”Seo Academy”鼻を刺す燻製と、騙される愚か者たち/嘘を食らわす「赤いニシン」の正体
その甘美なガセネタ、熟成された赤ニシンより狂おしく匂うぜ。
鼻を刺す燻製と、騙される愚か者たち

嘘を食らわす「赤いニシン」の正体
なあ、アンタも食いついた口かい?ミステリーの棚で気取り腐った顔して転がってる「red herring-レッドヘリング」って気取った言葉にさ。直訳すりゃ「赤いニシン」。まあ、要するに人を明後日の方向にバカ晒させるための「偽の手がかり」って奴だ。
言っておくが、海を赤く染めて泳ぐ妖艶な魚なんてどこにもいねえよ。正体は、塩と煙で数週間もしごき上げられ、赤褐色に腐れ変色したニシンの燻製だ。想像してみな。ねっとり熟成した身から立ち上る、脳腔を直接レイプするような強烈な激臭。冷蔵庫もねえ時代のド田舎で、1年以上放置されて脂の腐った魚の匂いだ。興奮して立ち上がっちまうだろ?
世間の物知り顔はよくドヤ顔で語る。「密猟者が獲物の匂いを消すために地面にこすりつけた」だの「猟犬の鼻を狂わせるトラップだ」のな。いかにも裏社会の臭いがして濡れる話だが、残念でした。近年の研究じゃ、そんなオシャレな狩猟トラップの事実なんて影も形もねえんだよ。
本当の出どころは、1807年のイギリス。ウィリアム・コベットって名の、舌の回る皮肉屋ジャーナリストが撒き散らした一滴の毒だ。
当時、ロンドンのマスコミどもは「ナポレオン敗北!」って大誤報に飛びついて、全員で盛大にイキ狂ってた。それを見たコベットは、腹を抱えて嗤いながらペンを走らせたのさ。「俺がガキの頃、ニシンを引きずって猟犬の鼻をバカにして遊んだみたいにな」ってな。
そう、全部あいつの口から出まかせ、壮大なでっち上げの思い出話だ。ガセネタに飛びついて本質を見失うマスコミのブザマな姿を、臭い魚に群がるアホ犬に重ねて嘲笑ったのさ。
だが最高に皮肉なのは、その「でっち上げの比喩」自体に、世界中がまんまと騙され続けてきたってことだ。
どうだ?アンタが今夜信じ込もうとしてるその「重大な真実」とやら。それ、誰かが思惑通りに床に擦り付けた、安っぽく爛れたニシンの臭いじゃねえだろうな?
〈了〉
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