ととのえるとは、ゆるめること
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
ここまで、
「ととのえるとは何か」
「ととのえるとは、戻ること」
「ととのえるとは、足すことではなく引くこと」
「ととのえるとは、安心を思い出すこと」
「ととのえるとは、つながり直すこと」
と書いてきました。
整えることと、調えること。
頑張る前に、自分の場所へ戻ること。
足しすぎたものを少し引いて、
抱えすぎた力をほどいていくこと。
体が安心を思い出し、
ばらばらになっていたものが少しずつつながり直していくこと。
その流れの中で、
今日はもうひとつ、
とても大切なことを書いてみたいと思います。
それは、
ととのえるとは、ゆるめること
だということです。
頑張る前に、ゆるめること
私たちは、
何かうまくいかないときほど、
つい力を入れてしまいます。
もっとちゃんとしよう。
もっと気をつけよう。
もっと頑張ろう。
もっと崩れないようにしよう。
そうやって、
何とかしようとする。
もちろん、
それが必要な場面もあります。
でも、ときには
その“何とかしよう”という力そのものが、
自分をさらに苦しくしていることがあります。
苦しいときにさらに力を入れる。
不安なときにさらに固める。
乱れそうになると、もっときちんとしようとする。
そうすると、
表面上は保てているように見えても、
呼吸は浅くなり、
体は固くなり、
心も少しずつ余裕を失っていきます。
ととのえようと思うなら、
頑張ることより、ゆるめることです。
人は、気づかないうちに力が入っている
ここでいう「力が入っている」は、
何か重いものを持っている、
というような意味ではありません。
肩や首に力が入っている。
あごを噛みしめている。
胸が少し詰まっている。
お腹が固い。
呼吸が浅い。
返事を急いでしまう。
頭の中がずっと動いている。
何もしていないのに、休めていない。
こういう状態もまた、
力が入っている状態です。
でも、
それが長く続いていると、
人はそれを「普通」だと思ってしまいます。
ずっと気を張っていることが当たり前。
少し緊張していることがいつものこと。
ゆっくりしていても、心の中では急いでいる。
そういう状態に慣れてしまう。
すると、
本当は力が入っているのに、
自分では気づきにくくなります。
ととのえるために最初に必要なのは、
自分が今、どれだけ無意識に
力が入ってしまっているかに、
気づくことです。
ゆるむとは、だらけることではない
「ゆるむ」と聞くと、
どこか気が抜けること、だらけること、
怠けることのように感じる人もいるかもしれません。
でも、私が言う「ゆるむ」は、
そういう意味ではありません。
全部をやめることでもない。
責任を放り出すことでもない。
何もかもしなくなることでもない。
そうではなくて、
いま本当に必要のない力を、少し下ろしていくこと
です。
必要以上に身構えている肩。
頑張り続けようとしている背中。
ちゃんとしていなければ、と緊張しているお腹。
うまくやらなければ、と急いでいる頭。
そういうものを、
少しずつゆるめていくこと。
必要な力は、必要なときに使えばいい。
必要ないときは、使わなくていい。
ずっと全身で踏ん張り続けていたら、
疲れてしまいます。
それでは、休まることはありません。
ゆるむというのは、
弱くなることではなく、
余計な緊張を
持ち続けなくてもいい状態へ戻っていくことです。
ゆるむと、呼吸が戻ってくる
ゆるんだとき、
まず変わるのは、呼吸です。
肩の力が少し抜ける。
胸の詰まりが少しほどける。
お腹の奥まで息が入りやすくなる。
息を吐くことが少し楽になる。
それだけで、
人の感じ方はずいぶん変わります。
呼吸が浅いとき、
人は急ぎやすくなります。
考えも固まりやすくなります。
まわりのことが気になりやすくなります。
少しの刺激にも反応しやすくなります。
逆に、
呼吸が少し戻るだけで、
見える景色が変わります。
急いでいた心が少し落ち着く。
頭の中の音量が少し下がる。
「今ここ」に戻りやすくなる。
何かを決めつけずに感じられるようになる。
ゆるめることは
ただ楽になることではなく、
呼吸を取り戻し、
自分の感覚に戻っていくための
入口になります。
ゆるめることで、感覚が戻る
ずっと力が入っていると、
自分の感覚がわかりにくくなります。
本当は疲れているのに、
まだ大丈夫だと思ってしまう。
本当は悲しいのに、
それを感じる前にやることへ向かってしまう。
本当は嫌だったのに、
気づいたときにはもう飲み込んでいる。
そういうことは、
思っている以上によく起きています。
でも、少しゆるむと、
今まで見えなかったものが見えてきます。
あ、疲れていたんだ。
無理していたんだ。
ずっと力が入っていたんだ。
本当は少し休みたかったんだ。
こういう気づきは、
あまり大事と思わないかもしれません。
でも、とても大切です。
なぜなら、
自分の今の状態がわからないままでは、
本当に必要なものを選べないからです。
ゆるめることで、
