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詩: どら焼きとマカロンの甘いささやき

リビングのテーブルの上に
菓子折りの箱がふたつ並んで置かれています
どら焼き と マカロンです

梅雨の晴れ間に
家族で公園の紫陽花を見に行って
部屋は静まりかえっています

そんな中
お菓子たちのささやき話が始まりました

「お隣のきみは
 ずいぶんと色鮮やかだね
 まるで小さなおもちゃのようだ」
「あなたはとても
 どっしりとして貫禄があるわ」

「うん “安定の味”って言われる
 褒め言葉なんだけど どうしても若い者は
 ぼくたち和菓子より きみみたいな洋菓子を好むな」
「でも “ご褒美スイーツ”とか言われて
 たまにしか食べてもらえないわ
 あなたみたいに気軽に手に取ってほしいのに」

ふたりはしばらく黙って
互いの悩みを考えていました

「そういえば
 最近は餡にバターを忍ばせたり
 生クリームと一緒にした どら焼きもあるようね
 プリンまで挟んだ どら焼きもあるらしいわ」
「ああ どうにかして
 若い者に振り向いてもらおうという苦心の作さ
 そんなのはブッセに任せればいいと思うけど
 ……やっぱり ぼくは古いのかな」

ふたりがそんなささやきを交わしていると
ガチャリとドアが開いて
家族が帰ってきました

「おなかすいた
 あたし どら焼き食べる!」

小学生の女の子が真っ先に手を伸ばします

「おじいちゃんは何にする?」
「わしか? そうだな
 この真っ赤なマカロンを ひとつもらおうかな」

どら焼きとマカロンは そっと目配せをしました
どら焼きは嬉しくて さらにふっくらと膨らみ
マカロンは照れて ほんのり赤みを増したようです





(玲 2026.6.26)

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