見出し画像

ライバルとの一戦。沖縄の「鯵」は別物だ!?

竿を置いた瞬間、腕が捥げそうなほど疲れていることに気づいた。そして、興奮なのか、疲労なのか小刻みに全身が震えている。
たった1匹のアジで、だ。
「アジごときで?」そう思う人もいるだろう。しかし、沖縄のアジは違う。

僕が相手にしたのはオニヒラアジ。体長40cmを超える巨体だ。沖縄ではアジのことを「ガーラ」と呼ぶ。種類にもよるが、ガーラは成長すれば1メートルを超えるものさえいる。

その力強さは想像以上だ。ルアーに食いついた瞬間、竿が悲鳴を上げ大きくへし曲がり、全身に衝撃が走る。

そこから始まるのは、力比べかつ、知恵比べである。無理にリールを巻けば一瞬で糸が切られる。相手の動き、残りのスタミナ、わずかな弱りを読み取って、慎重に糸を巻き取る。

しかしガーラは容赦なく走る。リールのドラグ音が悲鳴を上げ、糸は一気に引き出される。焦れば負けなのだ。そんなことは、何度も何度も戦ってきたから僕は分かっている。そう自分に言い聞かせながら、冷静さを保とうとする。落ち着いて、相手が疲れるのを待ち、少しずつ距離を詰めていく。

何分闘っただろうか。腕が鉛のように重くなり、肩まで熱を帯びている。息も荒くなっているし、掌がじんじん痺れている。それでも竿を離せない。最後の寄せまで気が抜けないのだ。

水面で銀色の体が翻った瞬間、全身の力が一気に抜けた。巨体を浮かせ、空気を吸わせれば僕の勝ちが決まるのだ。

釣れたのは確かにアジだ。

しかし、それは沖縄で「ガーラ」と呼ばれる、海の怪物でもあり、釣り人のライバルだった。

鯵なので、「ぜいご」がしっかりあります。
読んで頂きありがとうございます!

いいなと思ったら応援しよう!

ゆとりのある男 読んで頂きありがとうございます!!