ようやく自分の今の状態が見えてくる。
ゆるめることは、
弱くなることではなく、
自分に戻っていくことです。
ゆるめることは、安心の入口でもある
前の記事で、
ととのえるとは、安心を思い出すこと
だと書きました。
ゆるめることは、
その安心の入口になります。
体がずっと緊張しているとき、
頭で「大丈夫」と言い聞かせても、
安心することはできません。
でも、
体がゆるむことで、
「もうそんなに身構えなくてもいいかもしれない」
と思うことができます。
呼吸が変わる。
肩が下がる。
目の奥の緊張が少しほどける。
急いで確認し続けなくてもよくなる。
そういう小さな変化の中に、
安心は戻ってきます。
だから、
最初に必要なのは、
ゆるむこと。力を抜くこと。
脱力することで、呼吸が戻り、安心に還り、
自分につながり、他者とつながり、
世界とつながっていくことができます。
ゆるめることで、つながりやすくなる
ずっと身構えているとき、
人は人とつながりたいと思っていても、
うまくつながることができません。
相手の顔色を見すぎる。
嫌われないように合わせる。
ちゃんとしなければと思いすぎる。
よく見せようとする。
本音より先に、正解を探してしまう。
そのようにして、
人と関わろうとするとき、
どこか閉じていて、壁があります。
でも、ゆるむことで
その閉じていたものが少しだけひらきます。
全部を見せる必要はなくても、
少し本音に近い言葉が出る。
少し相手の声がちゃんと入ってくる。
少し自分のままでいていい感じが戻ってくる。
つながりは、
頑張ってつくるものではなく、
自分の身構えが少しほどけたときに、
自然に生まれてくるものです。
ゆるめることは、
自分のためだけではなく、
関係性のためにも大切なことです。
ゆるめるために必要なのは、何もない
ゆるむために、
何か特別なことをする必要はありません。
何かを足そうとしないこと。
むしろ、引くこと。
そのために、
余計だったものに気づくこと。
たとえば、
少し長く息を吐くこと。
肩が上がっていることに気づくこと。
立ち止まって空を見ること。
噛みしめていたあごをゆるめてみること。
返事を少し急がないこと。
温かい飲み物をゆっくり飲むこと。
歩く速さを少しだけ落とすこと。
そういう小さなことでも、
やってみると、気づきがあり、
人は少しずつゆるんでいきます。
大きく変えようとしなくていい。
劇的な実感なんか、なくてもいい。
ただ、
「あ、少し力が抜けたかもしれない」
と思えたなら、
ゆるみ始めています。
あなたのととのいは、始まっています。
ワーク①|いま、どこに力が入っているかを見る
ここで、少しだけ自分を見てみましょうか。
肩は上がっていないか
あごに力が入っていないか
胸や肋骨は固くないか
お腹をずっと引き込んでいないか
呼吸は浅くなっていないか
足の裏は感じられるか
ひとつひとつ確かめながら、
「いま力が入っている場所」を見つけてみてください。
大事なのは、
まず気づくことです。
気づくだけで、
少しずつ変わり始めます。
ワーク②|ひとつだけ、ゆるめられることを選ぶ
次に、今の自分がひとつだけ
ゆるめられそうなことを選んで、
やってみてください。
たとえば、
肩を一度上げて、ストンと下ろす
息を長めに吐く
スマホを見る手をいったん止める
返事を急がず、ひと呼吸おく
“ちゃんとしなきゃ”をひとつ手放す
今すぐやらなくていいことを後に回す
なんでもかまいません。
ポイントは、
何かを大きく変えようとしないこと。
今すぐできるような小さな何かでいいこと。
ひとつだけでいいこと。
すべては、
小さなことの積み重ねの先にあるからです。
気がついたら、変わっていた。
そんな日が、あなたにも訪れます。
おわりに
ととのえるとは、ゆるめること。
それは、
だらけることでも、
怠けることでもありません。
必要以上に入っていた力を、
少し下ろしていくこと。
ずっと続いていた無意識の緊張を、
少しほどいていくこと。
頑張る前に、
まず呼吸が戻れる場所をつくること。
人はゆるんだとき、
はじめて自分の今の状態に気づけます。
疲れていたこと。
無理していたこと。
本当は少し休みたかったこと。
安心したかったこと。
ととのえるということを考えるとき、
まず最初にやりたいことは、
ゆるめることです。
この記事を読んで、
少しでもゆるんだなら。
あなたのととのいは、はじまっています。
ととのえ職人、五木田穣でした。
また次の記事で、お会いしましょう。
関連記事
「ととのえる」ということを、もう少し別の角度から読みたい方へ。
・ととのえるとは、安心を思い出すこと
体が安心を思い出していくことについて。
・気づいたら、また頑張っている日。
無意識のうちに力が入ってしまう日常の感覚から。
・ちゃんとしすぎて、疲れていませんか
“ちゃんと”の中で緊張し続けている人へ。
いいなと思ったら応援しよう!
最後までお読みいただきありがとうございました!
サポートも嬉しいですが、スキやコメントなどのリアクションもいただけると、とても励みになります☆