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kerari_dowa
土曜の早朝、見えない希望をトランクに積み込む男たちへ
土曜の早朝5時。まだ薄暗い駐車場で、車のトランクにキャディバッグを押し込む男たちがいる。
平日は理不尽な仕事にすり減り、疲れ切った顔をしていたはずなのに、早朝の高速道路を走る車内での彼らは「今週の雑誌の表紙を飾っていたあのプロ」の顔になっているのだ。
昨晩のコラムで「雑誌の教えを全部乗せしてバグっている」と毒を吐いたが、あれを取り消すつもりも、言い訳をするつもりもない。
ただ、冷静に考えてみてほしい。
しがらみだらけの社会で摩耗する大人たちに、週末の朝っぱらから「今日こそはベストスコアが出るかもしれない」という少年の夢を見させつづけるメディアって、純粋にすごい仕事じゃないか。
そして、彼らが真似ているプロたちも、別にアマチュアの機嫌をとるためにプレーしているわけではない。自分の生活とプライドをかけて、ヒリヒリしながら1打の重みと戦っているだけだ。
その残酷な生き様が、結果として名もなき週末のゴルファーの希望に変換されている。
メディアが極上のエンタメを作り、プロが人生をかけてその主人公を演じ、週末のゴルファーたちがそれを真に受けて1番ティーに立つ。
少し滑稽で、でもたまらなく人間臭い、見事な構図だと思う。
さあ、今まさにゴルフ場へ向かっているそこのあなた。
そのスイングが今日のコースで通用するかは別として、少なくとも朝イチのティーショットを打つ瞬間までは、あなたがタイガー・ウッズだ。
前の組への打ち込みにだけは気をつけて。良い週末を。
