前例なき、69。〔前編〕
「69」。
この数字を説明するのは、とても難しい。
ゴルフをされたことがない方なら、
なおさらだと思います。
世間から見れば、ゴルフは、
贅沢なスポーツや、
休日に楽しむレジャーの一つに
見えるかもしれません。
実は私も、
事故に遭う前はそう思っていました。
先日開催された、
DGA(日本障害者ゴルフ協会)主催の
中部障害者オープン。
私は重度障害の部に出場し、
特別プレールールのもとでプレーしました。
結果は69。
そして1位。
敢闘賞をいただきました。
プロゴルファーの大会で、
優勝スコアとして見かけるような数字が、
自分のスコアカードに並んだ。
正直、
少しうれしかったです。
でも、
今回の記事で本当に伝えたいのは、
「69がすごい」
という話ではありません。
私は今でも、
この69をどう評価すればいいのか、
よく分かっていません。
なぜなら、
前例がないからです。
この身体で。
この条件で。
この境遇で。
同じ土俵に立ち、
競い合えるライバルがいませんでした。
ライバルがいない。
それは、
勝てないことではありません。
負けることもできないことです。
競技である以上、
そこには勝ち負けがあります。
でも私は、
そのスタートラインに立つことすら、
できていないと感じていました。
そもそも私の場合、
競技で勝つ、負ける以前に、
18ホールを立位で回り切ること自体が、
一つの挑戦でした。
以前、その挑戦について、
「人類史初の快挙ですね」
と言われたことがあります。
正直、
その時は大げさだと思いました。
けれど、
同じような身体条件で、
歩行支援機を装着し、
スタンドプレーで18ホールを回り続ける人を、
私はほかに知りません。
それほど、
競技の結果を語る前の段階から、
前例の見つからない挑戦だったのです。
▶ 「人類史、初の快挙ですね」と言われた。正直、大げさだと思った。けれど。
だから長い間、
「この身体では、
競技としてゴルフを続けることは難しい」
そう思っていました。
だから私が選んだのは、
「白ティーから100を切る」
という、自分との勝負でした。
誰かと比べるためではありません。
この身体で。
ココから。
どこまでできるのか。
それを確かめたかった。
それは、
誰にも見えない、
一人きりの挑戦でした。
でも今年、
その景色が変わりました。
DGAが、
重度障害の部という新しい部門を
作ってくれたのです。
私にとって、それは、
部門が一つ増えたという話ではありません。
「ここから挑戦していい」
そう言ってもらえた、
初めてのスタートラインでした。
ずっと居場所を探していた私に、
「あなたが競う場所は、ここです」
そう示してくれたように感じました。
長く誰もいなかったコースに、
ようやく、
自分のティーグラウンドができた。
そんな感覚でした。
だから私は、
今までで一番、本気のゴルフをしました。
結果は69。
でも、この69は、
突然生まれた数字ではありません。
ハンディキャップを差し引いた数字でもありません。
18ホールで実際に記録した、
そのままのスコアです。
長年積み重ねてきたこと。
この身体だからこそ、
考え続けてきたこと。
そして、
支えてくれた人たち。
この身体を支えてくれた、
かけがえのないモノ。
そのすべてが重なって、
生まれた数字でした。
だから私は、
この69という数字だけを
誇りたいのではありません。
「前例なき、69。」を残せたことを、
誇りに思っています。
なぜ、この数字が生まれたのか。
その理由は、
中編で書こうと思います。
お互い、それぞれのペースで。
(中編へつづく)
https://note.com/golf_revolution/n/n352f1a176e93
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