7インチ盤専門店雑記1121「ジャズで何か一枚オススメを…」
時々言われることなのですが、「ジャズ初心者なんですけど、何か一枚オススメを…」。レコ屋なんぞやっているわけで、当然こういうことはよく訊かれます。そうでなくても、よくある会話ではないですかねぇ…。
まあフツーに考えれば「楽器は?」となりますよねぇ…。トランペットならマイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」とか、サックスならジョン・コルトレーンの「ブルー・トレイン」かソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」あたりですかねぇ…。ピアノはトリオならビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」、管が入ってよければソニー・クラークの「クール・ストライティン」あたり…。ビッグバンドだったらベイシーかエリントン、どちらが好きか少し考えてからの方がいいかも…。ヴォーカルも少し枚数を聴いてからの方がいいですよ…。
このまんまの内容で、なんどか若い方にオススメしたことはありますが、大体喜んでいただけます。…どうせジャズ上級者に訊いたら、いろいろ言われて話は長くなるし、余計に迷うような回答しか得られないんですから…。まずは聴きやすいあたりから。コレ、鉄則だと思うんですけどね。
先日、同様のシチュエーションでたまたま鳴っていたのが、トロンボーンの名盤、カーティス・フラーの「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」でして、その場では好きな楽器が分かれば「何曲かかけてみますよ」とやっていたわけです。ただその方は、「これからジャズをいろいろ聴いてみたいというよりも、これぞジャズという音の盤が一枚欲しい」という方だったんです。…カーティス・フラーなんかまさしくそういう音なんですけどねぇ…。
「何か違うなぁ…」と思い始めたらもういけません。頭の中であれこれ考えてしまって、どういう立場で聴くか、どういう目的を持って聴くかで、求められるものが全然違うように思えてきて、これまでオススメしてきた盤、大丈夫だったかなと不安になってみたり、良音盤が多いでしょうから、「ジンジャー的ジャズ入門編/上級編」というイベントも面白いだろうなと思ってみたり…。
「そういえば…!!」とGemini君にも訊いたら、マイルス「カインド・オブ・ブルー」、デイヴ・ブルーベック「タイムアウト」、アート・ブレーキー「モーニン」ですと!?…なるほどねぇ。ヤツもその後、ヴォーカルものだと…、楽器別に…などと言い始めましたが、予想外に爺くさいオススメばかりで、思わず年齢を訊きたくなってしまいましたよ。
ロックだったらビートルズ…みたいにハズレないアーティストをオススメしときゃいいかもと考えていたら、目茶苦茶斜め上かもしれませんが、映画「ラウンド・ミッドナイト」のサントラが降ってきまして、「…こういうのもありなのかも」などとなっておりました。
でもコレ、名盤100選とかには出てこないですよねぇ…。こういうのをオススメするのはアウトですかねぇ…?ハービー・ハンコックとかはいいんですけど、ヴォイス・パフォーマンスのボビー・マクファーリンとか、ジャズとしては扱ってもらえませんかね…。案外深いんですけどねぇ…。
