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朝の”一撃”港区の「おままごとサロン」が散る日――六本木イセタンサローネ閉店にみる、百貨店セレブごっこの終焉

シャンパン片手の優雅な幻想は終わり。現実は新宿艦隊への白旗だ。


港区の「おままごとサロン」が散る日――六本木イセタンサローネ閉店にみる、百貨店セレブごっこの終焉


アートと富裕層に媚びた中型セレクトの敗北、新宿本店の威光に呑み込まれた11年目の引導



東京ミッドタウンのガラス張りの中で、いかにも港区らしいスカした空気を吸っていた「イセタンサローネ」が、2026年10月18日をもってひっそりと息の根を止める。


「商品とアートの融合」「伊勢丹新宿本店のサロン」などと小綺麗に着飾り、2015年に鳴り物入りでオープンした約900平方メートルの売り場。1階に高級時計や宝飾品、2階に婦人服やコスメを並べ、ヒルズ族や富裕層の財布の紐を緩めようと目論んだ実験場だった。だが発表された閉店理由は「契約満了」と「新宿本店のスケールアップによる役割の希薄化」。要するに、わざわざ六本木で中途半端な出張所を維持する価値がなくなったという、冷徹な損益計算の宣告だ。


思えば、丸の内のメンズサローネも、名古屋のイセタンハウスも疾の昔に討ち死にしている。今回の六本木撤退で、三越伊勢丹が2015年あたりに調子に乗って広げた「中型セレクト業態」の看板は完全にすべて叩き割られたわけだ。


結局のところ、金持ちたちが求めていたのは六本木のお洒落な「サテライト」などではなく、圧倒的な物量と狂気じみた熱狂が渦巻く新宿本店の「要塞」そのものだった。どれだけアートを気取ってシャンパンの匂いを漂わせようが、本丸の巨大な磁力には敵わない。地方やサテライトに小洒落た小遣い稼ぎの店を出しては撤退を繰り返す百貨店ビジネスの無様さが、この11年間の結末に凝縮されている。


気取った空間で値札も見ずに買い物をするのがステータスだと信じ切っていた連中も、10月を過ぎれば新宿の人混みに揉まれるしかない。虚飾の街・六本木で繰り広げられたセレブごっこの幕引きは、実に乾いていて、実に清々しい。


〈了〉


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