漫画家アシスタント物語 第5章 〈12〉 返済しても終わらない!
初めての方は「 第1章」や「マガジン:第1+2章」(無料)がお薦めです!
《写真上:2011年1月、池袋の賑やかビル街。物語と直接関係ありません》
< この5章〈11〉は、文庫本約15ページ分 >
その53
漫画家先生の奥さんに付き添われて、サラ金会社に借金を返しに行く気持ちは、どんなだったでしょうか‥‥暗く落ち込んだ‥‥憂鬱な気分‥‥羞恥心と後悔の念‥‥
実は‥‥ まったく違っていました。
1982年、秋。
ジョージ先生の奥さんに付き添われて東京Jr線目白駅から都内にあるサラ金、カードローン会社をいくつも廻っている時の心境をテラさんは、今この様に振り返ります‥‥
「 気が楽だったよ‥‥ あ~これでサラ金地獄とはおサラバだと思ったらさぁ‥‥ 心、晴々だったよ! 」
サラ金地獄( 当時の年利は40%! )を脱した人生が、これほど素晴らしいものだとは‥‥!
身も心も軽く、まさに秋の青空の如く!
手取り月給16万円で500万円高利の借金があったら、当時の選択肢は、夜逃げ、強盗そして、自殺か‥‥‥‥。
5年間、背負い続けた肩の荷を、やっと降ろすことが出来た瞬間の身軽さは、あたかも体が宙に浮く様な気分だったかもしれません。
さて、ビル街にあるサラ金会社の前‥‥。
テラさんは、その会社からの借り入れ額を奥さんに話します。そして、奥さんは、バックの中からその分の現金をテラさんに渡します。
現金を受け取るテラさんは、少し緊張しながら奥さんの表情を一瞬うかがいます‥‥
『 行ってらっしゃ~い! 』
そんな感じの笑顔だったそうです。 本当に『 行ってらっしゃ~い! 』と、軽く送り出す時の言葉が聞こえた様な気がするほど、明るい奥さんの表情だったそうです。
サラ金会社の受付嬢‥‥
「 いらしゃいませ~っ! 本日はご融資ですかぁ? 」
「 いや‥‥返済で‥‥ 」
「 お幾らほど‥‥? 」
「 全額‥‥! 」
「‥‥?」
「 全額返済! 」
この瞬間の充実感は、まさにプロ野球での満塁ホームランである!
ジックリと一塁ベースを回り、二塁ベース、三塁ベース、そしてホームベースへ‥‥‥‥ タッタッタッタッ‥‥‥‥!
カウンターの上にズッシリとした札束をのせる時の快感! 他の客が視線を走らせる‥‥ カウンターの現金とキタさんのクールな表情‥‥!
『 二度と来ないぜ、バカ野郎! 』
‥‥と、後ろ姿で( 心の中で )タンカを切って‥‥自動ドアを開けて外へ!
ビルの玄関で待っている奥さんに「 受取証 」を渡して一件落着。 こうして各社の借金を返済していきました。
午後のビル街を歩きながら奥さんは‥‥
「 これが、終わったら笑い話で済む様になるとイイね~! 」
やさしい母親の様な表情から、少女のようなはじける笑顔に変わります‥‥
何ヵ所か返済がすんだところで奥さんに食事をごちそうになり、最後の一店への返済をすませた時は、もうすっかり日が暮れていました。
帰りの山手線の中で、奥さんは車窓を流れる「 ニコニコ金融 」とか「 しあわせローン 」などといった派手なネオンの看板を見つめながら‥‥
「 あんな感じで貸すんだよね‥‥本当は怖いのに‥‥‥‥ 」
「その54」より‥‥
テラさんは毎月5万円を返済する‥‥そんな時、姉が心臓病で入院する!

ここから先は

漫画家アシスタント物語 第5章
ヤングジャンプでデビューしても楽はできない。 その先からが地獄のレース、だがそのコースは泥沼、迷路と迷走、遅延の地獄だった!
年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!
