どもが船内で遊び回っているなか、ひとりでずっと寝ていた。孤独で悲しかった。

しかも途中、鼻血が出てきた。船酔いするとゲロゲロするとは聞いていたが、ポタポタするのは聞いていない。ふんだりけったりだった。なお、ゲロゲロはしなかった。

深夜、あたりが寝静まっても、私は起きていた。日中、先にたんまりと寝ていたからである。船がずっと揺れていた。ぎーーぃ……ぎーーぃと、大きな間隔で身体が浮き上がったり、沈んだりした。悪夢のようで、頭がぐるぐるしたが、そのうちうたた寝した。

早朝、大人に起こされた。日の出を見るためだ。時刻は6:00くらいだったと思う。目覚めると、だいぶ体調も良くなっていて、私は船のデッキに降り立った。久方ぶりの外で、冷たい風が吹き抜けた。

あたりは一面の海だ。なんら遮蔽物のない平面。空と海の間を、地平線が一直線に貫いている。その稜線に沿って、空が、徐々に白み始めていく。そして、

ぷにっ

と、つぶれたスライムのように、太陽が頭を出した。知らなかったのだが、光の反射などで、昇ったばかりの太陽は、柔らかそうにひしゃげるのだった。

私は大いに喜んだ。船酔いしていたことも忘れた。それだけ、あの潰れた太陽は面白かったのだ。船酔いは勘弁してほしいが、あのデッキからの日の出だけは、また見てみたいなと思う。