この5月にいざ楽しもう 心も軽く Ce moys de may
5月になってもう4日が過ぎました。
なのにまだ何も記事を投稿できていません。
ので取り急ぎ何かを投稿せねば、ということで。
トピックはいくつか思いつくものの、下調べが何もできていませんが。
5月というと古楽、特に中世・ルネサンス音楽ではいろいろなことがある月です。
5月1日にはオックスフォード・モードリン・カレッジ Magdalen College, Oxford では「メイ・モーニング」May Morning がありました。
聖歌隊が朝にカレッジの塔の上で合唱を歌い、見下ろすと街には道にも橋にも人がびっちり。歌い終えると拍手喝采が起きます。
聖歌隊の歌唱は3分42秒に始まります。
この中で2曲目(8分39秒〜)に歌われているのがイギリス・ルネサンスの音楽家トマス・モーリー Thomas Morley(1557年〜1602年)の「今や月は5月」Now is the month of maying です。
同じ曲をマドリガル本舗キングズ・シンガーズの録音で。
5月1日も時代を遡って12世紀末から13世紀初頭、南仏プロヴァンスで活躍したトルバドゥール Troubadour のひとり、ラインバウト・デ・ヴァケイラス Rainbaut de Vaqueiras (1180年〜1207年頃活躍)の「カレンダ・マーヤ」Kalenda Maia (5月1日)という歌があります。
楽士たちが奏でるエスタンピー estampie という舞曲に乗せて自分の辛い恋の気持ちを吐露したという歌です。
ちなみに吟遊詩人という言い方は日本で森鴎外がそのように訳したのですが実態にそぐわないのでほんとうは「中世歌人」と呼ぶべきとのことです。
15世紀、ルネサンス初期の巨人ギヨーム・デュファイ Guillaume DuFay (1397年頃〜1474年)のロンドー rondeau という形式のシャンソン(フランス語の世俗歌曲)「この5月にいざ楽しもう 心も軽く」Ce moys de may があります。
この5月に憂うつを捨て去って恋をして楽しもう、という内容です。
この詩の中で
「友たちよ、デュファイからのお願いです。」
Carissimi Dufay vous en prye
という一文があり、
作曲者のデュファイ自身がこの歌詞も作詞したと言われています。
16世紀パリの音楽家クレマン・ジャヌカン Clement Janequin (1485年〜1558年)の「この5月に」Ce moys de may というデュファイのシャンソンと冒頭が同じだけどまた異なる感じで楽しげなシャンソンがあります。
あとは、これはカトリック教会の伝統ですが、5月は「聖母月」といい聖母マリアに捧げられた月だとされ、ミサでたくさんの聖母讃歌が歌われます。
イギリス15〜16世紀には多くの聖母マリアのための作品が作曲されましたが、
その中でもひときわシンプルながら心を打つ作品
ロバート・パーソンズ Robert Parsons (1535年頃〜1572年)の「アヴェ・マリア」Ave Maria をご紹介します。
タヴァナーやタリスは聖母マリアのための複雑なラテン語の詩による長大なアンティフォナを何曲も作曲しましたが、
このパーソンズのアヴェ・マリアは新約聖書ルカによる福音書の受胎告知とエリサベトへの訪問の言葉のみを組み合わせて歌詞にしています。
かつてロンドンのウェストミンスター大聖堂(カトリックのカテドラル。ウェストミンスター寺院とは異なる)でのテューダー朝の音楽ばかりによるミサで聖歌隊がこの曲を歌うのを聴きました。
まさに至福のひとときでした。
というわけで駆け足でしたが、
これをもって5月の最初の投稿とします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
