【1歳半マザーズバッグ22個】育休1年1ヶ月、私は妻のバッグの中身を、ひとつも説明できなかった
合わないものはすぐ切る男なので、自分のカバンの中身は5個もない。 それなのに、妻のマザーズバッグの中身は、22個ある。
育休1年1ヶ月。月に1回の息子の通院には、妻と二人で行っている。 2個のバッグも、22個の中身も、毎月見ている。
それなのに、私はひとつも、説明できなかった。
これは、ひとつの家庭にあった22個の話だ。 そして、たぶん、誰の家にもある「見ていないもの」の話だ。
この記事で分かること
1歳半・通院日のマザーズバッグ22個の中身
パン屋の業務用袋・卒乳した哺乳瓶など「買わずに済ます」3つのテク
きっかけは、自分が書いた6つのガジェットだった
少し前に、自分のデスクに最後まで残った6つのガジェットのことを書いた。 ものをすぐ手放す私が、それでも切れなかった6つだ。本気で選び抜いた、自分の持ち物の話だった。
その記事が、思ったより読まれた。誰かの役に、立てた気がした。
そこで思った。本気で選んだ持ち物の話は、誰のものでも、きっと役に立つ。だとしたら、私の6つより、ずっと本気で毎日積み上げられている持ち物が、すぐ近くにあった。
妻の、マザーズバッグだ。
私は自分の6つのガジェットなら、1つずつ、なぜそれなのかを語れる。 でも、毎月いっしょに通院しているのに、妻のバッグの中身は、ひとつも説明できなかった。
自分のデスクは何度も見直すのに、妻のバッグを、そういう目で見たことが、一度もなかった。
だから、妻に頼んだ。
「ひとつずつ、なんでそれなのか、聞かせてほしい」。
妻は、笑って付き合ってくれた。
ちょうど、次の通院が近かった。バッグ②は、通院の日にしか中身が揃わない。だから、その前の晩を待った。妻がバッグを整えるのに合わせて、リビングのソファに並んだ2つを、両方とも開けた。中身を全部、机に出して、ひとつずつ、用途と、そこに込めた想いを聞いた。
合計22個。
まず、22個の全体像を見てほしい

バッグ① スリーコインズ(黒)— 9個
1. マミーポコ Mサイズ — おむつ(2枚)
2. bc babycare おしり・手口ふき — お尻も手口も、これ1つ
3. 西松屋 おむつシート — 替えスペースに敷く
4. シモジマ HEIKO PP食パン袋 — おむつ処理袋
5. ダイソー ミルクポーチ — 外出セットのまとめ
6. 象印 SM-SU-DA 800ml — 親用のあったかい水
7. POLO スタイ — 食事時の予備
8. ハンカチ — 手・口拭き、予備
9. 大人用マスク — 院内・人混み用
バッグ② ファミリア— 13個
10. ダイソー 母子手帳ケース — 書類セットの土台
11. キャンドゥ カードケース — リフィルだけ抜いて診察券管理(テク③)
12. お薬手帳 — 薬局で必須
13. 母子手帳 — 通院必須
14. キャンドゥ 硬質カードケース — マル乳医療証の保護(テク③)
15. エジソン wow cup — 息子の常温水、待ち時間主役
16. ヌーク 哺乳瓶 300ml — お菓子入れ(テク②)
17. ピジョン ベビーおやつ — お菓子
18. ヌーク おしゃぶり — 大泣き対応
19. 絵本『ライオン いないいないばあ!』 — 待ち時間鎮静化
20. 絵本『ころりんぽい』 — 1冊飽きた時の保険
21. bc babycare おしりふき(①と同じ) — 待合室で手口を拭く
22. 財布 — 会計・薬局支払い
妻は、なぜバッグを2つに分けて持っていくのか
並べた2つのバッグの正体から。
バッグ①:スリーコインズの黒のマザーズバッグ
子どもができる前に買ったものだ。3年前、300円。キャリーケースの持ち手につけられる、それだけの黒いバッグだった。それを今、マザーズバッグとして流用している。
バッグ②:ファミリアのマザーズバッグ
いただきもの。手持ちが短めで、ベビーカーにかけられる形状。
中身は母子手帳まわり、待ち時間用の遊び道具、財布。
通院の日にだけ追加で持つバッグだ。
通院では「書類の提出」と「1〜2時間の待ち時間」がある。普通のお出かけにはない要素が、連続して発生する。だからこそ、専用セットが組まれている。
