鳥
羽をたたんだ鳥は飛んでいる鳥よりも不幸だなんて、そんなの誰が決めたんだろう。そんなのは、鳥は飛ぶもんだという固定観念が生んだ偏見に過ぎない。
もしも空が天敵だらけだったら?もしも羽をたたんでいるそこに、己を必要としてくる何かがあったなら?考えたらきりがない。
つまり、羽をたたんでいるという情報だけでその鳥を不幸だと決めつけないことだ。
ワタシは自分の意志でここにいる。一生かけて妻を幸せにすると、自分の自由な意思で決定している。そのために動きが制限されることは承知の上で、それでも妻のそばに居たいから居るのだ。ワタシは今が幸せなんである。
それでも、張本人である妻から時折「私がいるせいであなたは羽をたたんでしまっている」と泣かれてしまう。
その度にワタシは、そう見えているとしてもあなたのせいでなく自分の意志でたたんでいるのだ。飛び立ちたいのを無理やり縛られているのではないと説明するのだけれど伝わらない。
妻は、鳥は飛んでいる方が幸せだという思想に囚われている。
ワタシはいつでも飛び立てるけれど、それよりもここに居る方が幸せだからそうしているだけだというのに。それを十年続けて、これからも続けるのだ。それは不幸ではなく、むしろワタシが幸せになるために選んだ結末なのだ。
どうすれば分かってもらえるか分からない。ワタシは妻に笑っていてほしい。妻が固定観念に囚われて、己のせいでワタシが不幸になっているなどという勘違いから落ち込んでほしくない。
そもそも不幸せなやつが日々ボケ倒したり、大声で歌い続けたりすると思っているのだろうか。我ながら結構ハッピー野郎だと思うのだけど。
いずれにしてもワタシは妻と離れない。それが一番幸せだと信じているから。一方妻は己のせいでワタシが羽をたたみ、不幸になっていると思い込んでしまう。
どうすればいいのだろう。
実はワタシは、この状況を打破する解決策が一つあることを知っている。具体的にどうすればいいのかはまだ分からない、ある解決策。
妻を背負って、飛ぶのだ。
それしかない。
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