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愛媛、みかん色の旅。

これは今年の2月のお話。

私は今、四国旅行のスポット探しに
明け暮れている。

香川、徳島と巡ってきたこれまでの四国旅行。
どの旅も、印象的な景色や温かい人々、
そして美味しいご飯との出会いに溢れていた。
今でもその空気感を鮮明に思い出せるほど、
四国の魅力に深く引き込まれている。

「次はどこに行こうか。」

そう考えたとき、真っ先に浮かんだのが
愛媛の道後温泉、高知の龍河洞、
そして香川の小豆島だった。

私はいつも、行ってみたい場所を一つ決め、
そこを中心として他の観光地を探していく。
今回はその三つの中から選ぼうと思ったが、
かなり迷う。
こういうときは季節感も同時に考える。

決めた。ここにしよう。
そう思い立ってからの行動は早かった。
まずは行ってみたいスポットを全部挙げてみた。

するとどうでしょう。
一日では絶対に回ることができないと分かる。

それなら泊まりにしよう。
選択肢は広がり、行きたい場所にも全部行くことができる。

一人旅のとき、あまり計画は立てない。
しかし、二人旅のとき、かなり計画を立てる。

今回はかなり計画を立てる。

友達の行きたい場所は聞いている。
お互い旅への高揚感が増していく。


愛媛観光

一日目の朝。空は澄んでいる。
いい旅になりそうだ。

一泊分の荷物を積み込み、
まずは徳島に住む友達を迎えに行く。
合流は9時。二人の旅が始まる。

最初の目的地までは約2時間のドライブ。
今日は何の曲を聴こうか。

洋楽かな。メドレーにしてみた。

高速道路は空いていて、車は軽快に西へと進む。

一時間半程経った頃、視界が開け、
左手に瀬戸内海と香川の街並みが現れた。

見慣れた景色のはずなのに、
高架から見下ろすその静かな海は、
どこか懐かしく、胸をぎゅっとさせる。
『思いを馳せる』
とはきっとこういう瞬間のことを言うのだろう。

瀬戸内海を右手に感じながら、
30分ほど海沿いを走ると、愛媛に入った。

窓を開けずとも、どこからかみかんの爽やかな
香りが漂ってきそうだ。心なしか、道路の中央線
さえも鮮やかな「みかん色」に見えてくる。

「なんだか、メルヘンチックだね。」

そんな会話を楽しみながら、11時過ぎ、
高速を降りてすぐの目的地に到着した。

少し早めの昼食。


SOILIKKLE(ソイリクル)

視界いっぱいに広がる田園風景の中に、
その店はひっそりと隠れ家のように佇んでいた。

SOILIKKLEの入り口

お洒落な看板に迎えられ、中へ一歩足を踏み入れると、柔らかな木のぬくもりに包まれた。
別荘に招かれたような落ち着いた空間に、
旅の緊張がふっと解けていく。

ゆっくりと席に着き、メニューを眺める。
注文したのは、彩り豊かな御膳『soi α』。

運ばれてきた料理を前に、思わず声が漏れた。

「美しい……。これ、絶対健康になれるやつだ。」

soi α

彩り豊かな根菜にお味噌汁、玄米ご飯。
そして、見たこともないほど大きな
「がんもどき」。

まずは、お味噌汁を一口。
優しい出汁の味が体に染み渡る。

一品一品食べ進めていき、
優しい味わいに包まれていく。
そして驚いたのが、がんもどきだ。
『外はサクッ、中はふわふわ』
という使い古された表現が、
これほど似合う料理があるだろうか。
上品なあんかけが絡み、
口いっぱいに幸せが弾ける。

