漫画家アシスタント物語 第5章 〈14〉 蟹工船、神保町より出港!
初めての方は「 第1章」や「マガジン:第1+2章」(無料)がお薦めです!
《 画像上:「覇王の船」劇中でヒーローが撃ち殺されます。1990年 》
< この5章〈14〉は、文庫本約16ページ分 >
その62
『 これが出来なきゃ、俺は終わりだ‥‥ 』
‥‥そう思い始めた、その「 これ( 方法 ) 」とは‥‥。( お察しの通り )ごく簡単な話ですが‥‥
「 勝手に締め切り、勝手に届け出 」 ‥‥という事でした。
面倒な背景に意識を集中するために自分で「 締め切り 」( 1週間 )を設定して、週一回、仕上がった原稿を1枚でも編集部へ届ける‥‥ そうして原稿制作を一刻も早くを終わらせる‥‥
この方法は、大変効率が良かったのです。思いのほか制作がはかどりました。
この当時、「 週刊ヤングジャンプ 」も「 週刊少年ジャンプ 」も歴史的な発行部数を記録。集英社の社屋が一つ、また一つと買い増しされ「 週刊ヤングジャンプ誌 」編集部もあちらから、こちらのビルへ。 そして、今度はあそこのビルへ‥‥と、替わっていったのです。
バブル絶頂( 1990年 平成2年 )、一億総マハラジャ‥‥みたいな時代( 翌年、景気はダウンする‥‥ )に、、破れたGパンをはいて先週8枚、今週6枚と、編集部に原稿を運ぶ私にだけは、一足早い秋風ならぬ不景気風が吹いていたような感じです。
「 小池さん‥‥、毎週来なくたっていいですよ‥‥ 」
私が毎週訪ねて来る事の面倒を気の毒がっているのか、私が来るのがうっとおしいのか‥‥ どちらか分からない様な表情で編集員氏に言われた事があります。
その時は、もちろん‥‥
「 大丈夫です。毎週、持って来ます! 」
100ページの背景は、こうして着々と(?)描かれていきました‥‥。
残りはわずかでした‥‥ 後、1ヶ月ほどで完成できるか‥‥‥‥
ある日、私はいつもの様に数日前にアポをとってから集英社に向かいました。 この時にも10枚ほどの原稿を持って行きました。確か‥‥もう暗くなっている時間帯だったと記憶しているのですが‥‥‥‥
少し汗ばんだ手に、B4のビニールケースを持って人気のない編集部に入ると‥‥ 担当の編集員氏がいつもの席に見当たりません‥‥‥‥
「 あのぉ‥‥ Kさんは‥‥? 」
「 ‥‥‥‥? あいつ帰ったんじゃないかな‥‥ 」
ガラ~~ンとした編集部を後に私は1階のロビーへ降りて行きます‥‥
そこへ誰かを見送りにでも出てきていたのか、担当の編集員K氏がエントランスに入って来ました。
『 あれ? 何しに来たの? 』
という感じで見られた事は気にせずに、原稿の入った封筒を渡しました。彼は片手でその封筒を受け取りながら‥‥
「 はい、ご苦労様‥‥ 」
そして、忙しそうにエレベーターの方へ小走りに去って行ったのです。
私は彼の後姿を見ながら‥‥ 心の中で‥‥‥‥
『 もう少しだ、もう少しで完成だ‥‥ でも‥‥ もっと急がなくちゃダメだ! 』
売れない漫画家の悲哀がどんなものか‥‥ まだ身に沁みてはいませんでしたが‥‥‥‥
私は確実に、消え行く新人の悲しい裏門をくぐろうとしていたのです‥‥‥‥
久しぶりの‥‥
『 漫画家アシスタント物語、血の教訓 』( 短歌調 )
『 頼まれて 売れる漫画を サクサクと 描いて楽しい 連載作家!
そして‥‥ 我々( 貴方と私 )の永遠のテーマ‥‥‥‥
頼まれも せぬのに描く 原稿を 売れると信じて 今日も投稿! 』
「その63」より‥‥
プロレタリア小説の漫画が完成! そして、次はポルノ漫画へ‥‥

ここから先は

漫画家アシスタント物語 第5章
ヤングジャンプでデビューしても楽はできない。 その先からが地獄のレース、だがそのコースは泥沼、迷路と迷走、遅延の地獄だった!
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!