【バッグ①】スリコ黒の中身(9個)
1. マミーポコ Mサイズ(2枚)
1歳半なので、1回の外出で2枚。これ以上は持たない。
「2枚以上必要になる外出は、そもそも長すぎる」というのが、妻の線引きだった。「足りない不安」より「長すぎる外出を避ける」発想。
2. bc babycare おしりふき(お尻も手口も、これ1つ)
薄手より厚手派。「1枚で広範囲を拭けるから、結局コスパいい」と妻。
うちは、お尻も、手や口も、これ1つで兼用している。拭くものを何種類も持たない。1種類を多めに持つほうが、結局ラク。
3. おむつシート(西松屋)
外出先のおむつ替えスペースに敷くシート。
同じシートだと、同じ場所だと思える。1歳半の子どもにとって、知らない場所で寝かされるのは緊張するイベントだ。そのとき、見慣れたシートが下にあるだけで、安心感が変わる。
「子どもの心の安定」も、物を持つ理由になる。引き算ばかりの私には、なかった視点だ。
4. 業務用パン袋=おむつ処理用
専用の防臭袋は1枚10〜20円。シモジマのこのパン袋は300枚で3,000円前後、1枚9〜12円。家でも外でも、1日に何度も使う。このコスト差は、地味じゃない。
しかも、ここだけの話、こっちの方がにおいが漏れないらしく。
主婦の間では割と有名?らしい。
5. ミルクポーチ(ダイソー)
もともと哺乳瓶とミルクを入れていたポーチ。義母からもらったもので、もう何年も活躍している。
卒乳した今は、こまごました外出グッズをまとめる「外出セットポーチ」として現役。
6. 象印 ステンレスマグ SM-SU-DA(800ml)
もともとは、ミルク用に買った水筒だ。お湯を入れて、外でミルクを作るためのものだった。
息子が卒乳して、ミルクを作らなくなった。だから今は、中身がそのまま親用の温かい水に変わっている。子どもの道具が、親の道具へスライドした。これも、立派な転用だ。
うちは夫婦そろって、温かい水を飲む。だから外出中も、温度をキープできる水筒があると助かる。
使い始めて、びっくりした。昼に家を出て、夕方に帰ってくる。それでも、中の水は、まだ熱いままだった。
7. スタイ
ブランドのスタイ(よだれかけ)。生地がしっかりしているから、何度洗ってもくたびれない。1歳半でも食事のたびに使うので、外出先での「念のため」に1枚常備している。
8. ハンカチ
手や口を拭くのに使う。スタイが汚れた時の予備にもなる、地味な万能選手。
9. 大人用マスク
基本セットには、大人用のマスクも入れている。月1回の通院をはじめ、人の多い場所に行くことが多いから。
【バッグ②】ファミリアの中身(13個)
ここから、通院日にだけ追加するバッグの中身に入る。
10. 母子手帳ケース(ダイソー)
ベースはダイソーの母子手帳ケース。100円なのに、ジャバラ式で何枚もカードを入れられる、優秀な土台。
11. キャンドゥのカードケース
母子手帳ケースの中に、診察券と保険証を整理して入れているホルダー。
12. お薬手帳
通院後の調剤薬局で必ず使うので、母子手帳ケースに常駐。
13. 母子手帳(自治体配布)
これがないと話にならない。
14. 硬質ケース
乳幼児医療証(マル乳)は、自治体から紙1枚で渡される。すぐクシャクシャになる。
15. エジソン wow cup
逆さにしてもこぼれない設計の定番マグ。息子用の常温水。
待合室で1〜2時間待つあいだ、これを子どもに渡しておけば、ぐずる頻度が下がる。通院の待ち時間における、いちばん頼りになるアイテムだ。
こぼれて服が濡れる心配がない設計だから、待合室で気を遣わなくていい。この「気を遣わなくていい」が、待合室では効く。気を遣う回数を1つでも減らせれば、親の体力が温存される。
16. ヌーク 哺乳瓶 300ml
卒乳しているので、これはお菓子入れにしている
哺乳瓶をお菓子入れに使うと、こうなる。
中身が割れない(落としてもプラスチック)
こぼれない(フタが密閉)
子どもが自分で開けられない(フタが固い→中身ばらまかれる事故が起きない)
ちょっとした転用だけど、よくできている。 正直、専用品をわざわざ買う理由が見当たらない。
