【令和8年度受験用】修了考査10年分の過去問分析
修了考査は出題範囲が広く、かつ多くの人が働きながらの勉強となるため、論点を全てカバーして万全の状態で臨むのは難しいものです。効率的な学習を進めるためには過去問に対する理解が必要ですが、初めて過去問分析記事を書いた令和4年度時点において、修了考査の過去問を詳しく分析したものはあまりありませんでした。当記事は今年で5年目ですが、ありがたいことに毎年かなりの方に読んでいただいております。
今年も、令和8年度の修了考査を受けられる皆様向けに、平成28年度から令和7年度(10年分)の過去問を分析した結果をお届けしたいと思います。
(注意)
・公表されているのは問題用紙と解答用紙に限られます。記事のあらゆる内容(配点・コメント・出題内容など)は全て筆者の私見です。
・筆者は修了考査に合格していますが教育関係者ではありません。記事の使用による結果に対する責任は負いかねます。
当記事の適合性・信頼性はどうなのか
平成28年度から令和7年度までの10年分の過去問を一問ずつExcelのデータベースにまとめて、色々な角度から分析・集計して記事を作っています。そのため収集した一次情報の粒度は申し分ないと思いますし、(主観的ですが)分野分けや予想配点も慎重に行っているつもりです。
バックテスト的な観点では、令和7年度の試験において会計実務は74%、監査実務は67%、税務実務は75%、経営実務は85%、職業倫理は90%の問題が、平成28年度~令和6年度までの試験で各科目上位累計80%に含まれていた分野からの出題でした。これは過年度の傾向を令和7年度も概ね引き継いでいたということであり、適合性の面でも問題ないでしょう。(令和8年度がどうなるかは誰にも分かりませんが・・・)
過去問分析
科目ごとに累計配点が概ね50%、80%、95%、100%に到達するよう、出題分野をSランクからCランクの4段階で切り分けています。Sランクから8割取れれば足切り回避(40%以上)、SランクとAランクから8割で合格点(60%以上)になります。
会計実務

・出題の偏りが結構ある。ただし分野内での問題レパートリーが多彩なので典型問題だけ押さえれば良いというものでもない。
・計算の配点は平均で159点。年度によって110点~210点のばらつきがある。IFRSの配点は平均で24点。これも年度によって0点~52点のばらつきがある。
・主観的な難易度はR1(理不尽)、R2・H28(難)、R7(やや難)、R6・R3・H30・H29(普通)、R4(やや易)、R5(易)という印象。
監査実務

・出題分野の偏りが小さく、出題のなかった分野から急に40点50点出るということもある。
・出題分野(タテ)ではなく出典別(ヨコ)に見ると、①事例問題が平均107点(最小60点~最大157点)、理論問題のうち②監査基準委員会報告書の要求事項から平均93点(最小60点~最大125点)、③同適用指針から平均59点(最小10点~最大101点)、④同付録・実務指針・その他情報源から平均41点(最小12点~最大90点)である。対策が比較的容易な①②を足すと平均200点(最小166点~最大237点)である。
・これらを踏まえて、事例問題を解くための知識を補習所のテキストから補充し、監査基準委員会報告書のうち要求事項は精読して、適用指針と付録、その他実務指針等は斜め読みというような戦略があり得るかもしれない。
・最も作文量の多い科目で、基本的には3時間書きっぱなし。白紙は文句なしに0点なので必ず何か書きたい。
税務実務

・税務のみSSランクを設けた。SSランクは第五問の法人税総合問題で毎年同じような問題が出るので特に費用対効果が高い。過去問と答練を利用して必ず解けるようにしておきたい。※所得税額控除はR7のみ出題形式が異なった。
・税務のみ第五問と第六問の別に平均配点を掲載した。1問あたりの配点は第五問で約4点、第六問はその2倍の約8点のため、第六問で頻出の分野を捨てると大幅な失点につながる可能性がある。
・税の種類別では、法人税が平均170点(最小110点~最大233点)、消費税が平均50点(最小39点~最大68点)、所得税が平均33点(最小8点~最大59点)、相続税と贈与税が平均29点(最小3点~最大52点)。他、平均して18点分(最小0点~最大79点)が国際課税、グループ通算制度、事業税その他から出題される。79点分出題されたのは史上最難の呼び声高い平成30年度。
経営実務

・経営実務は他科目と比べて基準や法令といった拠り所に乏しいため分野分けが難しい。(経営)は補習所の科目名で区切った。(IT)はIT委員会研究報告第57号「ITの利用の理解並びにITの利用から生じるリスクの識別及び対応に関する監査人の手続に係るQ&A」の項目名を参考にした。これにない項目は、IT委員会研究報告第52号(次世代の監査への展望と課題)及び近隣分野からの出題を「次世代」、IT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」及び近隣分野からの出題を「情報セキュリティ」とした。
・経営実務はトレンド性が高く、2019年度に公表された研究報告を基に出題された「次世代」や、最近カリキュラムに加わった「サステナビリティと企業経営」といった新論点が出てきている。これらはまだ出題実績に乏しいためBランク~Cランクだが、今後継続して出題されることも十分考えられる。
職業倫理

・倫理規則の配点は平均で77点(最小50点~最大96点)と最重要。特に倫理規則(パート1)は出題頻度に対して暗記量が少ないため時間がない場合でも優先して対策したい。
・インサイダー取引、公認会計士法が倫理規則に次いで重要。
・R1までは問題数が少ない上に、年度によってはインサイダー取引が50点分出るなど、足切りリスクの高い極端な構成であった。R2以降は問題数の増加、記号式問題の出現など、足切りを回避しやすい構成になっている。
最後までお読みいただきありがとうございました。陰ながら皆様の合格を願っております。
