【イベント】ISEHARAパン祭り、最後尾を巡る旅。あと少し思ったこと
ISEHARAパン祭りとは
「ISEHARAパン祭り 小麦フェス」は、神奈川県伊勢原市で開催されているパンのマルシェイベント。まずは基本情報から。
主催: ISEHARA TAKE IT EASY(企画中心は伊藤輝明さん)
後援: 伊勢原市、伊勢原市観光協会、伊勢原市商店会連合会
会場: 伊勢原市総合運動公園(伊勢原市西富岡320)
開催頻度: 年に複数回(不定期)
入場料: 無料
出店数: 今回は38ブース(パン店、菓子店、キッチンカー、ワークショップなど)
公式Instagram: @isehara.pan.fes
これまでの歩み
もともとは伊勢原駅南口の「湘南いせはらplace」という小さなスペースで始まったイベント。「いせはら近郊の美味しいパン屋が大集合」というコンパクトな催しだった。回を重ねるごとに人気が拡大し、会場を転々としながら規模を大きくしてきた歴史がある。
確認できた開催履歴をまとめるとこんな感じ。
第1回〜第3回(〜2022年前半): 伊勢原駅南口「湘南いせはらplace」で開催。小規模な地域密着型のパンイベントとしてスタート
第4回(2022年7月): 同じく湘南いせはらplaceで開催。歌やワークショップも導入
第5回(2022年10月): 伊勢原市総合運動公園バス停前に会場を移し、「山のイセハライチ」と同時開催。出店は13店舗
第6回(2023年1月): 引き続き総合運動公園で「山のイセハライチ」と同時開催。午前・午後で出店が入れ替わる2部制を導入
第7回(2023年5月): あまりの人気から伊勢原を飛び出し、厚木農園で開催
2023年11月: 再び厚木農園で開催。「ISEHARAパン祭り 小麦フェス」の名称に。パン屋だけでなくキッチンカーやワークショップも充実し、出店数が大幅に拡大
2024年6月: 伊勢原市総合運動公園にカムバック。「小麦フェス」として伊勢原に定着
2025年3月: 総合運動公園で開催。大山登山マラソンと同日開催
2025年11月: 総合運動公園で開催
2026年3月(今回): 38ブースが出店。チャリティー投票を初導入
駅前の小さなスペースから始まって、厚木への遠征を経て、大山のふもとの総合運動公園に落ち着いた。13店舗だった第5回から数えても、わずか3年で38ブース。成長のスピードがすごい。
行ってきた
2026年3月1日(日)、快晴。3月に入ったばかりだけど、陽射しにはもう春の気配がある。
会場へ向かう道中、大山がくっきり見えた。雲ひとつない青空に、冬枯れと常緑が入り混じった山肌がそのまま浮かんでいる。カーブミラー越しに見る大山もいい。伊勢原に来たな、という感じがする。

総合運動公園に近づくと、河津桜がほころんでいた。まだ満開ではないけれど、薄桃色が青空に映えてきれいだった。駐車場に向かう車の列はすでに長く、市外ナンバーや県外ナンバーも混じっている。このイベントの集客力がうかがえる。

パン祭り日和としては満点だった。


大盛況。まったく買える気がしない
会場に着いた瞬間、思った。人が多い。
春の陽気に誘われたのか、家族連れ、カップル、犬を連れた人、ベビーカーを押す人。並木道の向こうまで人で埋まっている。どのブースにも「最後尾」のプラカードが掲げられていて、パンにたどり着く前にまず列の最後尾を探すところから始まる。13店舗で2部制を敷いていた頃とは別の世界だ。38ブースあっても需要が供給をはるかに上回っている。何を出してもだいたい売れる状態だと思う。


顔なじみと、新しい顔と
最後尾ばかり撮っていてもパンは買えない。
会場を歩き回って、気になったお店を何軒か。
湘南Cafe Lazy — クラシックなワーゲンバスのキッチンカーでコーヒーとタピオカドリンクを出しているお店。この車体だけで絵になる。パンの行列に疲れたらまずここで一杯、というのが自分の定番になりつつある。

キッチンカーがめちゃオシャレ!
パン屋さん 結 — さっき最後尾のプラカードを撮らせてもらったけど、ブースの方も。赤いテントの下、ベビーカーを押したお母さんたちで賑わっていた。店主さんが一人ひとりに丁寧に対応しているのが印象的だった。

かわいいパンが子どものハートをわしづかみ!
工房菓野香 — こちらもおなじみ。初期の頃からこのイベントに出続けている常連出店者だ。お菓子のクオリティがとんでもなく高くてずっと大ファン。お子さんたちもだいぶ大きくなって、店番ができるようになった。
そして今回目を引いたのが、Boulangerie Père Lachaise(ブーランジェリー ペールラシェーズ)。「PLANT BASED BAKERY」の緑の幕がひときわ鮮やかだった。プラントベースのパン専門店がパンフェスに出店する時代。38ブースに広がった今のISEHARAパン祭りの幅を象徴しているようで、少し感慨深かった。

