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第12話 大阪駅の駅神様

 ガラス張りの大屋根から陽光が差し込む大阪駅。
 人々は梅田の街へと吸い込まれるように歩き、ホームでは次々に電車が出入りしている。
 この駅を守る駅神様は、派手なチェック柄の法被を羽織った陽気な人物。口癖は「まいど!」で、人の波に向かって毎朝ごあいさつ。
「ほな、今日もぎょうさん来てくれて、おおきにやで~!」
 その声が風になってホームを駆け抜けると、通勤のサラリーマンがなぜか足取り軽く階段を上っていく。
 すると改札口の近くで、旅行者らしき家族が困っていた。
「えーっと……グランフロントはどっち?」
「ルクア? え、違う?」
 駅神様はにやりと笑い、手にした団扇をぱたぱた振る。すると、たまたま通りがかった大学生が「そっちっすよ!」と声をかけてくれた。家族は感謝し、学生はちょっと照れ笑い。駅神様はその光景を見て満足そうに頷いた。
 一方で、環状線ホームでは乗り換えに迷う観光客の声。
「外回り? 内回り? どっち!?」
 駅神様は法被の袖で頭をかきながら苦笑する。
「……せやなぁ、環状線はわかりにくいもんなぁ」
 結局、観光客は電車に飛び乗り、思った方向とは逆へ向かってしまった。だが――車内で偶然出会った人と仲良くなり、次の駅で一緒に降りて案内してもらうことに。
「ま、ええやん。遠回りも大阪のええ思い出になるやろ」
 駅神様は大声で笑った。その笑い声は人混みにまぎれ、街のざわめきと一緒に消えていった。


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