手を抜くことに手は抜かない
どうしてこんなにも体力がないのか。
普段デスクワークが多い中、今日はプールの準備や片付け、監視員もした。
屋外は言わずもがな異常な暑さ。
そのせいで体力が削られてしまうのは理解できる。
でも、もっと忙しい人もいるし、外仕事の人だっている。
人間関係にも恵まれているし、定時で帰れる。
「それに比べて、私は……」と、1人でプールの片付けをしながら感情が渦を巻いていった。
この感情をプールの水とともに排水したい。
もしくは暑さで蒸発させたい。
なんだか吐き気もしてきた。
でもこの吐き気は、自分への甘さによるもの。
逃げたくなると、いつも吐き気がする。
でも吐かない。
病気じゃないし、そこまで追い込まれていないから。
何も吐き出せずに一日が終わろうとしている。
1人職員が早退したため、鍵閉めは1人だった。やけくそになって、めちゃくちゃに手抜きをした。
手を抜きすぎて、抜く手がなくなった。
もっと手をくれ。
誰もいないことをいいことに、休憩室にあった差し入れのクッキーを勝手につまみ食いした。
苦手なシナモン味だった。
口に入れてから気づいたので、なんとか飲み込んだ。
暑さとシナモンへの怒りで頭が沸いた。
こんな状態だから、家に帰って動けるはずがない。
食器を出す気力すらない。
「ていねいな暮らし」の“て”の字すらない。
まさに「“て”抜き」だ。
暑さのせいにしたくなったけど、オールシーズンこんな状態なのだから、原因は他にあるのかもしれない。
「生理前かも」と思って、アプリを開くも全然違った。
季節のせいでも、ホルモンのせいでもない。
じゃあ何のせいにしたらいいんだ。
またしても感情の渦で目が回りそうになった。
ぐるぐるぐるぐる巡って、たどりついた結論が……
長新太不足。
長新太とは
絵本作家、画家、イラストレーター、漫画家、エッセイストとして活躍したただの天才。
「ナンセンスの神様」とも呼ばれている。
それはもう天才。
絵本の独特な色使いと、ぶっんだストーリーが大好きで、時々「長新太ワールド」をものすごく欲する。
絵本の代表作としては…



とにかくたくさんあるけど、今日は手抜きなのでこの辺にしておく。
本当はちゃんとしたリンクの方がいいのか?
今日は手抜きなのでスクショだ。
ズラリと並んだスクショたちをみると、一刻もはやく長新太様を浴びたい。
とにかく浴びたい。
夫は、長新太作品に狂気を感じて怖がっている。
それをにやにやしながら読んでいる私は、さらに怖いらしい。
夫が怖がろうと気にしない。
図書館でこちらを予約した。

あゝ早く浴びたい。
冷水よりも長新太様を浴びたい。
図書館の人に、私の数々の手抜きがバレて、「長新太本」と「シナモン本」をすり替えられていたらどうしよう。
つまみ食いしたシナモンの味が、口の中にまだ滞在している。
シナモンはパスポートを偽造し、私の口の中に無断で入国した。
出国命令にそむき、ずっと居座りつづけている。
怠惰な人間の口の中はそんなに居心地がいいのだろうか。
口直しに他のものを入国させる気力もないのだから、空いた口が塞がらない。
どうかこの口が塞がる前に、長新太様が密入国者を追い払ってくれますように。
手は抜いたが、心は抜かず。
ナンセンスを浴びるその時まで。
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みっくみくにしてやんよ ⊂ミ⊃^ω^ )⊃