17. ピジョン ベビーおやつ
前の哺乳瓶の中身。1歳半向けの定番お菓子。哺乳瓶のサイズにすっぽり収まる。
18. ヌーク おしゃぶり
1歳半でも、ぐずった時用に念のため1個。診察室で大泣きされた時の最終手段。
19. 絵本『ライオン いないいないばあ!』
待ち時間の鎮静化アイテム第1号。いないいないばあ系の鉄板絵本。
ネタバレだけど、この本には鏡も付いていて、結構な時間夢中になってくれる。
(子供の相棒過ぎて、ボロボロなのが写真でも伝わってて少し恥ずかしい。)
20. 絵本『ころりんぽい』
もう1冊。仕掛けで子どもが夢中になるタイプ。
絵本の中に埋まっている「ころりん」が傾けると動く。
1歳半の集中力は、3分くらい。待合室の1時間を、1冊じゃ持たない。だから2冊。何度も通って、妻がたどり着いた答えだ。
21. おしりふき(バッグ①と同じもの)
バッグ①に入れているのと同じ、bc babycare のおしりふき。さっきも書いたとおり、うちはお尻も手口も、これ1つで兼用している。
バッグ②にもう1つ入れているのは、待合室で何かを触った後、バッグ①を開けずにすぐ拭けるから。
22. 財布
通院後の会計・薬局支払いで使うので、バッグ②に常駐。
22個のうち、半分以上は「買っていない」
ここまで読んでくれた人なら気づくと思う。
22個の半分以上は、「いただきもの」「百均」「家にあったもの」で構成されていた。専用品を買い揃えたバッグじゃない。
それでいて、22個がきれいに噛み合っている。1個も「なんでこれ入ってるの?」がない。
妻のバッグの正体は、「お金で揃えた完成品」ではなく、「日々のアップデートで噛み合うようになった生態系」だった。
月齢が進めば、何かが卒業し、何かが新しく入る。卒業したものは、別の意味を持たされて残り続ける。
妻は、お金で解決していなかった
専用品を買えば終わる問題を、ぜんぶ家にあるもの・百均・卒業した物で済ませている。それも、ちゃんと考えて。
「節約」とは違う。節約なら「ケチる」感覚があるけど、妻のテクには「より良い解にたどり着いた」感覚しかない。結果として安いだけで、目的は「最適化」だった。
凍結した私のデスクと、生き続ける妻のバッグ
私はガジェットを「合わない」で切る。残ったものだけが本物だ、と思って生きてきた。デスクの上は6つしか道具がない。そのデスクを、愛おしいと思っている。
妻のマザーズバッグは、その正反対だ。
「いま必要なものを足して、最適化する」。卒乳した哺乳瓶も、パン屋の業務用袋も、100円のカードケースのリフィルも、22個全部が役割を持って、そこにいる。引き算ではない。足し算で、最適化されている。
哲学が、逆だ。
それでも、この育児のフェーズでは、妻のやり方の方が理にかなっている。子どもは毎日変わる。月齢が進めば持っていく絵本が変わる。卒乳すれば哺乳瓶の使い道が変わる。風邪を引けば、薬と体温計が増える。元気になれば、減る。
変化に対して、「切る」より「組み替える」方が、強い。
私のデスクは、ある瞬間の最適解を凍結した標本だ。 妻のバッグは、毎月アップデートし続ける生き物だ。 凍結した標本と、生き続ける生き物。どちらが上ということじゃなく、フェーズによって、必要な美しさが違うだけだ。
私はもう、妻のバッグを「多い」とは思わない。 あれは、妻が毎月アップデートしている、最適化の作品だ。
でも妻にとっては、工夫しているつもりすらない、ただの毎日だ。困るのはいつも自分だと知っている人が、少しずつ足してきただけ。それが、いちばん強い。
私は自分のデスクを愛おしいと思っている。 たぶん妻も、あの2つのバッグを、同じくらい愛おしいと思っている。
そしてこれを書いている私は、いま、デスクの上の6つだけじゃなく、リビングのソファに並ぶ2つのバッグも、愛おしいと思い始めている。
自分のデスクばかり見ていた私が、すぐ隣のバッグに、初めてちゃんと触れた夜だった。
家には、誰の家にも、見ていないものがある。 あなたの家にも、たぶん、22個ある。
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