ヘルシーながらも確かな満足感。
愛媛最初の目的地にここを選んで、
本当に良かった。

この場所で、この料理を
提供してくださっていることに感謝を。

軽快に車に乗り込み、
次の目的地へ20分程のドライブだ。
到着は12時過ぎ頃になるだろう。

着いたのは、ホテルのような建物。
愛媛といえばで、3番目辺りに出てきそうなものが関連している。


タオル美術館

そう、今治タオル。
ここは世界でも珍しいタオルの美術館。

到着して驚いたのは、その圧倒的なスケールだ。
まるでヨーロッパの古城か高級ホテルのような
外観。

入るとすぐにお土産コーナーに迎えられたが、
展示を見た後にじっくり見るとしよう。

展示の階まで上がり、入場。

中に入ると、巨大な織機がリズムを刻み、
実際にタオルが作られる様子を間近で見ることができる。

最初の部屋 今治タオル製造現場

恐らく絨毯なのだろう。
それくらい大きなものを作っていた。
ここでは、製造工程や歴史を学ぶこともできる。

私はこれを前菜だと思っている。

次からの部屋。
アート作品の展示。
ここで嬉しい誤算が起きる。

ムーミン・スヌーピー×今治タオル

迎えてくれるムーミン一家とその仲間達

最高の共演ですね。
それに最初に言っておくが、
かなりの規模だった。

まず初めに出会ったのは、人より一回り大きい
ムーミンに登場するキャラクター。

LLサイズムーミン

タオルを使った帽子をかぶったり、
ケーキを持っていたりする。
可愛い。

額縁に入れて飾られているものであったり、
スヌーピーの歴史が分かる大広間もあった。

スヌーピー歴史部屋

まだあるのか、まだあるのかと何度も
驚かされた。

こちらお気に入りのアート。
様々なアプローチでスヌーピーが
表現されていた。

1番上の子が始まりのスヌーピー

一時間ぐらい?
時間を忘れるくらいじっくり楽しんでいた。

最後にグッズ売り場のようなお土産屋さんに
寄ってみる。

ディズニー。サンリオ。ちいかわ。ポケモン。
などなど….

