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第39話   新横浜駅の駅神様

 東海道新幹線、横浜線、横浜市営地下鉄ブルーライン。さらに2023年からは相鉄・東急直通線が開業し、一気にアクセスが拡大した新横浜駅。サッカースタジアムもコンサート会場もあり、全国から人が押し寄せる。
 この駅を守る駅神様は、サッカーユニフォームに法被を羽織り、片手に応援メガホン、もう片方にラーメンどんぶりを持つ“二刀流”。口癖は「試合もイベントもラーメンも、ぜんぶ新横浜に来い!」だ。
「さぁ、本日も大入り満員! キックオフと同時に替え玉注文やー!」
 朝。新幹線ホームで観光客が「京都行き? 名古屋行き?」と迷っていた。神様はメガホンを掲げ、「京都は左サイド、名古屋は右サイド!」と叫ぶ。もちろん届かない。だが偶然、案内板が切り替わり、大きな矢印が出て観光客は大喜び。
「よし、オフサイドなしのナイス誘導や!」
 午前中、サッカーファンが駅前でユニフォーム姿のまま「スタジアムどっち?」と走り回っていた。神様はラーメンどんぶりを高く掲げ、「こっちやー!」と叫ぶ。すると、ちょうどバスの行き先表示が「日産スタジアム」と光り、ファンたちは大歓声で飛び乗った。
「これぞホームアドバンテージや!」
 昼。駅ビルのラーメン博物館に観光客が集まっていた。
「どの店に入る? 札幌? 博多? 横浜家系?」
 神様はメガホンを置き、どんぶりをかき混ぜて「ぜんぶハーフ&ハーフにしたらええ!」と念じる。すると偶然、スタッフが「食べ歩きセットあります」と案内し、観光客は歓声をあげた。
「新横浜は胃袋もイベントフルコースや!」
 午後。横浜線ホームで学生たちが「町田行き? 八王子行き?」と悩んでいた。神様はサッカーボールを蹴る真似をし、「町田も八王子もええ街や! 好きな方を応援したれ!」と叫ぶ。結局、学生たちは駅員に聞いて解決。神様は頭をかき、「采配はプロに任せるのが一番やな」と苦笑した。
 夕方。コンサート帰りの客が一斉に新幹線に殺到し、構内は大混乱。神様はメガホンをフルボリュームで鳴らし、「オーバーラップ開始やー!」と叫ぶ。すると不思議なことに、人の流れが二手に分かれ、スムーズに改札を通過できた。
「よし! 今日もアディショナルタイム突破や!」
 夜。スタジアムからの帰り道、ユニフォーム姿の人々が歌いながら駅に戻ってくる。ライブ帰りの客と入り混じり、駅前はカオスの極み。神様は梁に腰かけ、どんぶりを啜りながら笑った。
「新横浜は、新幹線で遠征もできるし、イベントもラーメンも全部ある。便利すぎて困るくらいや」
 そして夜空に向かって、メガホンを突き上げた。
「明日も試合開始や! 替え玉も忘れんなよー!」
 その声は人には届かない。けれど、駅を出ていく人々の背中には、スタジアムの熱気とラーメンの湯気がまだほんのり残っていた。


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