見出し画像

【19回目】乙種第4類危険物取扱者(乙4)の話 

今回は乙種第4類危険物取扱者(乙4)を取得した時の話です。「乙4」の名前で広く知られる資格です。使いどころとしてはガソリンスタンドが思い浮かびますが、様々なところで活用される資格です。難易度は低めになりますが、法令などでも詳しく問われるので対策は必要です。

また「4類」というのは扱う危険物の種類を示し、危険物の種類に応じて他にも種類があります。そのあたりについてもお話していきます。


1. 乙種第4類危険物取扱者(乙4)とは

乙種第4類危険物取扱者の概要
乙種第4類危険物取扱者(通称:乙4)は、消防法で定められた「危険物」のうち、ガソリンや軽油、灯油などの「引火性液体」を取り扱うことができる国家資格です。

数ある危険物資格の中で最も人気が高く、受験者数は毎年数十万人規模にのぼります。生活や産業に直結する燃料を扱えるため、学生の就職活動から社会人のキャリアアップまで、幅広い層から圧倒的な支持を得ている定番の資格です。

試験内容
試験は以下の3科目からの出題となります
・危険物に関する法令
・基礎的な物理学及び基礎的な化学
・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

化学の基礎知識から、ガソリンスタンドの保安基準、具体的な消火方法までを網羅していますが、複雑な計算や記述式の問題はありません。すべて5肢択一のマークシート方式であり、全35問を2時間で解く形になります。

試験の仕組み
指定された試験会場に足を運び、紙の問題用紙とマークシートで受験するスタイルです。受験の申し込み手続きについては、スマホやパソコンから申し込む「電子申請」が主流となっています。

資格の有効期限(更新について)
試験合格そのものに有効期限はありません。一度合格すれば、資格(免状)自体は生涯有効な「一生モノ」となります。ただし、実際にガソリンスタンドなどで危険物取扱の業務(実務)に従事する場合は、法令により定期的な「保安講習」の受講が義務付けられています。

※資格を所持しているだけで実務に就かない場合は講習の受講義務はありません。

なお県によって試験日などが異なります。試験会場等も異なるため細部については実施機関の公式サイトをご確認ください。

(HP)一般財団法人 消防試験研究センター



2. 危険物取扱者試験における区分(取扱える種類別)

国家試験である「危険物取扱者試験」における、現在の区分と取扱える危険物の範囲は以下の通りです。 

甲種(すべての危険物:プロフェッショナル向け)
消防法で定められた第1類から第6類まで、すべての危険物を取り扱うことができます。また、無資格者が危険物を扱う際の「立ち会い」を行うことも可能です。化学系の一定の学歴や、乙種の複数合格といった受験資格が必要となる、危険物資格の最高峰です。

乙種(特定の類の危険物:実務・専門職向け)
危険物が性質ごとに第1類から第6類に分かれており、合格した特定の類の危険物を取り扱うことができます。甲種と同様に、無資格者への「立ち会い」権限も持っています。受験資格はなく誰でも受けられるため、実務で必要な類だけをピンポイントで狙えるのが特徴です。

丙種(第4類の一部の危険物:入門・現場作業員向け)
もっとも需要の高い「第4類(引火性液体)」のうち、ガソリン、灯油、軽油、重油など特定の危険物に限り取り扱うことができます。乙種とは異なり、無資格者への「立ち会い」権限はなく、自分自身が作業する資格となります。試験の難易度も低く、現場作業に特化したエントリー資格です。

このように危険物取扱者は3つの区分に分かれており、今回ご紹介している「乙4(乙種第4類)」は、誰でも受験できる乙種の中の1つという位置づけになります。

すべての危険物を扱える「甲種」が最も万能ですが、受験資格のハードルが高いため、実務で使われる危険物の約8割をカバーできる「乙4」が、実質的なエントリー資格として圧倒的な人気を集めています。

