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【安全な港の物語 第8話(前編)】曇り空の営業日誌〜28歳・山田達也、このままでいいのか〜

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■ このシリーズについて
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ウェルビーイング・ナビゲーター G-Mate(後藤 学)が考える「ライフキャリア航海モデル」をもとにした、短編小説シリーズ「安全な港の物語」です。

登場人物は架空ですが、老若男女、多くの方が抱えるリアルな悩みをベースに描いています。

物語の登場人物は…
今のあなた自身かもしれません。
過去や未来のあなたかもしれません。
あるいは、あなたの大切な人かもしれません。
みんな、様々な天気の中で生きています。

【用語のミニ解説】
・G-Mate=「人生の相棒(Mate)」でありたいという想いを込めた相談室
・キャリア天気図=心とキャリアの状態を5つの天気で可視化するツール
・コンパス=自分の本当の価値観
・装備(リュックの中身)=今までの経験や知識、人間関係、資産など
・航海図=これからの人生計画
・安全な港=安心して立ち寄れる相談場所

▼過去の1話完結「安全な港の物語」シリーズ


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プロローグ
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「山田、今月もトップだったな」
部長の声がフロアに響いた。

「さすがだ。若手の見本だよ」

「ありがとうございます」
山田は、軽く頭を下げた。

周りの席から、ぱらぱらと拍手が起きた。
同僚が何人かこちらを見て、笑顔を向けた。

———

達也は自分の席に戻った。

——また、トップか。

営業成績は悪くなかった。
入社してから、ずっと上り調子だった。
部長からの評価も高い。

嬉しいはずだった。

でも……

———

席に座って、パソコンの画面を見つめた。
胸の奥にいつものあの感じがある。

——なんだろう、この感じ。

満たされない。
何かが足りない。

評価されればされるほど、その感じは、なぜか強くなっていった。

———

大学の同期グループのLINE通知が来た。

一人が会社を辞めて、自分で店を始めたらしい。
別の一人は、週末にSNSで何かを発信して、副業を始めたという。

「すごいな」
「応援してる」

そんな、スタンプが並んでいた。

———

達也は、その画面をしばらく見ていた。

——みんな、何か始めてるんだな。

羨ましい、というのとは少し違った。

ただ、自分の中にも、何か……
うまく言葉にできない、何かがあった。

———

その夜、達也は一人の部屋で、いつものノートを開いた。

営業日誌。

新卒で営業に配属されてから、ずっとつけている。
背表紙には、マジックで、「営業日誌」と自分で書いた。

———

今日の商談の記録を書き、明日の予定を書く。
それからページの隅に書き足した。

『このままで、いいのか?』

———

何度も書いている言葉だった。

答えは、まだ出ていない。

———

達也は、ペンを置いた。
窓の外は曇っていて、星は見えなかった。

——何か、始めたい。

でも。
何を始めればいいのか。それが、わからなかった。


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1. 田中の言葉
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達也は新卒で営業に配属されてから、もう、五年が過ぎていた。無我夢中で、走ってきた。
気づけば、後輩もできていた。

