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「アサダ桜」はサクラ?

「アサダ桜」という名前で某オーディオアクセサリーメーカーがインシュレーターなどを売り出しているのを見る度にモヤモヤする

アサダはカバノキ科アサダ属の落葉高木で国内では北海道から九州まで分布するが材として産出されるのは主に北海道

バラ科のサクラとは文字通り縁もゆかりもない樹種が「◯◯桜」と名乗っているのには、産出量の少ないヤマザクラの代用としてマカバを「カバザクラ」あるいは単に「サクラ」として木材業界で流通させた経緯がある

その後マカバが希少になって代用にはならなくなったので同じカバノキ科の樹種が「ミズメ桜」「アサダ桜」として流通し始めたのだろう
(マカバ(ウダイカンバ)、ミズメともにカバノキ科カバノキ属の落葉高木)

手元にある木材関係の書籍にはミズメの項でこんな注意喚起があるがマカバ、アサダについても同様だろう

「サクラ」の市場名で取り引きされる場合があるので注意したい

木のデザイン図鑑 建築知識  1996  p.60 


自分ではヤマザクラとカバノキ類が似ているとは1ミリも思わないが手元にあるので比べてみた

 30年ほど前に仕入れたもの
今ではマカバは銘木になった
特等は赤身の比率が高い材

マカバは師匠がよく使っていたので自分でも使い始めたが、楽器(クラヴィコード)の側板にはちょっと重い気がしてきて最近はあまり使っていない

九州産のヤマザクラ
色味が濃くて木目も個性的
これは自分で伐って製材したヤマザクラ

鉋がけするとテクスチュアがよくわかる
マカバは少しカサカサした感触でヤマザクラはしっとりしている
木肌はどちらも緻密だがマカバは導管が見えるのに対してヤマザクラは肉眼ではほとんど分からない
比重はマカバの方が少し大きいだろうか、持った感覚でも重く感じる

マカバの赤身の部分は薄茶色
ヤマザクラは少しピンクがかっている
マカバは芯材と辺材の違いが明瞭
ヤマザクラの柾目
木目と直行する木理が特徴
ヤマザクラの波状杢

これはサクラ材で作ったクラヴィコード
側板や鍵盤にヤマザクラ、パネル部分にシウリザクラを使っている

販売する商品に「○○桜」の名称は流通している名前をそのまま使っているのかもしれないが、私にはこれは業界の悪弊としか思えないし、それに便乗したような表示は少なくとも良心的とは言えない
商品として自信のあるものなら正統な樹種名を使えばいいのにと思う

英名ではカバ類はbirchでサクラはcherry 、これが混同されることはあり得ない

サクラに似ているものをサクラと総称するのは文化だという見方をする人もいるようだがそれは我田引水というもの、アスナロがヒノキに似ているからとこれをヒノキの名前で売ったら詐欺だ
私がお世話になっている材木屋さんはカバをサクラと称することはしないと明記している
プロとしての自覚も問われるだろう

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