いつもお世話になっているお店と、初めて見る新しいお店が隣り合っている。この光景が、今のこのイベントそのものだと思う。
最後尾コレクション
せっかくなので、各店の「最後尾」プラカードを集めてみた。
Shu Shu Cafe — 国産小麦食パン「ゆめちから」を使ったホットサンドの店。最後尾。

COLORFLE — 最後尾。元気なスタッフさんが掲げていた。

BAGEL OTABE — ベーグル専門店。最後尾のプラカード越しに大山がくっきり。こんなに山が近いパンフェスは他にない。最後尾。

パン屋さん 結 — 最後尾。動物やキャラクターなどの「かわいいパン」目当てに子連れの客が特に多い。美味しくてかわいいのはもちろん、店主のお人柄が素晴らしい。

こなkona工房(秦野市)— 最後尾。ブースの横にはチャリティー投票の案内も。

TACO BOON — 最後尾。背景の山並みがきれい。犬を連れてる人もいて、のどかな春の光景。本格派タコスのクオリティが高すぎてヤバイ。旭町(厚木市)に店舗を構えている。

本格派タコスのクオリティが高い

今回、並ぶ勇気はなかった(笑)
どこを見ても最後尾。これはもうパン祭りではなく最後尾祭りである。
ネーミングがイマイチというツッコミは甘んじて受ける(笑)
パン以外のこと
パンだけではなく、ワークショップやステージもあった。
チョークアート体験は500円で参加できて、子どもたちが夢中になっていた。ステージでは山並みを背景にチアダンスのパフォーマンス。春の陽射しの中で踊る子どもたちを、パンの袋を抱えた大人たちが眺めている。なんだかいい景色だった。駅前の小さなスペースでパンだけ並べていた頃から考えると、イベントとしての幅がずいぶん広がった。


チアダンス
今回初めて導入されたのが「チャリティー投票」。お気に入りの店に1票100円で投票する仕組みで、集まった金額の半分が出店店舗の活動支援に、残り半分が伊勢原市の農業支援に使われるらしい。パンを食べることがそのまま地域貢献になる。こういう仕掛けが生まれるのは、イベントが大きくなったからこそだと思う。

逃避行
行列から離脱して、公園の高台にある展望デッキまで登った。

大山丹沢の山並みが一望できる。空気が澄んだ春の日で、稜線のひとつひとつまでくっきり見える。道中で見た河津桜の薄桃色とは対照的に、山肌はまだ冬枯れの茶と常緑の深い緑。春はふもとから順番に登っていくんだな、と思う。眼下にはパン祭りの会場が広がっていて、赤や茶色のテントがちらちら見える。ここまで来ると喧騒がうそみたいに静かだ。
なんとか手に入れたパンと焼き菓子を並べて、自販機で買ったブラックコーヒーと一緒に遅めのランチ。

この景色で食べるパンは反則的にうまい。
この景色だけは、他のどのパンフェスにも絶対にない。
少し思ったこと
集客力を上げて、間口を広げて、たくさんの人にパンを届ける。それは大事なことだし、実際にこの盛り上がりを見れば大成功だ。13店舗から38ブース、駅前のスペースから総合運動公園。チャリティー投票のような地域還元の仕組みも生まれた。成長そのものは、まちがいなくいいことだと思う。
ただ個人的には、以前のISEHARAパン祭りの方が地域色があっておもしろかった。
展望デッキから見た大山丹沢の稜線、春の陽射しの中で踊るチアダンス、山を背景に掲げられた最後尾のプラカード。このイベントにしかない風景は確かにある。でもそれ以外の部分——ブースの顔ぶれやイベントの空気感は、だんだん他のパンフェスと似た感じになってきた気がする。間口が広がったぶん、伊勢原近郊の小さなパン屋が並んでいたあの頃の手触りは薄まった。あえてコモディティ化するメリットは一定あるので、何が正解という話ではないけれど。
あと思ったのが、みんなもっと値段を上げていいのになということ。
あの行列を見ればわかるように、需要に対して供給がまったく追いついていない。並んででも買いたいと思って来ている人たちなのだから、ちゃんとした対価をもらっていい。安売りしすぎている。みんな変にそういうところマジメだ。作り手が消耗しないでほしいと、いち「パン好き」として思う。
おわりに
次回も行きます。
できれば、もう少し早い時間に(笑)
ISEHARAパン祭り 小麦フェス
日時:2026年3月1日(日)10:00〜15:00
会場:伊勢原市総合運動公園(伊勢原市西富岡320) 入場無料
公式Instagram:@isehara.pan.fes
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