【補足】乙種1類〜6類の具体的な中身
乙種は危険物の性質ごとに1類から6類に分かれており、それぞれ以下のような特徴を持っています。

第1類:酸化性固体(塩素酸カリウム、マッチの着火剤など)
自身は燃えませんが、大量の酸素を含んでおり、他の物の燃焼を激しく手助けする固体です。

第2類:可燃性固体(硫黄、マグネシウムなど)
火が付きやすく、一度燃え出すと非常に激しく燃焼する、比較的低い温度で引火する固体です。

第3類:自然発火性物質及び禁水性物質(カリウム、ナトリウムなど)
空気中で勝手に燃え出したり(自然発火)、水に触れると激しく反応して可燃性ガスを出す物質です。

第4類:引火性液体(ガソリン、灯油、軽油など)  ★一番人気!
非常に火が付きやすい「液体」です。身近な燃料の多くがこれに該当するため、もっとも需要があります。

第5類:自己反応性物質(ニトログリセリン、ダイナマイトの原料など)
物質そのものの中に「可燃物」と「酸素」の両方を含んでいるため、空気がなくても爆発的に燃える危険物です。

第6類:酸化性液体(過酸化水素、濃硝酸など)
第1類の液体バージョンです。自身は燃えませんが、他の物の燃焼を促進し、触れると激しい皮膚火傷を起こします。

このように性質はバラバラですが、世の中で使われている危険物の大半が「第4類」に集中しているため、まずは乙4から取得するのが王道ルートとなっています。


3. 試験概要 (乙種第4類危険物取扱者の場合)

実 施 :一般財団法人 消防試験研究センター
    (各都道府県の支部が会場を手配)
     ※現地の学校や、試験センターなどの指定会場で筆記試験を実施
受験資格:特になし
     ※年齢、学歴、国籍に関係なく、誰でも受験可能
受験料 :5,300円(非課税)     (令和8年度現在) 
時 期 :都道府県ごとに異なる(年間複数回) 
     ※東京ではほぼ毎週、地方都市でも年数回〜毎月実施
      希望の会場を選んで申し込み可能
試験時間:120分(35問)
合格点 :3科目すべてで60%以上の正解
     ※1科目でも60%未満があると、不合格となる「足切り」あり
合格率 :30%前後
備 考 :有効期限や取得後の更新手続きはありません
     ※ただし実務従事者は保安講習あり

試験時間は120分あり、マークシート方式なので、しっかり勉強していれば時間については余裕があります。合格率が30%前後とやや低く見えるのは、科目ごとの採点による不合格などがあるためと思われます。

補足:各科目について
危険物に関する法令            
  問題数15問
消防法やガソリンスタンドの保安基準、手続きのルールなど、暗記が重要になる分野です。

基礎的な物理学及び基礎的な化学         問題数:10問
物の燃え方、消火の理論、中学〜高校レベルの基礎的な化学。理系知識が必要ですが、深い計算問題は出ません。

危険物の性質並びに火災予防及び消火の方法   問題数:10問
ガソリンや灯油など「乙4」が扱う液体の具体的な特徴(引火点や沸点)
や、それぞれの消火器の使い分けを学ぶ分野。


4. 私が取得することになったきっかけ

職場で「乙4を取りに行こう」という流れ
当時私は、海上自衛隊を退職し、大手通信会社の電力部門で契約社員として働いていました。その年の夏に「第三種電気主任技術者」を受験し、年度末の次期試験に向けて勉強を続けていたのですが、次の本番まで少し期間が空いている状態でした。

そこで、試験本番の感覚や勉強のモチベーションをキープすること、そして部署内の資格保有者を増やそうという話になり、未取得のメンバーと一緒に乙4を受験する流れになったのです。

非常用発動発電機と乙4
オフィスビルや商業施設、通信基地局などには、災害による停電に備えて非常用の発電機が必ず設置されています。この発電機を動かすための燃料として「軽油」や「重油」が使われており、これらを一定量以上(※1)保管・管理するために「乙4」の免状が必要になります。

私自身は自衛隊にいた頃から業務でこれらを扱っていました。当時から「一度しっかり勉強し直した方がいいな」と考えていたところだったので、今回の受験はちょうど良い機会でした。

