7インチ盤専門店雑記1221「Mingus Presents Mingus」
正月ジャズの続きですが、この「Charles Mingus Presents Charles Mingus」は正真正銘デフジャケ、ディファレント・ジャケットです。"America Records" というレーベルのフランス盤です。FACE A, FACE B です。本来の…というか有名なジャケットはYouTubeの画面をご覧ください。この盤、好き…というか貴重ですよねぇ。いきなりのメンバー紹介から始まり、途中のMCも全部かどうかは分かりませんけど、しっかり収録されています。
そしてどこが好きかというと、2曲目「Original Faubus Fables」の出だしです。MCから始まりいきなり歌い出しながら演奏も始まります。演劇的な掛け合いが繰り広げられる「フォーバス知事の寓話」ですね。アーカンソー州知事オーヴァル・フォーバスに対する政治的なメッセージです。1957年に起きた「リトルロック9」と言われる事件がありまして、人種隔離政策が敷かれていたリトルロック高校へ9人のアフリカ系アメリカ人の若者が入学しようとしたとき、これを阻止するために州兵を派遣したというものです。
1959年の初出はインストでしたが、これはコロムビア・レコードが歌詞の内容にビビッて収録を拒否したということで、歌詞付きでリリースされたのがコレ、1961年のこのアルバムをCANDID からリリースしたときということになります。…つまり、この盤はCANDIDの別ジャケですね。まあ、コロムビアのこの経過を残したことで、余計に人種差別反対のメッセージは強くなりましたね。ほんの65年ほど前の事実なんですけどね。
マイノリティに対する感覚も随分違ったものになりましたね。ここのところ、ドジャースの大谷翔平くんの活躍を楽しみに眺めておりますが、まあメジャー・リーグの人種の多様化といったら物凄いことになっているわけで、その中で同じマイノリティである大谷くんが「道徳の教科書」的な取り上げられ方もしていることが興味深い事実として頭から離れません。もちろんBGMは「Faubus Fables」ですね。
演奏的にはエリック・ドルフィーが参加しているから購入したようなものでしたが、この曲を聴いてしまえば、そういったことがどうでもよくなりますな。CANDID の盤はしっかり集めてみたかったりもしますが、なかなか安価で手に入るものでもありません。この盤はそんな曲の背景も事情も知らないまま、随分昔に入手したものですが、かえってそのことが今さらに自分としては面白かったりします。
京都に遊びに行った以外は寝正月に近い、思い切り何もしない贅沢な正月でしたから、ボーっとしてしたようなものでしたが、まあこんな盤も聴いて、少しは脳に刺激を与えていたというわけです。
昨日から新年の営業を再開しました。よろしくお願いいたします。
