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正反対の理論が生まれる

スノーボードを30年近く研究していると、不思議に思うことがあります。
それは、
上手い人同士なのに、言っていることが正反対。
ということです。


例えば、
「ヒールサイドは前足荷重だ。」
という人もいれば、
「ヒールサイドは後ろ足荷重だ。」
という人もいます。

「ターンは踏め。」
という人もいれば、
「ターンは抜け。」
という人もいます。

「回せ。」
という人もいれば、
「回すな。」
という人もいます。


どちらかが間違っているのでしょうか。
もちろんそういう場合もあります。
でも実際には、
どちらも上手い。
どちらも結果を出している。
そんなケースがたくさんあります。


では、なぜ正反対の理論が生まれるのでしょうか。
その理由は
見ている場所が違うから。
だと思っています。


例えばターン。
ある人は身体全体を見ています。
ある人はボードを見ています。
ある人は重心を見ています。
ある人はターン軌道を見ています。
ある人は雪面との関係を見ています。

同じターンでも、
観察している対象が違えば、
出てくる言葉も変わります。

さらに、
どの瞬間を切り取っているかも違います。
ターン前半を見ているのか。
ターン後半を見ているのか。
切り替えを見ているのか。


実は同じ現象を説明しているのに、
切り取る時間が違うだけで、
正反対の言葉になることもあります。


そしてもう一つ。
これが一番大きいかもしれません。

それは、
感覚と言語は一致しない。
ということです。

上手い人ほど、
感覚で滑っています。
だから本人が感じていることと、
実際に起きていることが違う場合があります。

「後ろ足に乗っている感じ。」
と言っていても、
映像で確認すると重心は前にある。

「身体を回している。」
と言っていても、
実際にはほとんど回っていない。
そんなことは珍しくありません。


だから僕は最近、
誰が正しいのかを探すよりも、
なぜそう考えたのか。
を知りたいと思うようになりました。

その人は何を見ているのか。
どんな経験からその考えに至ったのか。
どのレベルの人に向けて話しているのか。

そこを理解すると、
今まで矛盾して見えていた理論が、
意外と同じことを違う角度から説明しているだけだったりします。


研究というのは、
正解を決めることではなく、
構造を理解することなのかもしれません。

だから僕は、
正反対の理論を見ると少しワクワクします。
また新しい視点が見つかるかもしれない。
また自分の考えを広げられるかもしれない。


スノーボードには、
まだ解明されていないことがたくさんあります。
だから面白い。
そして、
だから研究を続けたくなるのです。

言語化の鬼 青木玲でした。


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