———

仕事はできるようになった。
成果も出せるようになった。

でも、その分だけ。
胸の奥の、あの感じも大きくなっていた。

——このままで、いいのか。

毎日が、同じことの繰り返しに思える日が、日に日に多くなってきた。
評価されても、心のどこかが晴れなかった。

———

そんな違和感を、一度だけ人に話したことがある。

数ヶ月前。
あと三ヶ月で、二十八歳になる頃だった。

———

相手は、田中部長だった。

達也が、新卒で配属された時の部長。
その後、役職定年で役職は離れたが、達也にとっては、今でも、「田中部長」だった。

———

田中部長が、役職定年を迎えたあの頃。
少しだけ、元気がない時期があった。

でも、しばらくして、元気溢れる、生き生きとした田中部長に戻った。

社内では、若手の育成係。
それだけでなく、休日や平日夜間には、社外でも、若手営業のメンターをしているらしい。

「人に教えることが、こんなに面白いとはな」

そう言って、笑う田中部長の顔は、現役で数字を追っていた頃より、晴れやかに見えた。

———

ずっと前、達也は田中に「いつか、食事でも」と話していた。

その約束を、やっと果たしたのが、数ヶ月前のあの夜だった。

———

居酒屋で近況をひとしきり話した後。
達也は本音を漏らした。

「田中部長。俺、最近、なんか……物足りないんです」

「山田、俺はもう部長じゃないって」

「私にとっては、田中部長はいつまでも部長です」

「最近、ちょっと違和感を感じているんです。仕事は、順調なんです。評価も、してもらってる。でも、なんか……このままで、いいのかなって」

———

田中は、ビールを一口飲んだ。

それから、豪快に笑った。

「お前、新人の頃も同じこと言ってたな」

「え?」

「営業のやり方に、違和感がある、今のままでいいのかって。営業日誌つけながら」

———

達也は驚いた。

——覚えてて、くれたのか。

そんな、昔のことを。

「まだ、つけてるのか。営業日誌」

「……はい。今も」

「そうか」

田中は、嬉しそうに頷いた。

———

「あのな、山田」

田中は、少し、間を置いて言った。

「俺も、役職定年の頃、ずいぶん腐ってた時期があったんだ」

「そうだったんですか」

「ああ。でも、ある場所で頭を整理してもらってな。それから、少しずつ前を向けるようになった」

———

「ある場所?」

「みなと町に、小さな相談室があってな。G-Mate、っていう」

田中は続けた。

「キャリアの相談に乗ってくれる。といっても、答えをくれるわけじゃない。自分で気づくのを、手伝ってくれる、そんな場所だ」

———

「お前の、その『物足りなさ』。悪いもんじゃないと思うぞ」

田中は言った。

「気が向いたら、行ってみろ。俺の名前を出してもいいし、出さなくてもいい」

———

達也は、その時は、「はあ」と、曖昧に頷いただけだった。

すぐに行こうとは思わなかった。

———

でも、その後も。
田中部長の、言葉が頭の隅に残っていた。

——悪いもんじゃ、ない。

そして、営業日誌に、「このままで、いいのか?」と書くたび、みなと町の相談室のことを思い出した。

———

行くべきか、迷ったが…
今日、達也はようやく決めた。

——行ってみよう。


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2. みなと町の相談室
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その日、達也は仕事が休みだった。
電車を乗り継いで、みなと町に向かった。