アパレルやインテリアなどかなり幅広いグッズが販売されている。
ここでも楽しませてくる。

思いがけない出会いは、旅にはつきもの。
それが旅の醍醐味でもある。

旅はまだまだ始まったばかり。
次の目的地へ。

愛媛の西側。
海へ近づいていく。

まるで鎌倉のあの風景を彷彿とさせる
ロケーション。
静かな海沿いで鳴り響くリズムを刻む音。

35分程で海が見えてくる。時刻は14時前。


梅津寺駅

潮風。波の音。

小さな無人駅。踏切。その先には瀬戸内海。
到着するとすぐにその光景が目に入る。

私たちの他にも訪れている人がいる。
中には本格的なカメラを持ってきている人も。

「カンカンカンカン……」

広大な空、広大な海を背景に音が鳴り響く。

人々がカメラを構え始める。
どうやら電車がくるようだ。

すかさず私たちも自分なりのベストスポットを
見つけ、カメラを向ける。

「ガタンゴトンガタンゴトン……」

瀬戸内海と梅津寺駅に向かう電車

「まるでドラマのワンシーンみたい。」

私も同じことを考えていた。

『東京ラブストーリー』という最終回の舞台。
そう、この場所は実際にドラマのロケ地としても使われている。

多くの人の心に残っている場面に出会えた。
その光景に浸っている自分がいた。
1日後に思い返しても、
この景色は鮮明に残っていた。

電車が通り過ぎ、静寂に包まれる頃、
足取りは次の目的地へと向かっていた。

向かう先は黄色を基調とし、
見て楽しみ、味わい楽しむことができる場所。

20分程で、松山城の城下辺りまで近づき、
目的地まで歩いていく。


10FACTORY

訪れたのは、
スタイリッシュなみかんジュース専門店。

黄色のグラデーション。

数十種類ある『みかんジュース』の棚

こんなにもお洒落にみかんジュースのみを
置いているお店を初めて見た。

店内には数十種類ものジュースがグラデーションを描くように美しく陳列されている。

温州みかん。せとか。不知火。清見。
様々な品種が目に入る。

「これだけあるとなかなか決められないね。」

『9品種飲み比べSet』
そんな私たち向けのメニューが
このお店にはあった。

注文はすぐに届き、早速飲み比べていく。

9種類飲み比べset

一種類ずつ口に含むたび、驚きがあった。

『不知火』が一番好きかな。
飲みやすい甘さがありつつも、
程よい酸味もある。
『せとか』は特に甘い。
『河内晩柑』は特に酸っぱい。初めて聞く名だ。

9種類味わい切った後は、
みかん通になったような気分になる。

良かった。このお店でみかんを堪能できて。

ビタミンも補給できたということで、
本日の最終地点に向かっていく。
一夜を過ごす場所でもある。

レトロで趣のある建物が人々を惹きつけ、
多くのグルメが訪れた人々を迎えてくれる。

15分程走らせた頃、その一帯が見えてくる。 


道後温泉

まずはホテルにチェックイン。
道後温泉本館から徒歩2分の好立地。

荷物を降ろし、浴衣に着替えて商店街を回ろうと思っていたが、外があまりにも寒い。

「これは無理だね(笑)。」

暖かい私服に着替え直して、夕方の街へ。
暗くなり始めている道後温泉を巡っていく。

まず一番に目を奪われた建物を一枚。

道後温泉本館

商店街に入ると、観光客で賑わっており、
お店もまだまだ開いていた。

一旦、商店街を一通り見て回りたいと思い、
端の方まで歩いてみる。

すると空模様と相まって美しい建物が
視界に入ってきた。

道後温泉駅(夕方)

来た道を戻りつつ、少し食べ歩きをした後、
たどり着いたのがここ。

おすすめの一品を1人ずつ

どちらも品があって、味わい深い。

「温泉入った後の方が良かったかもしれんね~。」

外はかなり暗くなっており、商店街の光が際立っている。肩には温泉用に準備したトートバッグがかかっている。

道後温泉は本館の他に温泉に入れる場所がある。今回はもう一方の飛鳥乃湯に行くことにした。

飛鳥時代をコンセプトにしたアートな湯屋。
非常に美しい。

今日はどれくらい浸かることになるだろうか。
そんなことを考えながら大浴場に入っていく。
洗練された美しさとはこのこと。
しばらくの間、堪能するとしよう。

十分な湯気を纏い外に出る。
冷たい風が心地よく感じる。

ホテルに戻る途中のお店で夜に少しおつまみ
(スイーツも)できそうなものを買う。

時刻は20時前頃になっていたと思うが、
商店街は喧騒というものを知らないようだった。

私たちはホテルに帰ってゆっくりするとしよう。
明日の午前中にもう一度商店街を目一杯散策する予定だ。

商店街で買った品々を机に広げ、
にらめっこをする。
どれを食べようか迷っているのだが、
結局全部食べることになる。

『まるごとみかん大福』

お店『丸ごとみかんチーズケーキ』

ベストオブおやつに輝く。
明日また買うことが確定した。


二日目の朝。空が澄んでいる。
いい旅が続く予感がする。

この日は、まず道後温泉の商店街を
散策する予定だ。
テレビをつけて準備を始める。
身支度が終わりそうな頃、
星座占いが流れ始める。

固唾を飲んで見つめる。

私の星座の順位は、、、、、12位!

「見れて良かったね。」

外に出たときは、9時前頃。
肌寒い空気が吹き抜けている。

商店街は喧騒という言葉がふさわしかった。
静かな朝は好きだ。
駅も昨日とは異なる様子を見せてくれる。

道後温泉駅(早朝)

9時過ぎからオープンするお店が多く、
シャッターが閉まりに閉まっている。

まず初めに行ったのは、
『蛇口から自分の好きなみかんジュースを注ぐ』
という行かずにはいられないようなコンセプトをした、『愛媛の食卓1970』というお店に入る。

開店5分前
蛇口をひねると、、、

昨日行った10FACTORYで飲まなかった品種を
注いでみた。
これで12種類目のみかんジュースとなる。

『愛媛果試28号』というみかんの品種。
まず名前に惹かれる。
深みのあるオレンジ色で、濃厚な甘さが
特徴的だった。

外に出ると賑わい始めており、開店している
お店がちらほらでてきている。

その後、私たちは商店街を余すことなく
楽しんでいく。
みかん大福買って、ぷりん買って、アイスもなか食べて、おかき食べて、お土産屋さん見て回って、ジブリ専門店に吸い寄せられて、
満足感に満ち溢れていく。

