7インチ盤専門店雑記1061「Black Hole Sunの本質」
1994年のサウンドガーデンの4thアルバム「スーパーアンノウン」はやはり名盤なんでしょうね。どうも他人事のように言ってしまいますが、ここに収録されている「スプーンマン」は大好きですし、「ブラック・ホール・サン」も名曲だと思います。ただ、だからと言ってサウンドガーデンのアルバムを買い集めるかというと、一枚も買っておりません。時代が時代だからか、映像で語るべきことが多いように感じてしまい、個人的にはYouTube等で観るべきバンドといった位置づけです。…以前に何度か書いておりますが、ジェネレーション・ギャップのようなものを感じる、どうにも満足させてくれないバンドです。
ただ、いろいろなところでカヴァーを耳にすることになる「ブラック・ホール・サン」がいまだに気になるわけです。オリジナルは実にヘンなヴィデオでして、歌詞の内容を映像化したのでしょうが、相当に奇妙です。
何はともあれ、サウンドガーデンの曲が只者ではないことを思い切り意識させられたのはノラ・ジョーンズのカヴァーです。この曲の美メロを見事に抽出しております。
美メロを抽出することに関しては世界一ではと思っているブラッド・メルドーもやっております。この人が人気になり始めた頃にニック・ドレイクの曲をカヴァーしたものが猛烈に好きで、そのカヴァーを聴いて以来、このピアニストは天才だと思っておりますから、アルバムが出ればすべて買うというスタンスで現在に至ります。ライヴも何度か観ましたが、期待を上回っていたようにすら思います。
そして、お店ではよく流しているPMJポスト・モダン・ジュークボックスです。最近二度目の「ブラック・ホール・サン」が登場しました。クラシック・ジャズ・スタイルで様々な曲をカヴァーするヴィデオは観ていて楽しくなるものですが、今回もついつい目と耳を持っていかれます。さほどメジャーではないシンガーをフィーチャーしたスタイルは「楽しい」の一言に尽きるのですが、最近は上手さも伴ってきました。演奏も数をこなしているからか、安心して聴けるレベルになってきました。相変わらず画面の端っこでしれっとピアノを弾いているスコット・ブラッドレーのユーモアのセンスは磨きがかかってきた印象です。
さて、そこでやはり気になるのはサウンドガーデンのオリジナルのヘンなヴィデオです。ユーモアのセンスという言葉では表現しきれない意味深な部分やら、実力のほどを示さないやり方、やはり根底にあるアメリカ人的なユーモア、いろいろな部分で案外PMJのスコット・ブラッドレー辺りが、この曲の本質をイチバン理解している人間かもなどと思ったりしています。
何気に見過ごしていると、「ヘンなの…」で通り過ぎてしまいそうな曲でもあるのですが、やはり良い曲なんです。耳について離れないタイプですし、ノラ・ジョーンズやブラッド・メルドーが食指を動かす美メロが内包されているんです。サウンドガーデンの中心的存在だったクリス・コーネルがこの世にいないことが、あらためて残念でなりません。
