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小3のバレンタイン事情

「で、本命は誰にあげるん?」

今年も、母のニヤニヤからバレンタインは始まった。

習い事の男子には、市販のプチギフト。

手作りは、女子に配る用。

それとは別枠で、

2歳くらいからの幼なじみ男子が2名。

そして、残る一名。


毎年、大した出来映えでもないチョコレート。

それでも娘は、図書室で借りたレシピ本を広げ、

あれでもない、これでもないと真剣に悩む。

長女と並んでキッチンに立って

対で話せる貴重な時間。

いよいよ本題。

残った一名について聞いてみると、

娘は、すこし照れたように視線を逸らして言った。

「◯◯、もらったことないって言ってたから」

『義理ィィィ!!』

でも母は顔を見れば分かる。

本当は渡したい相手がいること。

たぶん、この義理の子じゃない。

母に知られたくないんだろうな。

もうそんな歳になったのか。

と、さっきとは違う笑みがこぼれた。

でも娘の性格的にたぶん渡さないと思う。

大事に大事に胸に秘めて

自分の力で大人の階段を一段上ったとき

自然と渡せるようになる。

少し古い見方かもしれないけど
平成一桁生まれの母は

女子はこうやって大人に
なっていくような気がしてる。

恋と呼ぶには、まだ早い。

小3のバレンタインは、

優しさと秘密が、ちょうど半分ずつ。

恋の楽しさを知る大人の階段は

もう少し先に置かれているみたい。


Some feelings stay unnamed, and that’s okay.

名前をつけない気持ちがあっても、それでいい。

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