※1:指定数量といい、法律で定められた一定以上の量を保管・扱う場合に
    は、対応する資格(免状)を所持している人が必要になります。


5. 勉強期間や勉強方法

勉強期間
第三種電気主任技術者の勉強の傍ら勉強していました。乙4の試験は11月に受験しましたが、勉強を開始したのは1か月前の10月からです。仕事が終わった後に第三種電気主任技術者を3時間、乙4を1時間といった配分です。休日は少しまとめて勉強したのでトータルで50時間といったところです。

使用図書
乙4に関しては様々なテキストがあります。基本的に自分が見やすいと思ったもので大丈夫だと思います。私はユーキャンの図書が見やすかったので以下のものを使用しました。

ユーキャンの乙種第4類危険物取扱者 速習レッスン

イラストも多く読みやすかったです。テキストも軽いので取得後も職場に置くなどして、見返したりしていました。

ユーキャンの乙種第4類危険物取扱者 予想問題集

テキストと同じ出版社に合わせてこちらの予想問題集を使用しました。同じ問題は出ませんでしたが、問題集を把握することで類似の問題には対処できました。
乙4の特徴として試験後に問題用紙が全て回収され、公式からも過去問の公開は一部に限られます。出版社によっては過去問を取り扱っているところもあるようなのでそちらの方がいいかもしれません。

勉強方法
基本的にテキストの通読と問題演習です。全体の7割が中学校で習う範囲で残りが高校化学の基礎の部分ですのでそこまで難しいことは問われません。社会人になってからは電気工学と電子工学が中心になっていたので勉強していて懐かしく感じました。勉強の配分については法令の分野に主に時間を割きました。

試験の感想
問題は解きやすく初受験で合格しましたが、油断しなくても落ちる試験だと思いました。3科目あるうちの「危険物に関する法令」が特に厄介です。残り2科目は計算や数値が決まっているので答えもはっきりするのですが、法令に関しては判断が難しい問題が少なからずありました。細かいところも聞いてくるので暗記が不十分だと勘に頼ることになってしまいます。


6. 乙種第4類危険物取扱者を取得して

就職活動において
ガソリンスタンド以外でもビルメンテナンスの仕事などはこちらの有資格者をよく募集しています。持っていない場合でも入ってから取得するように基本的に言われます。ちなみに履歴書に書く際などは「乙種第4類危険物取扱者免状 取得」です。「乙4」はあくまで通称なので正式名称で書きます。

私の場合の乙種第4類危険物取扱者
その後も転職していますが、なんだかんだ持っていると便利な資格だとは感じます。書類面でも評価されますが、入ってからも業務を任されやすいです。

あと取得して良かったのは、軽油やガソリンについてこれまで以上に詳しく説明できるようになったことです。技術系の仕事において最も大事なことは「安全」です。安全教育などは頻繁に行われますが、その際にも自信をもって説明できます。資格を持っていれば説得力もありますからね。


7. 全体の感想

乙種第4類危険物取扱者の価値
前回お話したITパスポート試験と同じく、受験者数が多いからか試験に落ちると恥ずかしいとも言われる資格です。ですが無勉強で受かるほど甘い試験でもありませんし、問題の内容によっては普通に落ちます。3科目基準を満たす必要もあります。

そのうち触れると思いますが、乙種第4類危険物取扱者は「ビルメン4点セット」と呼ばれる資格の一つです。その中でも一番最初に取るのに向いています。活用できる範囲も広いですし、ビルメンテナンスなどで働くことを考えられてるならお勧めの資格です。

今後について
乙種第4類危険物取扱者は他の種類を取ることで甲種が受験可能になります。そちらも少し考えたのですが、乙4類でカバーできる範囲が広すぎるので当面はこれでいいかなと思ってます。その代わりに消防設備士などを勉強するのが応用も効いていいかなと思ったので受験計画を検討中です。

次回については第三種電気主任技術者を取得した時の話です。よろしくお願いします。


いいなと思ったら応援しよう!