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漫画家アシスタント物語 第4章〈5〉 盗まれたネームは?

 
初めての方は「 第1章」「マガジン:第1+2章」(無料)がお薦めです!

 
 
《 画像上:このキャラクターは、マツさんの作品『ジョフレの魂』に登場する貧しくハングリーな少年。「もう、忘れてしも~たのぉ」と言いながら、20年以上前のキャラをサラッと描いてくれました。2006年12月、作画 》
              < この4章〈5〉は、文庫本約16ページ分 >

 


               その27
 
 
アシスタントのマツさん( 仮名:松村 祐樹、広島出身、29歳 )が結婚した1983年1月。 その頃からマツさんの創作意欲に火が点いたのですが、それまでの7年間、遊んでいたわけではありませんでした‥‥。
 
いつも作品のアイデアを練り、キャラクターを作り、せっせとメモを取って、まとめていたのです。 マツさんが7年ぶりに漫画制作に入る時、自分が一人になれるアトリエ( 三畳一間の木造アパート )を桜台に借りました。
 
私は、コタツだけしかない、めっぽう寒いそのアトリエに何度も出かけたものです。もちろん、私だけではなく他のスタッフやマツさんの友人が多く訪ねて来ていた様です‥‥。
 
誰もが創作意欲に燃えギラギラとオーラを発するマツさんのパワーにあやかりたかったのかもしれません‥‥。
 
私はマツさんと一晩中、漫画の話をしました。マツさんは無頼派で自分の感性に最も重点をおいた考え方。私は技術やテーマにこだわる考え方。
 
お互いに全然違う感性を待っていた事で、時には激しい議論の火花を散らします。 お互いに一歩も引かないぶつかり合いは、気がつけば夜が明けてしまうまで続いたものでした‥‥‥‥。
 
 
マツさんの週一本の漫画制作のペースが第三週目にしてくずれるのは、その作品の長さに原因がありました。しかし、別に正規の「 締め切り 」があったわけでもありませんから、とにかく時間を気にせず34ページの作品完成に向けて「 一筆入魂 」に励んだのです‥‥。
 
この作品「 ジョフレの魂 」を私は忘れる事ができません‥‥。 それは、物語のテーマが当時、私が描いた「 MASK BOY 」と同じ「 父と子 」の断絶を描いた作品だったからです‥‥。
 
まったくの偶然だったのですが、不思議な縁を感じました‥‥。
 
このマツさんのストーリー漫画( 本人はギャグ漫画のつもり )「 ジョフレの魂 」は、超大金持ちの少年と貧乏でハングリーな少年との話ですが、その大金持ちの少年が大富豪の父親にスポイルされていくギャグ漫画らしくない深刻な結末の物語でした‥‥‥‥。
 
「 おぼっちゃまくん 」( 1986~94年、小学館、小林よしのり )が発表される以前に超大金持ちの少年をギャグ漫画にしていたマツさんの鋭い感性に、現実の荒波は情け容赦なく‥‥‥‥

 
 


秋山プロのマツさんのデスク。40年間のマツさんのダンディズムが染み込んでいます。


               その28
 
 
漫画と言えば「 がきデカ 」( 秋田書店、山上たつひこ )「 Dr.スランプ 」( 集英社、鳥山明 )などが、1980年代のギャグ漫画界を賑わせていました。 そして、漫画界全体を見れば‥‥ルンルン気分と「 ラブコメ 」の全盛期へ‥‥‥‥
 
こうした状況で、マツさん( 仮名:松村 祐樹、広島出身、29歳 )の「ジョフレの魂」( ジョフレとは、ネレル・ジョフレという昔のボクサーの名前、それを作品のテーマであるハングリー精神の象徴としている )は、まずジョージ先生の批評に耐えねばならなかったのです‥‥‥‥
 
結論から言えば、それはキビシイ結果でした‥‥ 「 ジョフレの魂 」の感想を後にジョージ先生は一言でこう表しました‥‥
 
「 ギャグが古ぃ~ 」
 
当時の新しいギャグに乗り切れずに、テーマや世界観を「 ギャグ 」にしぼりきる事ができなかった‥‥ もっとパワーのある斬新なギャグを作らなければならない‥‥
 
こうしてマツさんの前に新しい課題が提示されたのです‥‥。
 
しかし‥‥ ギャグ漫画の連作は、この第三作をもって終わります‥‥。誰もがマツさんはきっとこれからどんどん作品を描いていくだろう‥‥そう考えていたのに‥‥!
 
「 ワシャ~これから毎週一本、漫画を描くで~っ! 」
 
‥‥と、宣言していたマツさんが‥‥
 
あと一歩でデビューできると誰もがそう予想していたのに‥‥‥‥。
 
マツさんの熱気がだんだん冷めていく‥‥‥‥ それは、家庭の事情や「ジョフレの魂」がボツになった事‥‥‥‥ いくつかの事情が重なった事が原因の様でした‥‥‥‥
 
桜台の三畳一間のアトリエ( 隠れ家 )も6ヶ月ほどで撤退します‥‥
 
「 ジョージ先生の批評はともかく、取りあえず賞に応募すれば、何か取れるんじゃないですか‥‥? 」
 
‥‥という、私の質問には‥‥
 
「 この年( 29歳 )で『 佳作 』だの何だの取ってものぉ‥‥ 」

「 漫画なんていつでも描けるでぇ! 」そして、すぐデビューできると高をくくっていたマツさんが、この頃から一枚も原稿を描けなくなります‥‥‥‥
 
漫画を描く事もデビューする事も簡単だと過信していた事が危険な落とし穴だったのかもしれません‥‥‥‥ しかし‥‥‥‥
 
実は‥‥‥‥ 最大の原因が他に隠されていたのです‥‥‥‥ 
 
誰一人として、予想も出来ない事がマツさんを襲っていました‥‥‥‥

(注:読者のみなさんに気を持たせるつもりはありませんが、生命に関わる様な大事ではありませんので、過度な期待をなさらないでください!)

 
 
  「その29」より‥‥
 マツさんを襲うアクシデントと、その後‥‥

 

有料部分は、単行本11ページ分です。コーヒーやおやつなどを楽しみながら、ごゆっくりどうぞ!

 
 
 

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