漫画家アシスタント物語 第8章 〈10〉 女の秘密は、知らぬが仏!
《写真上: 池袋北口近くにある静かなカフェです。 一人でリラックスする時、編集関係者やメディア関係者とは、ここで打ち合わせをしました。》
< この8章〈10〉は、文庫本約9ページ分 >
「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
ただし‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その19
《 漫画家アシスタントが・・・女の秘密に目をつぶる! 》
東京の夜‥‥ 男と女が居れば、そこには「 ウソ 」が付き物で‥‥
特に、池袋にお店( ※参照 )を構えた時から‥‥ 私は、日々この「 ウソ 」について考えさせられました。
随分前ですが、私の先輩アシスタントであるガンさん( 第4章 その33 )の話を書かせていただいた事がありました。
その話の中に、ガンさんがソープランドで仕事をした時の話がありました‥‥
今から思えば‥‥ それは、まさに「水商売」の世界の「 表 」と「 裏 」‥‥「 ウソ 」と「 お金 」という実弾が飛び交う戦場の様な場所だったわけです‥‥
これは、ガンさんが何度も繰り返して私に話してくれた事なのですが‥‥
「 女が信じられなくなる! 」
‥‥と、前置きして‥‥
「 客を送り出す時にはニコニコと『 また、きっと来てね~大好きだよ~! 』と、客に抱きついているソープ嬢が‥‥ 」
ガンさんは、少し顔を曇らせながら‥‥
「 客をドアの外へ送り出した瞬間に‥‥『 イヤな客‥‥二度と来るなっ‥‥ 』って怖い顔してさ‥‥ 」
ガンさんは諦めた様な表情で‥‥
「 小池ちゃん、ホントよ‥‥ 信じられなくなるって! 」
私は笑いながら‥‥
『 そんなもんなんだろうなぁ‥‥ 』
‥‥と、気楽に考えていました。
「 Yちゃん、ホントに女って怖いンだって! 」
私は‥‥ やはり‥‥ 笑いながら‥‥
『 そうなんだろうなぁ‥‥ 』
‥‥と‥‥‥‥つまり、その時‥‥ ガンさんが憂鬱になる気持ちを私は、まだ深く理解出来ていなかったのです‥‥‥‥
しかし、私も「 水商売 」みたいな「 マッサージ店経営 」に手を染める事になり‥‥ ガンさんの気持ちがだんだんと分かる様になりました。
それは、マッサージ師( ※参照 )のピムさん( 仮名、設定なども変更 )という小柄で可愛い( お目々パッチリ )タイ人女性がお店に来てからのことでした‥‥
ピムさんは29歳。 私のお店には2007年の春から半年ほど勤めてくれました。 彼女の10代の様な幼い表情と丁寧な施術は、指名のお客さんを沢山呼んだものでした。
彼女は、人柄がとてもやさしく、日タイ貿易商社の管理職で日本人のご主人とも仲が良かったし、ごく普通の中流の暮らしをしていました。
しかし‥‥
彼女は、自分の手帳の奥に‥‥
セックスの時に絶頂に達した時の‥‥ 半分死ンだ様に朦朧とした赤ら顔‥‥ そんな自分の姿を写した写真を隠し持っていました。
ご主人は、まったく知らないのです‥‥ つまり‥‥ この写真を撮影したのは、彼女の不倫相手( 日本人の商店主 )でした。
ピムさんは、故郷であるタイのプーケットに多くの家族とタイの「 旦那 」( 未婚 )もいて、いつも送金の要請に応えるのに四苦八苦していました。
当然、この故郷の「 家族 」や「 旦那 」を養育するために、「 日本のご主人 」や「 日本の不倫相手 」からお金を「 借りて 」送金するわけです。
しばらくして故郷にプールとジャグジー付きの大きな家を建てたのですが
‥‥ その資金の半分づつを「 日本のご主人 」と「 日本の不倫相手 」が出しているのです。
「 プーケットで‥‥ 二人で暮らしましょうネ! 」
‥‥そう言って「 日本のご主人 」と「 不倫相手 」からそれぞれ数百万円( 貴重な老後の資金 )を吸い取っています。
私は、「 タイの旦那 」が本命なんじゃないかと思うのですが‥‥‥‥ 確信はありません。
「 日本のご主人 」は自分だけが「 夫 」だと思っているし、「 日本の不倫相手 」は自分こそが「 法律上の夫よりも愛されている 」と思っています。
しかし、このお人好しな二人の日本人は、ピムさんに2番目、3番目の「 不倫相手 」が居る事をまだ‥‥‥‥ 知りません。
私は、すぐにでも知らせてあげたかったですが‥‥‥‥
‥‥‥‥‥黙っていたのでした。

その20
《 漫画家アシスタントが・・・男なのに婦人科へ! 》
小説を書く時のコツで‥‥ある作家の言葉に「 読者の予想を裏切れ 」というものがあります。 つまり、奇抜なアイデアや展開によって読者の予想を越える必要がある‥‥ という事です。
そして、同時に「 読者の期待は絶対に裏切るな 」とも言っています。予想は裏切り、期待は絶対に裏切らない‥‥ この辺がミソでしょうか。
