もう誰かの選択肢じゃない~レガレイラと、それぞれの宝塚記念~
宝塚記念。
春の現役最強馬を決めるレースだと言われる。
けれど私には、馬柱や予想印だけでは見えない物語があるのです。
その主人公は、レガレイラ。
レガレイラは、ずっと戸崎圭太騎手と歩んできた。
GIも勝った。
強い時も、悔しい時も一緒だった。
だから私は勝手に思っていた。
このコンビはずっと続くのだと。
ところが2025年の有馬記念。
1番人気。
レガレイラの騎乗は違った。
戸崎騎手が選んだのはダノンデサイルだった。
勝つための判断に感情は関係ない。
それでもファンというのは厄介だ。
すぐに物語を作ってしまう。
有馬記念の直線。
前には戸崎騎手のダノンデサイル。
後ろから追うレガレイラ。
追いかける。
追いかける。
ゴール板を駆け抜けても、その背中を追い越すことはできなかった。
ちがうの、、追い越したくなった。
戸崎さんの、後姿を追いかけた!
この乙女心わかる?
私は勝手に失恋映画を見ているような気持ちになっていた。
そして迎える宝塚記念。
戸崎騎手は再びダノンデサイル。
レガレイラは、また、ルメールなの?
いやいや、ルメールだよ。
と。競馬ファンでは、絶対的信頼の騎手でしょ。
でも今回は違う。
もう誰かに選ばれるためじゃない。
もう誰かに認めてもらうためでもない。
レガレイラ自身のために走るレースだ。
そんなレガレイラの物語と並行して、もうひとつ胸が熱くなる物語がある。
武豊と横山典弘。
私が競馬を夢中で見ていた頃の二人だ。
私は武豊とオグリキャップを追いかけたおやじギャルだった。
当時の武豊は、競馬界の絶対的アイドル。
強くて、華があって、誰もが憧れた。
競馬場には武豊を見に来る人がたくさんいた。
しかし、その武豊の前に立ちはだかる男がいた。
横山典弘。
派手さはない。
愛想もない。
だけど、気がつくと勝っている。
そして気がつくと武豊の前にいる。
武豊ファンだった私は、何度
「またノリか!」
と思ったんだよ。
あれから三十年以上。
普通なら引退していてもおかしくない年齢になっても、二人はまだGIの舞台にいる。
武豊はメイショウタバルと連覇を狙う。
父ゴールドシップから受け継がれる宝塚記念の夢を背負って。
横山典弘はマイユニバースとともに、大舞台へ挑む。
しかも調教の評価は上々。
馬券を買うなら、
馬連:クロワデュノール-ミュージアムマイル
* ワイド:メイショウタバル-クロワデュノール
* 三連複:クロワデュノール軸。
だよね。
若い頃の私なら、絶対的に、ダービー馬クロワデュノールを応援しただろう。
でも今は少し違う。
武豊も見たい。
横山典弘も見たい。
同世代の、二人が今もなお最前線で戦っていること自体が嬉しい。
そして、そのレジェンドたちと、ダービー馬。
の、
物語の真ん中を、一頭の牝馬が駆け抜ける。
レガレイラ。
もしレガレイラが勝ったら。
それは戸崎騎手への復讐ではない。
「どうして私を選ばなかったの?」という話でもない。
そんなことを超えた物語になる。
好きだった人に認めてもらうためじゃない。
誰かの期待に応えるためじゃない。
誰かの代わりでもない。
私は私。
私はレガレイラ。
そんな走りを見せてくれたら、それでいい。
そして最後の直線。
武豊がいる。
横山典弘がいる。
ダービー馬、2頭いる。
その中をレガレイラが駆け抜けていく。
そんな光景を想像するだけで、宝塚記念が待ちきれない。
競馬は馬券だけじゃない。
時々、人生を重ねてしまう。
だから面白い。
だから私は、競馬を見る。
そして願う。
行け、レガレイラ。
もう誰かの選択肢じゃない。
あなた自身の物語を走れ。
