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服部まゆみ『この闇と光』

時代も国もわからない、どこか深い森の奥に、盲目の少女・レイア姫は幽閉されていた。

彼女はかつて国王だった父に溺愛され、不自由ながらも愛に満ちた生活を送っている。

母はとうの昔に亡くなっている。父の不在時にレイアの身の回りの世話をするのは、ダフネという意地悪な女中。レイアは自分に心ない言葉を浴びせるダフネが大嫌いで、恐怖心すら抱いていた。

ある日、城下で「暴動」が起きたと知らされたレイアは、混乱のなか無理やり車に乗せられ、ダフネによって見知らぬ土地に放置されるのだが...。
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と、なんとなく中世ヨーロッパ辺りを思わせる耽美かつ幻想的、それでいてやや退屈な序盤に「なにこれ?なんでこの本買ったんだっけ?全く俺好みじゃないんだけど...」と自問自答しながら、嫌々というか渋々ページをめくっていく。

が、「暴動」の後に待ち受ける、ドンデン返しどころか、まさに天と地、闇と光がひっくり返るような驚天動地の展開に、しばし空いた口が塞がらなかった。

以下、盛大にネタバレしていく。
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これ、前半の全てが壮大なミスリード。

実は物語の舞台は、中世でもヨーロッパでもなく、現代の日本。

レイアの本名は玲(レイ)で、実際はやはり姫でもなんでもなく、普通の男の子。死んだと聞かされていた母親も健在。

幼い頃事故に遭い病院に入院していた玲は、目の手術を目前にして謎の人物に誘拐される。

玲を連れ去った人物は、玲が盲目で無知なのをいいことに、「私は元国王で、あなたはお姫様」というマニアックな設定を刷り込み、玲が物心つくまで彼を女の子として大事に育てるのよね。

女中のダフネを演じていたのも、実はその「国王」。彼は国王とダフネ=アメとムチを巧く使い分けることで、玲が国王に懐くように仕向けていたんすな。

暴動が起きたのも当然ウソ。突然リリースされた玲は、本当の両親に保護される。改めて目の手術を受け視力を取り戻した玲が、遂に親と感動の対面!

と思いきや、玲は長年の洗脳のせいで、なかなか現実を受け入れることが出来ない。

私はレイア姫。父は国王で、母はとっくに死んでいる、と。

自分が男だと理解できたのも、目が見えるようになったひと月後だった。

その後、成長し洗脳が解けた玲は、自分を誘拐した(と思われる)人物を探し出し、会いに行くんだけど...。

と、散々ネタバレしといてなんだが、ここから先を語るのはさすがに野暮なので、是非ご一読いただきたい。

つーかこういうのって、ストックホルム症候群って言うんだっけ。ある特殊な状況下で生まれる歪んだ愛情みたいなヤツ。

あと本作からは『流浪の月』っぽいロマンスも感じられたんだよなぁ。あれもちょっとそれ系の話よね。微妙にニュアンスは違うけど。

DV男と別れられない女の心理も似たようなモンなのかな。知らんけど。

で、視力を取り戻し、徐々に現実を受け入れつつある玲が、それにも関わらずさらっと発する「僕は闇から逃れて、闇を見ている」というさりげない一文が、なんだかこの世の抗えない真理みたいでクッソ痺れた。

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