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11月に咲く花火

11月、ついに夏が終わった。

体感ではなく、島としての夏の終わりだ。

ビッグイベントである祭が開催された。
出店が並び、ステージでは民謡や舞踊、音楽ライブなどが行われる。
金魚掬いやくじ引き、かき氷の店も並び、その光景はまさに「夏祭り」だ。

ただ11月に行われるのが、本州との大きな違いであろう。

祭の最後は、花火大会で締めくくられる。
会場は人で埋め尽くされ、行列があちこちにできていた。
「どこから湧いてくるのか」と思うほどの人出である。

会場内を歩いていると、ふと会釈された。
こちらも返すが、一瞬戸惑う。
どこかで会った人だ。
でも、名前はわからない。
お互い誰かわからないまま、でも確かに顔だけは覚えている。何人か「見たことあるけど、誰だかわからない人」とすれ違い、視線を合わせ、時には笑みを交わす。
それもまた、島でよくある日常の一つだ。

花火を近くで見ようと、祭り会場から港へ向かった。海風がひんやりと体を冷やす。
短パンにサンダル姿も、そろそろ終わりの季節だ。

花火は19時40分に上がる予定。
しかし、現在時刻は19時50分。
まだ上がらない。

祭のライブと連携して打ち上げられるらしく、盛り上がりの影響なのか、単なるトラブルなのか、ここでは誰にもわからない。

港では「まだか、まだか」と皆が空を見上げている。

どこかでカウントダウンの声が上がった。
「5、4、3、2、1──」
……花火は上がらない。
また別の場所から、もう一度カウントダウンが・・・・
暇を持て余した少年少女たちの遊びが続いていた。

「花火さえも、うちーなータイムなのか」
そう思いながら、グルクンおにぎりを頬張り、
暗くてもどこか澄んで見える海を見つめた。

突然、大きな振動音。
夜空に、一斉に花が咲いた。

なぜ“花”と書いたのかといえば、
隣にいた小さな少女が、何度も何度も言葉を詰まらせながら、懸命に言葉を探しながら、必死に伝えようとしていたからだ。

「……あのね、花火……お花、大きい……」
「父ちゃん、花火、お花みたいだよ」

その一言が何故か、もしかしたら花火よりも強く胸に刺さった。

歓声と指笛が響いている。

夏が終わるのを感じる。
花火は、心に寂しさを発火させる。
体に響く振動と美しさに感動しながら、
瞬く間に消えていく儚さに、夏の終わりを重ねていた。

花火が終わり、靄のかかった夜空を少し眺めてから、家路についた。

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