なんだか最近、高校の教頭先生みたいな気分だ
朝の営業フロアを見渡す。
キーボードの音、電話の声、短いやりとり。
配属転換で来た2年目メンバーも、
その中でちゃんと手を動かしている。
少なくとも、外から見る限りは。
今日で6日目。
まだ6日。
だから今は、まず慣れるところからでいい。
それは頭ではわかっている。
でも、なんというか。
最近の自分は少し、高校の教頭先生みたいな気分になる。
担任みたいに、
一人だけをずっと見ていられる立場ではない。
かといって、校長みたいに方針だけ
見ていればいいわけでもない。
全体の流れも見る。
現場の空気も気にする。
しかも、そのあいだを雑につながずに
持っておく。
たぶん今の自分のモヤモヤは、それに近い。
2年目のメンバーが営業部門に来た。
新卒も入ってくる。
中途のメンバーもいる。
新しい人が、一気に増える時期だ。
こういうとき、誰をどう見るかは意外と難しい。
2年目は、その部署の上司や先輩に
任せたほうがいいのか。
自分は1年目を厚めに見たほうがいいのか。
それとも、2年目も新卒も分けずに
見たほうがいいのか。
いや、中途も含めて
「新しく入ってきた人たち」として
捉えたほうがいいのか。
考えようと思えば、いくらでも考えられる。
どの整理にも、それなりの筋がある。
でも、頭の中で整理できることと、
気持ちが落ち着くことは違う。
落ち着かないのは、まだ話せていないからかもしれない。
姿は見えている。
仕事もしている。
大きな問題が起きているわけでもない。
でも、見えていることと、
わかっていることは違う。
動いていることと、
なじんでいることも違う。
ここが、しんどい。
現場では、それぞれがちゃんと
動いているように見える。
でも、全体を預かる側からすると、
その「ように見える」だけでは判断しきれない。
少し無理をしていないか。
遠慮して聞けずにいることはないか。
表面上は回っていても、
内側では小さな引っかかりが
積もっていないか。
しかも、こちらは現場だけを見ていればいいわけでもない。
会社には、
異動にも採用にも意図がある。
配置の意図がある。
育成への期待がある。
経営の側には、「こう育ってほしい」
「こう機能してほしい」
という見立てがある。
その意図は理解したい。
いや、理解しなければいけない。
でも実際に毎日その場で
起きていることは、方針だけでは割り切れない。
新しい部署に入って6日目の2年目メンバーの緊張。
新卒ならではの不安。
中途ならではの探り方。
受け入れる側の忙しさ。
教える側の余裕のなさ。
そういうものは、
きれいな言葉にした瞬間に、
少しこぼれる。
経営には経営の景色がある。
現場には現場の温度がある。
そのあいだに立つ人間は、どちらも雑に扱えない。
だから迷う。
誰に、いつ、どこまで声をかけるべきか。
今は任せるべきか。
それとも、今のうちに小さく接点を持つべきか。
心配しすぎなのかもしれない。
まだ6日なのだから、
見守ることも必要だと思う。
最初から全部拾いにいくのは、
相手の自立を邪魔するかもしれない。
現場の上司や先輩を差し置いて、
こちらが出すぎるのも違う気がする。
でも一方で、
話していないことから来るモヤモヤも、
たしかにある。
こちらが不安なのは、
何か問題が起きているからではない。
まだ起きていない違和感を、
会話で確かめられていないからなんだと思う。
安心材料が足りないというより、
言葉の往復が足りていない。
教頭先生っぽさって、たぶんここだ。
上の意図もわかる。
下の事情も見える。
しかも、どちらにも
それぞれの正しさがあると知っている。
だから、片方だけの論理で割り切れない。
中間管理職のしんどさって、
よく「板挟み」と言われる。
それも間違っていないと思う。
でも、個人的にはそれだけじゃない。
ただ挟まれて苦しいんじゃない。
つなごうとしているから、迷う。
たぶん、それが近い。
現場と経営をつなぐ立場は、
決めること以上に、感じ取ることを求められる。
数字にならない空気。
言葉になる前の違和感。
まだ本人も整理できていない戸惑い。
そういうものを、見過ごさないこと。
そしてそれは、立派な面談や制度だけで
できる話でもない。
最初に必要なのは、
もっと小さいことなんだと思う。
重たい確認ではなく、
少しだけ話せる入口をつくること。
「どう?」と広く聞くのではなくて、
たとえば、
「まだ6日目くらいって、慣れる前に遠慮が先に来ますよね」
とか、
「今のところ、やりにくいことだけ先に教えてください」
とか。
そのくらいの軽さでいいのかもしれない。
2年目だから任せる。
新卒だから見る。
中途だから自走してもらう。
そういう整理は必要だと思う。
でも最後は、その人が今どんな温度で
そこにいるかを見ないと、
本当の意味ではつながれない。
最近、自分が教頭先生みたいだと思うのは、
きっとそのせいだ。
全体を見ている。
現場も気になる。
経営の意図も無視できない。
でも答えは、いつも真ん中に
きれいに落ちているわけじゃない。
むしろ、はっきりしないまま
揺れている時間のほうが長い。
それでも、このモヤモヤを
悪いものだとは思いたくない。
そこにはたぶん、
誰かがつまずく前に気づきたい、
という気持ちがある。
現場と経営のあいだを、雑につながずにいたい、
という意識もある。
新しい人が一気に入る時期は、
組織にとって前向きな変化の時期だ。
でも同時に、見えない緊張が
増える時期でもある。
だから今必要なのは、
完璧な答えを出すことじゃない。
小さな会話で、現場の温度を
確かめていくことだと思う。
まずは一人。
重くならない形で、少しだけ話してみる。
それが、今の自分にできる
いちばん小さくて、
いちばんちゃんとした一歩
なのかもしれない。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
新年度が始まって間もないこの時期に
ちょっとモヤモヤしているあなたにとって
何らかの気づきになればうれしいです。
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