7インチ盤専門店雑記1140「秋めいてきたので…グラッペリ」
先般、妙に混んだランチタイムの終盤、もう少し嫌気がさして、キッチンはスタッフさんに任せレコ屋に専念しておりました。そんなときに、じんた堂さんが遊びにいらっしゃいまして、お食事されている横で7インチ盤を拭き拭きしておりました。「こんどじんたさんがいらっしゃったら何か秋っぽいジャズでも鳴らそう」と思っておりましたから、さて何がよいかなとアレコレ思い巡らせておりました。
なかなか考えがまとまらず、とりあえずキース・ジャレットの「マイ・バック・ページズ」をかけ、その間に次の盤を探したのですが、どうもピンとくるものがなく、やたらと背が目立っていたチェット・ベイカーとビル・エヴァンスの「アローン・トゥゲザー」をかけたところ、いいんですけどねぇ…、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスが出てきたところでコケるんですよね、コレ。見事なまでに要らんサックスなんですよ。…個人的な好みの話ですけどねぇ。…ダメ。
そこで気温が下がったら聴こうと思っていたヴァイオリンのステファン・グラッペリに手が伸びてしまいました。以前もの凄く気に入って毎日のように聴いた盤です。B面が特にいいんです。それが、先日真夏のクソ暑い日に針を下ろしたところ、全然良いと思えないんです。しばらく聴いて、「これは気温が低くないとダメだ」ということに至りましてねぇ。
そこで今回はどうだったかと言うと、…いいんですよ、これが。「ミスティ」「アフタヌーン・イン・パリ」「枯葉」という曲並びも良く、やはりもの凄く良いわけです。そうですか、気温にこれほどまでに左右される音源だったとは…。他にありますでしょうかね…。インパルスのコルトレーンは、毎度暑苦しいので冬しか聴きませんが、あの類ですかねぇ…。
演奏はピアノ・トリオにヴァイオリンが加わった編成ですが、これが恐ろしくヴァイオリンに集中させてくれます。他のミュージシャンが自分の立ち位置をよく理解しておりますかね。聴き終えても、さほど印象が残らないようでいて、「なんかいい感じでバックが鳴っていたな…」となります。
コレ、BASFでして、やはりドイツ的な音だったりするんですけど、「そういう面白さもあったなぁ」と思い出しつつ繰り返し聴いておりました。…そうしたところ、印象がどんどん変わって行きます。もっと気温が下がってから聴くと、もっと良さそうですね。人間の感覚はいろいろな条件で変わってしまうんですね。

