経営に活かす財務シリーズ 第1回「会計は中1英語」──学びの歩留まりから始める財務入門
「決算書の読み方を学びたいんですが、どこから手をつければいいですか?」
中小企業の経営者から必ず出る質問です。
そして同じくらい多いのが、こうした声です。
• 「財務の本は買ったけど、全部は理解できない」
• 「言葉が難しくて、勉強しても実践に生かせない」
• 「社員研修で財務をやりたいが、どれだけ伝えればいいのか分からない」
結論からいえば、
会計は“中1英語”で十分に経営に使える。
そして、
“学びの歩留まり”を高めることで、財務は一気に武器になる。
本連載は、この2つの考え方を軸に、
「経営の意思決定に直結する財務感覚」を最短距離で身につけるためのシリーズです。
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■ 会計は「中1英語」で読み解ける
日本語ができれば、英語の文章は“単語と文法”さえ知っていれば読めます。
会計も同じです。
• PL(利益計算)
• BS(財産の写真)
• CF(お金の流れ)
これらはすべて、企業活動を「調達 → 投資 → 回収」というサイクルで翻訳しているだけの仕組みです。
難しい専門用語はたくさんありますが、
経営で使う部分はごく一部。
中学1年の英語があれば、海外旅行はできますよね。
財務も、経営に必要な“旅行レベル”なら、中1英語で充分なのです。
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■ 全部を理解しようとすると歩留まりが落ちる
製造業には「歩留まり」という言葉があります。
投入した原材料が、どれだけ製品に変換されるかを示す指標です。
財務学習も同じで、
• 分厚い本を読む
• 専門用語を覚える
• すべての計算に正確に向き合う
これはむしろ 歩留まりを下げる原因 になります。
経営者や管理職が学ぶべきは、
“どこに効く数字なのか?”を即座に判断できる力。
つまり、
「どこが経営改善のスイッチになっているのか」を見抜く感覚です。
そのためには、
最初から全部を学ぼうとしない
というスタンスが非常に重要です。
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■ 決算書は「調達 → 投資 → 回収」のストーリーでつながっている
このシリーズでは、PL・BS・CFをバラバラに説明しません。
なぜなら実務上は、3つの書類は 一本のストーリー で動いているからです。
● 調達(お金を集める)
・銀行から借りる
・株主が出資する
・取引先から仕入れる時に支払を待ってもらう(買掛金)
→ これはBSの負債や純資産に表れる
● 投資(お金を使う)
・在庫を買う
・設備を買う
・人件費を払ってビジネスを動かす
→ これはBSの資産とPLの費用に表れる
● 回収(利益を上げ、お金が戻る)
・売上が立つ
・利益が出る
・売掛金が回収される
→ これはPLとCFに表れる
――この循環が止まらず回る。
それが「健全な経営」です。
逆に、どこかが詰まれば経営は一気に苦しくなります。
• 調達ができない(銀行が貸さない)
• 投資した資産が不良化(在庫が積み上がる)
• 回収が遅れる(売掛金が増える)
だからこそ、3つの書類を“別々に覚える”のではなく、
循環で理解する必要があるのです。
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■ 経営者に必要なのは「財務の細かい知識」ではなく“判断軸”
決算書を読む目的は、
経営判断を誤らないためです。
次の3つの力があれば、ほとんどの意思決定はブレなくなります。
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① 会社の「今の状態」を直感的に捉える力(BS感覚)
• 現金は足りているか
• 借入の重さは適切か
• 在庫や売掛金は実態とズレていないか
• もし取引先が1社飛んだら耐えられるか
BSは「会社のレントゲン写真」です。
怖がらず、まずは“図で描くこと”が大事。
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② 利益の質を見抜く力(PL感覚)
• 一過性の利益なのか
• 補助金で膨らんだ利益ではないか
• 営業利益(本業の力)は十分か
「利益は意見、キャッシュは事実」と言われるように、
PLは“ストーリー付きで読む”ことがポイントです。
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③ お金の流れを掴む力(CF感覚)
• 営業活動はお金を生んでいるか
• 投資は未来の利益につながるか
• 借入は返せる計画になっているか
黒字倒産が起きるのは、
PLだけを見て経営判断をしてしまうからです。
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■ このシリーズで得られるもの
この連載では、以下の力が自然と身につく構成にしています。
• BSを「箱」で描けるようになる
• PLの段階利益を正しく読み解ける
• キャッシュフローのパターンで会社のフェーズが分かる
• 運転資金の仕組みで「売上が増えて苦しくなる理由」が分かる
• ROA・ROICで投資の判断軸を持てるようになる
• 事業ポートフォリオと付加価値で戦略を語れるようになる
• 財務規律(どこまで借りるか?)を自社で設計できるようになる
どれも “中1英語レベル”で理解できるように解説 していきます。
