リハビリ後のリビングにて
リハビリから帰って玄関を開ける。
パタパタとこちらに向かってくる音がする。
「ママ!」と一直線に走ってくる小さな体。
息を切らして走ってきた長男を、力いっぱい抱きしめる。
…と予想していたのだが、長男はリビングの
トーマスとゴードンに夢中。
1時間半ほど出かけていた母には関心がないようで、こちらをチラリとも見ない。
なんだか寂しい。
せっかく駅前のちょっとお高めのおやつを、
お土産で買ってきたのに。
宝石みたいに色鮮やかなマカロンを、
午後のおやつにと冷蔵庫へしまう。
奥から聞こえてくる、おかえり、という声。
夫がすやすやと眠る次男を抱きながら、穏やかに笑っている。
やっと長男がこちらに走ってくる。
今までどこに行ってたの、と不満げな顔で
服を引っ張ったり背中に抱きついたり。
全身疼痛が出ていた頃は、子どもを授かるなんて夢の話だと思っていた。
妊娠には禁忌の薬を使い、治療がいつ終わるか全く見えなくて。
でも出会った大学病院の先生が
大丈夫大丈夫、今は辛いけど頑張ろうって
励ましてくれた。
夫は動けない私を介助したり、代わりにご飯を作ってくれたり、たくさん支えてくれた。
治療中は薬の副作用で眠れず食事も取れなくて、周りの人に心配をかけてしまった。
けれど、少しずつ体を動かせるようになり、
2年間を経て、杖があれば遠出もできるようになった。
今は2人の子どもを授かることができた。
長男は私の膝の上に座り、次男は夫がゆさゆさと寝かしつけている。
目線を下げると小さなつむじ。
ふいに目頭が熱くなる。
この日常が欲しかった。
あの時、喉から手が出るほど欲しくてたまらなかった日常が、目の前にある。
あの時の治療を諦めずに乗り越えてきたから、
この子達に会うことができた。
長男をぎゅーっと抱きしめると、暑苦しいと
イヤそうな顔をしながらも、じっとしている。
これからもあなた達とどこまでも行けるように
リハビリ頑張るね、と思えた。
そんな休日の昼下がり。