———

田中部長から聞いた、みなと町駅に着いた。

駅前の風景を見て、数年前、みなと町駅で電車を降りて、慌てて商談に向かう途中、田中部長に会ったことを思い出した。

改札を出ると、古い商店街が広がっていた。
八百屋、肉屋、惣菜店、古い喫茶店。

商店街のあちこちに、桜が植えられていた。
四月の淡い花が、曇り空の下で静かに咲いていた。

達也はスマホの地図を頼りに歩いた。

———

路地の角に、煉瓦色の壁の小さな建物があった。

『G-Mate』

扉の横に、真鍮(しんちゅう)の錨(いかり)が光っていた。

———

——ここか。

達也は、扉の前で少し立ち止まった。
田中部長の言葉を思い出した。

——気が向いたら、行ってみろ。

達也は、ひとつ息を吐いて、扉を押した。

———

カランカランと、ベルが鳴った。

「いらっしゃいませ」

カウンターの、奥から穏やかな声が聞こえた。

五十代くらいの、男性だった。
落ち着いた、雰囲気の人だった。

「後藤と申します。今日はお越しいただき、ありがとうございます」

———

「山田達也です。あの、よろしくお願いします」

達也は、少し、緊張しながら頭を下げた。

「どうぞ、こちらへ」

後藤はテーブル席を勧めた。

———

「実は」

達也は座りながら、切り出した。

「以前の上司に勧められて。田中誠一という人なんですが」

「田中さん」

後藤は、表情をゆるめた。

「ええ。覚えております。お元気にされていますか」

———

「はい。ものすごく元気です」

達也は笑った。

「役職定年の後、若手の育成をしたり。社外でも、メンターをしたり。なんだか、現役の頃より、生き生きしてます」

「それは、何よりです」

後藤は穏やかに微笑み、それ以上は、田中のことを聞かなかった。

———

「コーヒー、紅茶、お茶、どれが、お好きですか?」

「あ、コーヒーで。………ブラックでお願いします」

そう、答えてから、達也は内心思った。

——本当は、砂糖、欲しいんだけどな。

でも、こういう場では、ブラックの方が、大人っぽい気がして、なんとなく言い出せなかった。

———

後藤はカウンターでコーヒーを淹れ、達也の前に置いた。

「お待たせしました」

達也は、カップを手に取った。
一口、飲んだ。

——やっぱり、苦い。

でも、顔には出さなかった。

———

「では、山田さん」

後藤は向かいに座った。

「今日は、どのようなご相談でしょうか。どんなお話でも、どこからでも」

———

達也は少し考えた。

——どう、言えばいいんだろう。

「うまく、言えないんですけど」

そう、前置きして話し始めた。

「仕事は、順調なんです。営業をやってて。成績も悪くないし。上司にも評価してもらってて」

「ほう」

「会社に、不満があるわけでもないんです。人間関係も、いいし。お給料も、まあ、悪くはないです」

———

「でも」

達也は言葉を探した。

「なんか……物足りないんです」

「物足りない」

「はい。このままで、いいのかなって。何か、始めたい気がするんです。でも……」

達也は俯いた。

「何を、始めればいいのか。それが、自分でもわからなくて」

———

「贅沢な悩みですよね」

達也は、苦笑いした。

「順調なのに、何が不満なんだって。自分でも思うんです」

———

後藤はすぐには答えなかった。

ただ、静かに頷いて。
それから、こう、言った。

「いいえ。とても、大切な感覚だと思いますよ」

———

達也は、顔を上げた。

「その『物足りなさ』を軽く見ないで、ここに来られた。それは、とてもいいことだと、私は思います」

後藤のその言葉に、達也は少しだけ肩の力が抜けた気がした。

———

「山田さん」

後藤は、穏やかに続けた。

「自分の天気を、こうして素直に人に伝えたり、相談したりすること。それも、とても大切なことなんですよ」

「……天気、ですか」

「ええ。その話は、後ほど、ゆっくり」

後藤は、ふと、達也のカップに目を向けた。

———

「ところで、山田さん」

「はい?」

「コーヒーが、あまり、進んでいないようですが」

達也は、どきりと、した。

「もしかして……ブラックは、お好みではないですか?」

———

——見抜かれてる。

達也は、一瞬、ごまかそうと思った。

でも。
なぜか、この人の前では、取り繕うのが、ばからしく思えた。

「……実は」

達也は苦笑いした。

「ブラックは苦手で。本当は砂糖が欲しかったんです」

———

「なんか、こういう場所だと。ブラックの方が、大人っぽいかなって。それで、つい」

そう、言ってしまってから。
達也は、自分で、少しおかしくなった。

——なんで、見栄なんか。

———

「では、お砂糖をお持ちしますね」

そう言って、後藤は小さな器に入った、角砂糖を持ってきた。

「どうぞ、お好きなだけ」

「……ありがとうございます」

———

達也は、角砂糖を二つ入れた。

一口、飲んだ。

——うん。こっちの方がずっと美味い。

なんだか、ほっとした。

———

たった、それだけのことだった。

砂糖が欲しいと言えた。
それだけのこと。

でも、不思議と胸の奥が少しだけ、軽くなった気がした。

——素直に言うって。
こんなに、楽なことだったのか。

———

その達也の様子を、後藤は穏やかに見ていた。

そして、何も言わずに、ただ、静かに微笑んでいた。


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3. キャリア天気図
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「山田さん、もしよろしければ」

