漫画家アシスタント物語 第5章 〈11〉 サラ金地獄で菩薩の顔に!
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《 写真上:秋山プロに溜まったゴミの山。 これで、一ヵ月分になります 》
< この5章〈11〉は、文庫本約17ページ分 >
その48
漫画家アシスタントの給料は高い‥‥とは言えませんが食べていけないほど安いわけでもありません。 サラリーマンの平均賃金に比べて、その60%位を今も昔も同じ様な比率でいただいているようです。
1982年、秋風に冬の到来を予感させる様な薄ら寒さが身にしみる日々‥‥。
給料日に月給袋を受け取っても寂しさだけしか感じない多重債務者であるテラさん( 仮称、当時29歳、秋山プロ勤続11年目、私を含むサラ金トリオの一角 )。
『 右から左へ‥‥目の前を流れて行くだけ‥‥ 』 自分の給料が自分の手に入らずに借金の利息払いのために現金自動支払機に吸い込まれて行く‥‥‥‥
『 何ンのために生きているのか‥‥ 』 そう、問わずにはいられない‥‥
『 誰のために仕事をしているのか・・・・ 』 もう、何年も自分の給料を受け取ったという実感を持てない日々がつづいている‥‥‥‥。
まるで収入のない奴隷の様に‥‥ ただ毎日働き、利息を支払い続けるだけ‥‥。 元本と同額かそれ以上の利息を払っているのに、借金は増え続けるだけなのだ‥‥‥‥。
月給袋をもらってニコニコしている後輩アシスタントを見る時、いつも針を飲み込む様に傷つくのだ‥‥‥‥。
『 何ンのために生きているのか‥‥ 』
借金500万円、毎月の利息の支払い15万円。 しかし、手取り給料はボーナス分を含めても月20万円ほど‥‥。
どうしても毎月5万円、6万円と赤字になる‥‥。 その赤字を新たな借り入れで補てんしなくてはならない。
そのため、毎月末には新しい借入先を探したり、借入限度額の増額を求めたり‥‥と、金策に走らなければならない‥‥。
しかし、すでにそれにも限界が来ていた。 どうあがいても怪物のように借金が増え続け、毎日、利息の計算に頭を痛め、息を吸えばため息となり、食事をすれば味気なく、歩けば猫背で、目はうつろ‥‥。
パジャマを着せれば、まさに重篤な病人の様だ‥‥!
借金、利息、返済、借金、利息、返済、借金、利息‥‥‥‥・毎日、毎日、毎日‥‥「 借金 」の事で頭の中がいっぱいだ‥‥!
『 ダメだぁ‥‥‥‥ もう、ダメだぁ‥‥‥‥ 』
テラさんは、ジョージ先生に相談するしかないとあきらめる‥‥ どんなに怒られても‥‥ 仕様がない‥‥ と‥‥。
「 そりゃ、怖かったよぉ! 本当に怒られるのが怖かったもんなぁ‥‥ 」
今、テラさんは当時を思い出しながら苦笑します。 ジョージ先生に相談するしかないと考えても、すぐにジョージ先生に相談する事は出来なかったそうです。
2万、3万の借金ならともかく、500万円( 今の貨幣価値で1000万円ほど )の借金となると事は重大です。
いったい年収の2倍もの借金を会社の社長に相談したら、どういう事になるでしょうか‥‥?
「はい、はい」と言って、助けてくれる社長様がこの世の中に一人でもいるでしょうか‥‥?!
テラさんには、両親がありませんでした。 頼りになる親戚もなかったのです。 一人ぼっちの孤独‥‥。
一人で借金の重さに毎日耐えていました。
しかし、ついに‥‥その重さの余り膝を屈っしてしまうのです‥‥‥‥
『 もう‥‥ ジョージ先生しかいない‥‥ 先生しか‥‥‥‥ 』
公衆電話の受話器を取って、先生に電話をかけます‥‥
ルルル‥‥ ルルル‥‥
呼び出し音が聞こえます‥‥
ルルル‥‥ ルルル‥‥ テラさんの心臓はバクバクです‥‥!
ルルル‥‥
まだ、呼び出し音が‥‥
ガチャリッ!
キタさんは受話器を戻してしまいます。
『 ダメだぁ‥‥ 先生には言えない‥‥‥‥ 』
「その49」より‥‥
蟻地獄のようなサラ金地獄で‥‥‥‥いよいよ終わりの時がやって来る‥‥

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漫画家アシスタント物語 第5章
ヤングジャンプでデビューしても楽はできない。 その先からが地獄のレース、だがそのコースは泥沼、迷路と迷走、遅延の地獄だった!
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