清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 憧憬S盤アワー
レコード好きが少しずつ増えている実感があります。ウチのカフェに「レコードを見せてください」といらっしゃるお客様の中に、かなり若い方がいらっしゃるからです。もちろん、12インチ・サイズのLPしか見たことがないような方もいらっしゃって、「ウチは7インチ・サイズの小さいシングル盤の専門店なんですよ」と申し上げますと、明らかに困った顔をされたりします。申し訳程度に7箱(ウチ3箱は委託販売)ほどLPも売っておりますから、そこを見ていただくと…。
売りに出していないものに、10インチ・サイズの盤があります。LPなどと同じ素材の10インチ盤、「トーインチ」などと呼びますが、これも200枚ほどですか、コレクションしておりますが売る気はありません。このあたりの音源が実は結構好きでして、ただ話があう友人やお客様はおりませんので、お店ではかけませんし、文章でもほとんど書きません。以前に一度3時間のトーク・イベントで10インチ盤を特集したことがありますが、使ったのはその時だけですね。
さらに同じサイズの10インチで、SP盤というのも100枚ほどですか、あることはあります。78回転で蓄音機を使って鳴らすヤツですね。CDの時代になってもレコードに拘りを持ってしまった頃、SP盤も叩き売りされておりましたから、文化財保存行為の感覚で少々買っておきました。以前にもご紹介したように、今やっているカフェを立ち上げるモチベーションになったものに、藤本二三吉さんが歌う小唄、端唄の「深川」「深川節」などというものを見つけてしまい、ローカル・カルチャーの伝承に興味があるもので、ついつい手を出してしまいました。でも「SPはやめとけ」という別人格が自分の中にはおりまして、よほど面白いものでもない限り手を出さないようにしてきました。それでも少しはあるというわけです。


大好きな「第三の男」のテーマなんぞは、DECCA盤とVICTOR盤があったりします。


「ロック・アラウンド・ザ・クロック」は、「歴史的に価値あんじゃね?」と別人格からお許しが出ました。

そもそも、その昔、文化放送で「S盤アワー」という番組があったのをご存知でしょうか?知っていたらまずい気もしますが、自分もリアルタイムでは聴いておりません。1952年の開局当初から1969年までやっていた、VictorのSP盤、Sシリーズの洋楽を紹介する番組でして、帆足まり子さんという、後にラテン歌手になる方がDJをやっていらっしゃいました。番組当時はVictorの社員だったと思います。

以前に「お、S盤だ」と思って、「マイ・フーリッシュ・ハート」に手を出したことがありまして、その頃はS盤アワーに対して妙に憧れを抱くレトロ・マニアをやっておりました。実はTBSにはコロムビアのLLシリーズを紹介する「L盤アワー」という番組がありましたし、ニッポン放送にはポリドールの盤を紹介する「P盤アワー」というのもありました。なんだかこの辺全てにおいて、妙な憧れがあるんです。
ところで、VictorにはS盤の前にA盤という洋楽シリーズがあります。戦後に始まったものだと思いますが、A-1001からA-1400番台まであると思いますが、詳しくは判りません。世の中には好き者というかお詳しい方がいらっしゃって、SP盤を紹介するウェブサイトなどというものもいくつかあるのですが、A盤に関しては、あまり情報がありません。
このA盤も何枚かありまして、死蔵しております。そもそも蓄音機を持っていませんから聴けません。常に「誰か使わないかな」という気持ちがアタマの中にありまして、譲渡でも貸出でもいいんですけどね。本来ならレコード博物館みたいなところに相談すべきなのかもしれませんが、何だかそれは気が進まないんですよね…。



緊急事態宣言が延長になって、まだしばらくは夜の営業は難しそうですから、「時間があるならデータベースでも作ってみるかなあ」などと考えたりもするんですけど、腰は妙に重かったりします。聴けるわけではないので、7インチ盤ほど夢中になれるわけでなし…、さてさて、どうしたものやら…。
