外力ってなに?
スノーボードを考えていると、「外力」という言葉がよく出てきます。
でも、外力って何でしょう?
難しく聞こえますが、とてもシンプルです。
自分の外側から受ける力。
これが外力です。
スノーボードは、この外力と付き合うスポーツだと僕は考えています。
まず一番身近なのが重力です。
重力があるから、私たちには体重があります。
もし宇宙空間のように重力がなければ、体には質量があっても体重はありません。
だから立っているだけでも、重力によってボードへ体重が伝わっています。
これが荷重の始まりです。
そして、ゲレンデでは重力だけではありません。
斜面に立つと、重力と斜度が組み合わさることで、体は下へ落ちようとします。
僕はこの力を落下力として考えています。
滑り始めると、「落ちる」という力が常に働いています。
だからスノーボードは前へ進んでいるというより、まず落ちているスポーツなんです。
さらにターンを始めると、今度は円運動になります。
すると生まれるのが遠心力です。
速度が上がるほど。
ターンが深くなるほど。
遠心力は大きくなります。
そして、ボードを角付けすると雪面から抵抗を受けます。
これが雪面抗力です。
他にも、空気抵抗。摩擦抵抗。
細かく考えれば、いろいろな外力があります。
でも、滑りを理解する上で特に大切なのは、
落下力と遠心力。
この二つだと僕は考えています。
では、この外力に対して、人は何をするのでしょう。
例えば落下力。
体はすでに下へ落ちようとしています。
それなのに、自分でも「もっと落ちよう」と重心を落としてしまったらどうなるでしょう。
当然、さらに落ちていきます。
緩斜面なら、それでスピードに乗せやすい場面もあります。
でも斜度が上がると、話は変わります。
もともとの落下力が大きくなっているので、自分でも落下を増やしてしまうと、ターンが間に合わなくなったり、ボードがずれたりしやすくなります。
よく耳にする「重心落下」という言葉。
もちろん結果として重心は落ちていきます。
でも僕は、
重心落下は、自分でやるものではない。
と思っています。
落下力がある以上、重心は自然に落ちていきます。
だから自分で積極的に落とそうとするよりも、
落ちすぎないようにバランスを取る。
こちらの方が自然な運動になります。
特にターン後半でボードがずれてしまう人は、
「もっと落ちよう。」
としているのではなく、
「落ちないようにする。」
という意識に変えるだけで滑りが変わることがあります。
落下力は、すでに十分に働いています。
だから必要なのは、さらに落下を作ることではありません。
その外力とうまく釣り合うことです。
スノーボードは、自分の筋力だけで滑るスポーツではありません。
自然が作り出す外力を利用し、その外力とバランスを取りながら滑るスポーツです。
だから技術とは、筋力を増やすことだけではありません。
外力を理解すること。
これができると、今まで感覚だけで滑っていたターンが、物理と運動のつながりとして見えてきます。
そして、その瞬間からスノーボードは、もっとシンプルで、もっと奥深いスポーツになっていくのです。
言語化の鬼 青木玲でした。
