2026 北海道旅 1日目 ~旅の始まり~
旅は、いつも少し不安なところから始まる。
22時30分発。
夜の船で北海道へ渡る。
何度も北海道には行っているはずなのに、出発前になると毎回少し落ち着かなくなる。
忘れ物はないか。
車は大丈夫か。
天気はどうなるか。
そもそも今回は、どこへ向かうのか。
いつも僕の旅は、はっきりした目的地がない。
いや、行きたい場所はある。
オホーツクの方にも行きたいし、またあの原生花園にも立ちたい。
海鳥も撮りたいし、どこかの港町でぼーっとしたい。
でも、何日の何時にどこへ行く、みたいなものは決めていない。決めすぎると、旅が旅じゃなくなる気がするから。
目的地がない旅は自由だ。
でも、自由ってわりと怖いもんで、
当たり前だけど、カーナビに入れる場所がない。
次に向かう理由も、自分で決めなきゃいけないし、誰かが用意してくれたコースもなければ、正解もない。
ただ、北へ行く。
それだけは決めていく。
夕方から夜にかけて、出発前の時間は変に長く感じる。
まだ家にいるのに、気持ちだけはもう遠くへ行っている。
時計を見るたびに、少しずつ日常から離れていく感じがした。
旅の前日は楽しい。
でも、出発する日は少し怖い。
これから何が起こるのか分からない。もしかしたら、面倒なことばかりかもしれない。
でも、それでも行きたいと思ってしまう。
たぶん僕は、目的地に着きたいというより、向かっている時間が好きなんだと思う。
まだ何も始まっていないのに、もう旅の中に入っているあの感じ。
22時30分発のフェリー。


夜のフェリーターミナルには、独特の空気がある。
明るいのに静かで、みんなそれぞれ何かを待っている。
トラックも、車も、バイクも、家族連れも、旅人も、同じ船に乗る。
この人たちも明日の朝には北海道にいるんだなと思うと、少し不思議だった。
フェリーを待つ時間は、いつも中途半端だ。
まだ出発していないようで、もう始まっている。
北海道に着いていないのに、気持ちはもう北の空気を探している。




昔、初めて北海道へ行った時のことを思い出す。
あの時も、何が待っているのかよく分からなかった。
ただ、北へ行けば何かがある気がしていた。
今も、あまり変わっていない。 そんな自分がまだ心に いる事実が堪らなく嬉しい。
歳は取った。
乗り物も変わった。
でも、フェリーを待つ時のあの落ち着かなさは、まだ残っている。
不安とワクワクが混ざっている。
ちゃんと言葉にすると少し恥ずかしいけど、旅の始まりってたぶんそういうものなんじゃないかな。
明日からどんな出会いが待っているのだろうか。
ではまた