後藤は、テーブルの脇から、一枚の紙を取り出した。

「これを、やってみていただきたいんです」

A4の紙だった。
五つの天気の絵が並んでいた。
☀️ 晴れ。☁️ 曇り。☔ 雨。🌀 嵐。⛄ 雪。

「私はこれを、キャリア天気図と呼んでいます」

———

「さっき、おっしゃっていた『天気』って」

達也は聞いた。

「ええ。これのことです」

後藤は頷いた。

「心と、キャリアの状態を、五つの天気で見てみるものです。何か始めたい——そういう方向けのチェックリストもあります」

———

「当てはまる項目に、チェックを入れてみてください」

後藤はチョコ色の革のペンケースから、シルバーのボールペンを取り出して、達也に差し出した。

達也は、受け取って紙に向かった。

———

晴れの項目を見た。

『自分の強みや経験を活かして、社外でも価値を提供できている』

——いや、社外ではまだ何も。

チェックは入れなかった。

『会社の名刺がなくても、自分という個人で勝負できる自信がある』

——自信……あるとは、言えないな。

これも入れなかった。

———

ペンが進まなかった。
晴れの項目は、どれも自分には遠く感じた。

でも、一つだけ。
手が止まった項目があった。

『会社の評価だけでなく、自分なりのやりがいで動けている』

———

——これは。

達也は、営業日誌のことを思い出した。

数字のためだけじゃなかった。
お客さんにどう向き合うか。
自分なりのやり方を工夫するのが、正直、嫌いじゃなかった。

達也はその項目にチェックを入れた。

晴れはこの一つだけだった。

———

次に、曇りの項目を見た。

『副業に興味はあるが、自分には人にお金を払ってもらえるスキルがないと尻込みしている』

——あ。

ペンが止まった。

——まさに、これだ。

チェックを入れた。

———

『SNSで副業で活躍している人を見ると、自分も何かやらなきゃと焦ってしまう』

——同期のLINE。

店を始めた人。副業を始めた人。
焦りというのとは、少し違うけれど。
でも、何かざわつく。

チェックを入れた。

———

『やりたいことが定まっておらず、セミナーや資格の勉強に手を出しては中途半端になっている』

達也は苦笑いした。

去年、簿記の勉強を始めて途中でやめた。
その前は英会話。これも続かなかった。

——全部、中途半端だ。

チェックを入れた。

———

『失敗したらどうしよう、会社にバレたらどうしようという不安が先立って動けない』

——これも。

チェック。

『本業が忙しく、新しいことを始める時間と余白が作れない』

——まあ、これも、ある。

チェック。

曇りは四つになった。

———

雨の項目も見た。

ほとんど当てはまらなかった。
本業は忙しい。でも、クタクタで休日が潰れるほどではない。

『休日も本業のことが、頭から離れない』

——これくらいかな。

一つだけ、チェックを入れた。

———

嵐の項目、雪の項目。

怪しい副業。会社にバレる恐怖。挑戦の諦め。無気力。

——どれも、違う。

一つも該当はなかった。

ペンを置いた。

———

「いかがでしたか」

後藤は静かに聞いた。

達也は紙を見つめた。

晴れが、一つ。
曇りが、四つ。
雨が、一つ。

「……曇りが、多いです」

———

達也はその紙を見ながら、不思議な感覚になっていた。

曇りの、四つの項目。
どれも、まるで自分の心の中を覗かれて、書かれたみたいだった。

強みがないと、尻込みする。
人を見て、焦る。
手を出しては、中途半端。
不安で、動けない。

——全部、当たってる。

———

その感覚は。
さっきの、コーヒーと同じだった。

「ブラックはお好みではないですか?」

そう、見抜かれた時のあの感じ。
隠していたものを、言い当てられたような。
恥ずかしいような。
でも、なぜか、ほっとするような。

———

「図星です」
「全部、当たってて。なんか……笑っちゃいます」

そう言って、達也は少し笑った。

———

「では、山田さん」

後藤は、穏やかに聞いた。

「今、ご自身の中で本当の天気は。ご自身の実感としていかがですか」

———

達也は、少し考えた。

「……曇り、ですね」

そう、答えた。

「数も、曇りだし。実感も、曇りです。どんよりはしてないけど。すっきり晴れてもいない」

———

「いい、お天気だと思いますよ」

後藤は微笑んだ。

「え?」

「曇りは、これから、どうにでも変わる天気です。晴れになるかもしれない。山田さんは、今、その入口にいるのかもしれません」

———

——どうにでも、変わる。

そう思うと。
曇りという天気が、さっきより、少し軽く感じた。

———

窓の外、みなと町の空は、薄く曇っていた。
でも、その雲は、重く、垂れ込めた、雲ではなかった。

どこか明るい。
これから晴れていきそうな。
そんな、曇り空だった。


(前編・了)


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■ 山田達也さんが使ったチェックシート
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山田達也さんが今回使ったのは「キャリア天気図チェックシート(副業・パラレルキャリア検討中編)」です。

あなたの今の天気は、どうですか?

