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”瀬尾の休日コラム”「1点モノ」という名の廃材ビジネスを笑う——片手読書ホルダーに透ける“丁寧な暮らし”の欺瞞

廃材を3000円で売る商魂と、1点モノに酔う読書家の浅はかな日常


「1点モノ」という名の廃材ビジネスを笑う——片手読書ホルダーに透ける“丁寧な暮らし”の欺瞞


余剰アクリルを磨いて3,080円。文面から漂う薄っぺらな手仕事感と、それに群がる読書家たちの喜劇




「世界に一つだけのスペシャルな本の道具で、いつもよりも少し特別な読書時間を過ごしませんか?」


Webサイトの告知文を目にした瞬間、思わず鼻で笑ってしまった。文具メーカーや雑貨ブランドが好んで使う、いつもの「丁寧な暮らし」構文である。


今回売り出されたのは「BOOK READING HOLDER」なる読書補助道具。要するに、本を片手で開いたまま固定するための親指リング状のアクリル板だ。その新商品とやらが誇らしげに掲げているアピールポイントが実に香ばしい。曰く、「使い道がほとんど決まっていない余材を使用」「全て1点物」「ひとつづつ丁寧に削りや磨きを加えた仕上がり」。


要するに、工場で余ったアクリル端材(平たく言えば廃材だ)を3枚重ねて削り、磨いて色取り取りに仕上げました、という話である。


素材費などタダ同然の余り物を、上手に「SDGs風のストーリー」と「1点モノ」というプレミアム感で包み込み、1個3,080円という強気なプライスで売りつける。この商魂の逞しさには、商売柄、感心半分・呆れ半分といったところだ。


さらに笑わせるのが「文具女子博トーキョーで大好評でした」という一節だ。カラフルなアクリルに引き寄せられ、「かわいー!」「私だけの1点モノ!」などと歓声を上げながら財布を開く客たちの顔が目に浮かぶ。


そもそも、片手で本を読むために3,000円のアクリル片が必要なのだろうか。物書きをしながら本を読むなら書見台を使えばいいし、片手がふさがっているなら文庫本を少し強めに折り込めば済む。指にフィットさせようがさせまいが、プラスチックの固まりを親指にはめて読書をする姿自体、どこか滑稽ですらある。


「売り切れ商品は再入荷ございません」という注記も、限定感を煽るための常套句だ。余り物で作っているのだから、同じ柄の再入荷がないのは当たり前である。それをあたかも貴重な限定工芸品であるかのように見せる演出には、脱帽するしかない。


本を愛する自分を演出したい現代人にとって、こうした「見た目がおしゃれな道具」は格好のアクセサリーなのだろう。だが、本質を見失って道具のストーリー性に酔いしれる姿は、端から見れば寒々しい。


廃材を綺麗に磨いて高値で売るビジネスモデル自体は否定しない。だが、その裏にあるあざとさと、まんまと乗せられる買い手の浅はかさを思うと、この「特別な1点モノ」を指にはめて読む本が、随分と軽薄なものに思えてくるのだ。


〈了〉


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