これは、漫画でもまったく同じ事が言えると思います。
『 読者の予想を裏切れ、しかし、期待は絶対裏切るな! 』
ただ、問題なのは‥‥ それを実行する事は‥‥ 大変な困難を伴うという事でしょうか。 偉大なる(?)作家先生の言葉は、シンプルで簡単そうに聞こえるのですが‥‥ 実行するとなると‥‥ 難しく‥‥‥‥
ちなみに‥‥ 私に出来るのは‥‥‥‥
「 予想通りに期待を裏切る! 」
‥‥‥‥何ンで、これなら簡単なんだろう‥‥‥‥‥‥
お店をやっていた6年間の間で一番若いマッサージ師さんは19歳のユーリさん( 仮名・設定を若干変更 )でした。
タイからの留学生で、日本の大学で勉強をしていましたが‥‥ 勉強より遊びや買い物の方が好きな娘さん。 カラっとした性格の、それでいて「 良家の子女 」( 実家はお金持ち )といった風格もある‥‥ もぎたての青リンゴの様な人でした。
アイドルというほどの美人ではありませんが、いつもニコニコしている明るい笑顔と均整のとれた体形は、若々しいオーラを発散させていました。
お店には30代から40代のマッサージ師さんが多かったので、姉妹の末っ子か、実娘の様に年配のマッサージ師さんたちから可愛がられていました。
「 ユーリはまだ知らないみたいネ 」
「 そデ~ス、初めての時にワ、すごく痛いヨって‥‥脅かしたら、怖がってたヨ! 」( 笑い )
「かワイ~~ッ」
‥‥などといった、年増マッサージ師さんたちの他愛もない猥談を聞いた事もありました。
お店では、思春期の少女がいる様な‥‥ 和やかな雰囲気が春風のように流れていわけです‥‥‥‥
コロコロと笑うユーリさんを見ていると‥‥ これからの人生で何が待っているか‥‥‥‥ そこに明るくて楽しい日々があってほしいと‥‥ 親でもないのに‥‥ ふと‥‥ 親心気分を持ってしまったりするのでした。
そんな彼女が家族の一員の様にお店に馴染んだ頃の事‥‥
確か‥‥ あまり暑くない夏の日の午後‥‥‥‥
体調が良くないとは聞いていたのですが‥‥ どうも、ユーリさんがおりものに悩んでいるとの事で近くの婦人科まで付き添う事になったのでした。
男性の読者には分かりにくいかもしれませんが、女性には、膣を雑菌から守るために「おりもの」があるのですが‥‥ 時に、かゆみやニオイなどの異常が出る場合があるのです。
お店で、近くの婦人科クリニックへ案内出来るのは私くらいなので( 通訳ができる )、早速ユーリさんを連れて出かけました。
初診の時に書く問診票には‥‥ アレルギーについてや、過去の病歴や、妊娠出産、また妊娠中かどうかなどの質問項目があるので、一つ一つ、彼女にタイ語で質問しながら私が日本語で記入していくのです‥‥‥‥
以下も、ほぼタイ語でのやり取り‥‥
私は問診票を見ながら‥‥ 事務的に‥‥
「 アレルギーは、ない‥‥と。それから‥‥ 大きな病気や手術を受けた事はありますか? 」
「 ないです。 」
「 妊娠も出産もないよね? 」
「 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」(沈黙)
「 ‥‥‥‥妊娠は? 」
「 ‥‥‥‥‥‥ある。 」
「 ‥‥ええッ!? 妊娠してるの~っ?? 」
「 違う違う、中絶した事があるの‥‥‥‥ 」
「 え‥‥?」
「 皆には、内緒ね! 」
「 ‥‥‥‥え~~と‥‥‥‥‥‥ 妊娠‥‥ 中絶が1回‥‥と。 」
「 3回です! 」
彼女の病名は軽いカンジタ症( カビ感染症、ストレスなども原因の一つ )でしたので、お薬で数週間のうちに完治したのです‥‥‥‥
お店に戻って、いつもの様に仕事が始まります‥‥‥‥
そして、いつもの様に‥‥ 年配のマッサージ師さんからエロ話を聞きながら‥‥‥‥
「 ヤダ~~ッ、怖いナ~~ッ 」
‥‥と、演技する彼女を見ていると‥‥ 私の方が怖くなるのです。
もちろん‥‥‥‥ この事は、今でも「皆には」内緒の話です。
「 漫画家アシスタント物語 第8章〈11〉」へつづく・・・・
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~~~ 参照 ・第8章〈10〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
【その19】
・お店 : 2004年に池袋に開店したタイマッサージ店。私のカミさんがママとして働く。常時3~5人のタイ人マッサージ師が在籍。常連さんもできて、1年目から経営が軌道にのる。
・マッサージ師 : お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
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