11時前頃、スキップとはいかないが、
足取り軽くホテルに向かう。

名残惜しいことなんてなかった。
それほど充実していたように感じた。

ここで過ごした時間の多くが記憶に
残り続けていくことになるだろう。

荷物をまとめ、次の旅先へ目を向ける。

たくさん食べ歩いた後だが、
今向かっている場所には食べ物を買いに
行っている。

10分程経った頃、視界にはまるでジブリのような外観をした建物が見えてくる。

隠しきれないジブリ感

私たちは吸い寄せられるように店の中に入る。


ぱんや雲珠(うず)

絵本のような空間。
入って一番に頭に浮かんだ。

雲珠の店内

魅惑的な壁模様にインテリア。
そこに何種類ものパンが並んでいる。

奥では『まるこげパン』を作っている模様

パンも一つひとつこだわりが感じられて、
全てに手が伸びそうになる。

ふと私が持っている木製のプレートに目をやると、5つほどのパンがのっている。

これは『生理現象のようなもの』だと
自分を納得させる。
さらに一つ、パンを追加する。

友達のプレートも魅力的だ。

会計を済ませ、赤い扉から外に出る。

「何回おやつタイムができるだろうね。」

再び西へ。
海が見えるその手前まで。
この旅二度目の『自然と人工物の交わった景色』を見に行く。

大体45分ぐらいで着くだろう。

車内では最近二人がはまっている
漫才師のネタが流れている。
そのネタの数々はしばらくラジオのように
流れていた。

三十笑いくらいした頃、上から下まで
青色の光景が現れる。
そしてしばらくの間、その光景を右側に
感じながら、もう十笑いすることになる。

途中、左側に黄色の絨毯が広がっている場所を
通り過ぎ、5分程でその目的地は見えてくる。

何もないこと。それが魅力。


下灘駅

静寂と青の世界世の中には、
偶然が重なって生まれた奇跡のような
場所がある。
ここも、きっとその一つだ。

駅のホームとその背景

無人駅のホームの先に広がる、
底知れなく青い瀬戸内海。

大きな建物は何もなく、ただ駅だけが海より高い場所にぽつんと取り残されている。
その孤立感が、かえってこの場所の美しさを
際立たせていた。

時間の流れが、ここだけゆっくりと、
凪いでいく。
周りには観光客もいるはずなのに、
耳に届くのは静寂だけ。

青いベンチ、穏やかな海、
そして空のグラデーション。

「芸術だね。」

ここに駅が作られたことで、
様々な価値をもたらし、求められ、惹きつける。

ベンチには何かを型どった形の空洞
側では車が通う

人々のかけがえのない時間となり、
人生に刻まれていく。

私も魅せられた一人となった。

「この駅利用する人、大変だね。」

それもそうだ。



右側に海を感じつつ、進んでいく。
少しすると、左側に黄色の絨毯が見えてくる。
立ち止まり、振り返ってみる。

一度きりの光景

斜面一面の菜の花。
咲き乱れるその様は非常に美しい。

道路を挟んで、片方は菜の花。片方は海。
思いがけない光景との出会いだった。

このときがこの日、
愛媛で最後に歩いた場所となる。


二日間を通して色んな場所を歩いてきたが、
どの場所でも思い出深い貴重な時間を
過ごすことができた。
全ての場所に感動があり、
心ゆくまで満喫できた。

愛媛という地、
とても一言では言い表せなくなった。

目を閉じれば思い出が溢れ出してくる。
みかんが一番最初に溢れてきそうだ。

「楽しかった。」

ゆっくり目を開け、帰路に就く。



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