▼【無料診断 No.10】「何か始めたい」と「強みがない」の葛藤を可視化する「キャリア天気図」チェックリスト〜副業・パラレルキャリア検討中編〜

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■ 次回予告
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【安全な港の物語 第8話(後編)】
曇り空の営業日誌
〜28歳・山田達也、今日誰かの役に立てたか〜

「何か始めたい。でも、何を始めればいいのか、わからない」——
順調なのに、満たされない。
評価されるほど、強くなる「物足りなさ」。
その曇り空の正体を、達也はどう見つけていくのか。

第8話・後編の公開日は、7月20日(月)の予定です。
お楽しみに。


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■ G-Mateからの一言
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「物足りないんです」

達也さんは自分の天気を、そう話してくれました。

仕事は順調。評価もされている。会社にも、人間関係にも、不満はない。なのに、なぜか満たされない。評価されればされるほど、その「物足りなさ」は強くなっていく。

「贅沢な悩みですよね」——達也さんは、そう、苦笑いしました。

でも、私は決して、贅沢な悩みとは思いません。
それは、達也さんが、「会社のコンパス」から「自分のコンパス」に持ち替えようとしている、大切なサインだと。

達也さんの天気は、「曇り」でした。

雨が降っているわけでも、嵐に巻き込まれているわけでもない。むしろ、これから、どんな天気にも、変わっていける。晴れにも、向かっていける。

達也さんは今、その入口に立っています。

何か、始めたい。
でも、何を始めればいいのか、わからない。

それは、迷っているのではなく、これから、選んでいくということ。答えが出ていないことは、悪いことではありません。余白があるということです。

そして、もうひとつ。
達也さんは、今日、小さなことに素直になれました。
「本当は、ブラックコーヒーが、苦手なんです」と。

たったそれだけのことです。
でも、自分の本当の気持ちを、誰かに素直に伝える。その小さな一歩が、これからの大きな航海の、第一歩になるのだと思います。

天気に良いも悪いもありません。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、嵐の日も、雪の日も、すべてあなたの航海の一部です。

どんな天気の日も、私は「安全な港」として、お待ちしています。

▼「安全な港の物語」第一話でも、田中誠一(田中部長)と山田達也が登場しています。
ぜひ、ご覧ください。

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■ 著者プロフィール
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ウェルビーイング・ナビゲーター
後藤 学(G-Mate)
茨城県日立市出身 千葉県柏市在住

損保業界30年。「キャリア・メンタル・安心安全」の三本柱で、誰もが自分らしい幸せを実現できるよう、伴走しています。

《主な保有資格》
2級キャリアコンサルティング技能士/国家資格キャリアコンサルタント/プロティアン認定ファシリテーター/メンタルヘルス・マネジメント検定II種/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/個人情報保護士/防災士 ほか

《所属団体》
ウェルビーイング学会/プロティアン・キャリア協会/日本産業カウンセラー協会/日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

▼ 詳しい自己紹介はこちら

▼ ライフキャリア航海モデルとキャリア天気図についてさらに知りたい方はこちら

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■ 安全な港(G-Mate)に立ち寄る
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【「キャリア天気図」のご利用について】

「キャリア天気図」はG-Mateのオリジナル診断ツールです。個人的な自己分析でのご利用やSNSでのシェアは大歓迎です。一方で、他の専門家の方による有料サービス等での無断使用や、コンテンツの無断転載・改変はご遠慮ください。企業研修等でのご活用をご検討の方は、公式LINEよりお気軽にお問い合わせください。

ウェルビーイング・ナビゲーター
G-Mate 後藤 学

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