経営に活かす財務シリーズ 第2回貸借対照表を「箱」で描く──会社の正体を一瞬でつかむ方法
「PLはまだ分かるんですが、BSがどうしても苦手で…」
これは本当によく聞く言葉です。
ですが、実務の世界ではむしろ逆で、
BSが分かっていない会社ほど、経営判断を誤ります。
なぜなら、
PLは“結果”であり、BSは“今の姿そのもの” だからです。
第2回では、貸借対照表(BS)を
数字ではなく「箱」で描く ことで、
会社の状態を直感的につかむ方法を解説します。
表題のイメージ図はやりすぎで、実際には以下のような箱です。

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■ BSは「会社の写真」である
まず大前提です。
• PL:一定期間の成績表(動画)
• BS:ある一瞬の会社の写真(静止画)
つまりBSは、
「今この瞬間、会社がどんな体をしているか」
を示しています。
筋肉質なのか
脂肪が多いのか
内臓に問題を抱えているのか
それを一枚で映しているのがBSです。
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■ BSは必ず「箱」で描ける
数字を追う前に、必ずこれをやってください。
紙に、左右2つの大きな箱を描く
左の箱:資産
• 現金
• 売掛金
• 在庫
• 設備
• 土地・建物
👉「会社が持っているもの」
右の箱:負債・純資産
• 借入金
• 買掛金
• 未払金
• 純資産(自己資本)
👉「誰のお金か?」
ポイントはここです。
左は「何に使われているか」
右は「誰から来たお金か」
これだけで、BSの8割は理解できます。
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■ 資産=価値ではない
BSで最も重要な誤解があります。
資産に載っている=価値がある、ではない
例えば:
• 3年前から動いていない在庫
• 回収できるか怪しい売掛金
• 売ると赤字になる設備
• 解約できない保険積立金
帳簿上は「資産」でも、
実態は“価値ゼロ”や“マイナス” ということは普通にあります。
だからBSは
会計の表ではなく、レントゲン
として見る必要があるのです。
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■ 流動・固定で「時間軸」を入れる
箱はさらに上下に分けます。
上:流動
• 1年以内に現金化・支払が発生するもの
下:固定
• 長期で使う・長期で返すもの
するとBSはこうなります。
[ 流動資産 ] |[ 流動負債 ]
[ 固定資産 ] |[ 固定負債 + 純資産 ]
ここで見るべきはただ一つ。
短期のお金は、短期で返せる形になっているか?
これが崩れると、
黒字でも一気に資金繰りが詰まります。
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■ 債務超過は「箱が潰れている状態」
債務超過とは何か。
資産 < 負債
箱で描くと一瞬で分かります。
• 右側(負債)が左側(資産)を押し潰している
• 純資産の箱がマイナスに突き抜けている
これは、
• ちょっと業績が悪化
• 銀行が慎重になる
• 追加融資が止まる
という連鎖の起点になります。
経営者がBSを見ないまま
「まだ回ってるから大丈夫」と言うのは、
レントゲンを見ずに運動を続けるのと同じです。
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■ 経営者がまず見るべきBSチェックポイント
細かい分析の前に、
まずはこの4点だけで十分です。
① 現金は月商何か月分あるか
• 1.5〜2か月分が一つの目安
② 売掛金・在庫は増えすぎていないか
• 売上成長とセットで見ているか?
③ 借入金は「短期と長期」が整理されているか
• 返済スケジュールと合っているか?
④ 純資産は“積み上がっている”か
• 利益がちゃんと会社に残っているか?
これが分かれば、
BSはもう怖くありません。
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■ BSは「経営判断の起点」である
• 新規投資していいのか
• 借入を増やしていいのか
• 賃上げに踏み切れるのか
• M&Aを検討できるのか
これらはすべて、
「今のBSで、それをやって耐えられるか?」
という問いに帰着します。
PLがアクセルなら、
BSは車体の強度です。
