漫画家アシスタント物語 第6章 〈4〉 先生も気を付けて!
初めての方は、「漫画家アシスタント物語 第1章」(無料)がお薦めです!
または、「マガジン:第1章、第2章」(無料)も読みやすいと思います!
《 写真上:2009年、豊島区椎名町の商店街。近くのスーパーでリョウさんが、毎日買い物をしていました。この風景は、昔とほとんど変わりません 》
< この6章〈4〉は、文庫本約15ページ分 >
その16
14年間、無遅刻無欠勤だったアシスタントのリョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、88年当時33歳 )が、早退した次の日からプッツリと仕事場へ来なくなりました。
電話連絡をしてもつながりません。ジョージ先生は他のアシスタントたちに、リョウさんの具合が悪いみたいなので様子を見てくる様に指示を出します。
秋山プロの背景制作の大黒柱カンさん( 仮名:菅原 浩二、神戸市出身、88年当時、35歳、秋山プロ勤続19年目 )は、ジョージ先生の奥さんから連絡を受けます‥‥
「 内海君( リョウさん )のとことへ様子を見に行ってくれる? 」
カンさんは、取り急ぎ果物( リンゴとバナナ )などを手土産にして、リョウさんの下宿を訪ねます‥‥。
リョウさんの住む下宿は、椎名町駅から5分ほど歩いた所にある住宅街の狭い路地の奥にあります。 一般の住宅をアパート風に改造したもので、下の階には大家さんが住み、2階部分をリョウさんが借りていました。
2階には、訪問者が直接外側から階段を上がって行く事ができます。カンさんは金属製の錆びた階段をカタンカタンと上がって、リョウさんの部屋のドアをノックします‥‥
トントン‥‥
しかし、返事がありません。
もう一度ノックします‥‥ やはり返事はありません。
『 具合が悪いのに何処へ行っとんかなぁ‥‥? 』
そう、首をひねりながら帰りかけますが‥‥ 手に持った果物の包みを見ながら、再び振り返ってドアに向かい何気なくドアノブを回しました‥‥
ガチャリ‥‥
ドアノブがすんなり回ります‥‥
そして、鍵の掛かっていなかったドアが静かに開きます‥‥‥‥
「 リョウちゃん‥‥ リョウちゃん、いるか~い‥‥? 」
うす暗い部屋の中に声をかけますが、静まり返った部屋の中には人の気配がありません‥‥。
9月の残暑の中、部屋の空気が暑苦しく台所の油の臭いが鼻にからみます。
カンさんは、持ってきた果物を玄関わきにでも置いて立ち去ろうとしましたが‥‥ そのまま置いておいたのでは果物が傷んでしまうと思い、玄関近くに置いてある冷蔵庫の中に入れておいてあげようと、玄関で靴を脱ぎ、中へ入ります。
小さな台所の小さな冷蔵庫‥‥ その中に、そっと果物を置いて玄関のドアを閉めて外に出ます。
『 それにしても‥‥ 鍵も掛けんと何処に行っとるんや‥‥ 』
カンさんが帰ってからリョウさんが下宿に戻った時には、もうリョウさんの頭には仕事の事も秋山プロスタッフの事もありませんでした。
リョウさんは、この時‥‥ 坂本龍馬が暗殺された謎を解き明かす事だけに没頭していたのでした‥‥ いや、すでにリョウさんの思考は現代と幕末との時間の壁を越え、空間を突破し、龍馬の人格と同化さえしていたのです。
リョウさんが早退した日から3日、4日と無断欠勤の状態がつづき、秋山プロでもあわただしい動きが出てきます。
ちなみにカンさんが置いていったリンゴとバナナをリョウさんが手にするのは2ヶ月後です。冷蔵庫の中で黒く干からびてミイラの様になっていたそうです‥‥‥‥
「その17」より‥‥
秋山プロのスタッフがリョウさんを探します、リョウさんは新宿で‥‥

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漫画家アシスタント物語 第6章
誠実にまんが道を真一文字に突き進んだ男が・・・・・たどり着いたのは自分の夢の世界なのか? 過酷な現実だったのか?
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