漫画家アシスタント物語 第6章 〈3〉 坂本龍馬がそばにいる!
初めての方は、「漫画家アシスタント物語 第1章」(無料)がお薦めです!
または、「マガジン:第1章、第2章」(無料)も読みやすいと思います!
《画像上:2000年前後に描かれたリョウさんのイラスト。龍馬の姉です。》
< この6章〈3〉は、文庫本約18ページ分 >
その11
慶応2年( 1861年 )1月23日。湯船の中で桃色になった頬に黒髪がからむのをその細い指ですくいながら、おりょう(龍馬の妻)が何を思っていたかはわからない。
しかし、その静かな物思いは不審な物音によって中断する‥‥。外を走る男たち( 伏見奉行所配下の刺客 )の足音と荒い息使い‥‥
「 ‥‥‥‥! 」
おりょうが裸のまま風呂場を飛び出して階段を駆け上がる。おりょうが階段に付けた濡れ足跡から湯気が立ち上っている‥‥
ダダダダダ~~ッ
パシ~ッ! 襖が千切れる様に開かれると同時に‥‥
「逃げてっ!」
寺田屋( 坂本龍馬が定宿にしていた )で龍馬が襲われた時には、このおりょうの素早い対応によって龍馬は命を救われます。この時の刺客との激闘跡として、柱の刀傷や龍馬が発砲した時の弾痕などが今も残っているのです‥‥。
しかし、最近ハッキリした事では、この寺田屋は後に再建されたもので、当時の建物は火事で焼失してしまったという事です。
だから現在建っている「 寺田屋 」がまったくの作り物と結論できるのかどうかは微妙です‥‥。 それは、主要な柱や家具など焼け残ったものを移築したのかもしれない‥‥ という仮説を否定するだけの根拠がないからです‥‥。
もちろん‥‥ ここで、おりょうが入っていた風呂だの、龍馬の弾痕だのが全て偽物なのかどうか‥‥ そんな事を私が判断できる事ではありませんが‥‥‥‥。
さて‥‥、この寺田屋にリョウさん( 岡山県出身、88年当時33歳 )たち一行が泊まる事になります( 貸切! 一人一泊7~8千円 )が‥‥。 どの部屋に泊まるかでもめる事になります。
それは寺田屋の2階には、龍馬が泊っていた部屋というものがあったからです。( 一行が泊った1988年当時には、まだ寺田屋が再建されたものであるとは一般には考えれてはいませんでした )龍馬ファンなら誰でも泊まりたいと思うはずです‥‥。
さっそく、ジャンケンで部屋割が決まります‥‥。 この時に、勝負運などには、からっきし弱いリョウさんが20人近くの人の中で勝ち抜いてしまいます。 そして、さらに二人‥‥。
合わせてこの3人で龍馬が泊っていたという問題の部屋( 寺田屋二階 )に一泊します‥‥‥‥。
この部屋で‥‥ 3人が深夜‥‥ 金縛りに合い、枕もとに血だらけの侍がしゃがんでいる姿でも目撃したり、頭を割られた龍馬の亡霊とご対面‥‥
‥‥ってな話で盛り上がる様なら‥‥ このブログも私の単行本も‥‥ もっと売れたかもしれませんが‥‥ 亡霊の「ぼ」の字も出てはきませんでした。
実際には‥‥
その部屋でグーグーといびきをかいて眠りつづけていました。 しかし‥‥ 一人リョウさんは一睡も出来なかったのです‥‥。( 隣に寝る人物のイビキがうるさかったのもあるのですが )
暗い部屋の天井をジッと見つめながら‥‥‥‥ 龍馬暗殺の謎や今日一日の出来事を考え続けていると‥‥。
『 俺は今、龍馬のそばにいる‥‥ すぐ近くにいるんだ‥‥ 』
‥‥と、あたかも龍馬と接近している様な実感を得るのです。 その重く異様な気分のまま時間が過ぎて行きます。
そして‥‥ リョウさんは、夜が明けるまで頭の中にいくつものイメージを並べていくのです‥‥
龍馬‥‥ 暗殺‥‥ 幕府‥‥ 薩摩‥‥ 長州‥‥ 明治維新‥‥ 軍閥‥‥ 財閥‥‥ 昭和の終わり‥‥‥‥
ドキン、ドキン‥‥と、脈打つ自分の心音でも聞く様に‥‥‥‥
「その12」より‥‥
リョウさんの中で龍馬が実体化します‥‥そして、心身は絶不調へ‥‥!

ここから先は

漫画家アシスタント物語 第6章
誠実にまんが道を真一文字に突き進んだ男が・・・・・たどり着いたのは自分の夢の世界なのか? 過酷な現実だったのか?
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!
